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軍人に恋愛など必要なーい!

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軍人に恋愛など必要なーい!

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   4
 20:10

 ゲーム結果を集計していた静麻は、眉間に皺を寄せた。
「自己申告と審判の判定を見る限りは同点なんだが」
「引き分け? それは困りましたね」
 鈴の眉間にも皺が寄る。
「いや実は、部外者がいたらしいんだ」
「例のネクロマンサーではなく?」
「おー、俺見たぜ。放校になった闇商人がいたぜ」
とサイが言えば、
「うむ。わしも現場で見た」
とアキラが頷き、
「あー、この人ねー。うん、あちこちにいるね」
とプリモがビデオを指差した。
「分かっていたなら、なぜ報告しなかったのです?」
「その方が面白れぇからに決まってんじゃん」
とサイがうひゃひゃと笑えば、
「……思いつかなかったな」
とアキラが答え、
「あたしは審判じゃないですしー」
とプリモはしょんぼりした。
「ビデオで確認した以外にも、そいつにやられた奴がいるかもしれない。仮に自分がそうだと言い張られたら、審判と雖もそれを覆すのは難しい」
「おまけにアンデッドの侵入を許したことは、不手際と言われても仕方がない」
 マクスウェルの言葉に、自分のせいではないのにリーヴァが小さくなる。
「更におまけに、ミカエラ・ウォーレンシュタットが鬼組から豆撒き組に変わると言っています」
と帝。
「それは許可できないだろう」
「なら失格でいいと。何でもパートナーの気持ちに強く打たれたそうです」
「……しっちゃかめっちゃかですね」
 鈴は深々とため息をついた。
「どうだろうね。いっそ、引き分けにしては? 上への言い訳は、部外者乱入で何とかなるでしょ?」
 鈴は静麻の顔を見つめた。静麻はにんまり笑っている。
「……最初からそのつもりで?」
「部外者の俺がそう判断したなら、生徒たちの恨みもないだろうし。ご検討下さい」
「……分かった」


 20:30

「長らくお待たせしました。いよいよゲームの結果発表です!」
 プリモの声に、鈴が朝礼台に上がる。
「結果をお待たせして、申し訳ありませんでした。今回のゲーム、参加者にはそれぞれ色々な思いがあったことでしょう」
 マクスウェルはこっそり静麻に言った。
「なぜ、審判を?」
「教導団の力を見るのにいい機会と思ったからさ」
 なるほどとマクスウェルは頷いた。
「……残念なことに、これは我々審判の不手際と言う他ありませんが、部外者が乱入、一部の参加者はその者によって脱落したことが判明しました」
 セレンフィリティとセレアナは顔を見合わせ、「あいつだ!」と声に出さずに叫んだ。
「従って、今回のゲーム結果は引き分けという扱いにしたいと思います」
 参加者の間にざわめきが広がる。
「静かに! ――懸命に戦い、このような結果になったことは不満でしょう。ですが実戦でも、全くの計算違い、骨折り損になることは少なからずあります。我々も、そしてあなた方も、実戦でどうすればいいか、それを考えるいい機会になったのではないでしょうか。
 軍人として命令に従った者、己の心に従った者、様々な思いがあるでしょうが、ゲームが終わった今は同じ戦いを経た戦友として、わだかまりを捨て、相手を褒め称えて欲しいと思います」
 バレンタインはどうなるんですか、と手が上がった。
「それはわたくしの責任において、本年は実行とするよう、上申します」
 参加者の間にわあっと歓声が上がった。或いは泣き出す者も。嬉し泣きか悔し涙かは分からない。
 だが今度は、鈴はたしなめなかった。微笑んで、朝礼台を降りた。