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リアクション
○はじめに○
本リアクションには、一部に男性同士のいちゃいちゃ描写等を含みます。
また、バトルシナリオですので一部に流血描写を含みます。
いずれも過度なものではありませんが、ご留意の上お読み下さい。
一幕一場:タシガン空峡:タシガン側飛行船発着所
「皆様、本日はよろしくお願い致します」
些か緊張した面持ちで、シェスティン・ユーハンソンが一同を見渡す。
ユーハンソン家所有の大型飛行船の前には、ロサ・レビガータ護衛の依頼を受けて集まった数十人が集まっていた。
「皆様には二手に分かれて、船外の警護および、船内での警護に当たって頂きます。飛空艇などの乗り物をお持ちの方は、当家の飛行船と船団を組む形で同行して下さい。ヴァルキリーの方など、長距離の飛行が大変な方は、万が一の時までは飛行船内に同乗して下さいませ」
シェスティンの説明に、一同軽く頷いて返す。
「それから、飛行船の操縦についてはこちらの方にお任せ致します」
そう言って、シェスティンが隣に立っていたヴァルキリーの女性に目配せをすると、赤いロングヘアーを風に靡かせてレノア・レヴィスペンサー(れのあ・れう゛ぃすぺんさー)が一歩前に歩み出た。
「レノア・ヴィスペンサーだ。よろしく頼む。」
「個人の飛行艇をお持ちの方も、基本的にはレノアさんの指示に従って航行してください。空賊を発見された方は、お渡しした信号弾を打ち上げて下さいませ」
以上です、とシェスティンが告げると、集っていた一同は各々の役割を果たすために動き始める。
ある者は飛空艇の調子を確かめ、ある者は連れているワイルドペガサスの手綱を調整する。
また飛行船に同乗する者は、シェスティンに軽く挨拶をしてから、飛行船へと乗り込んでいく。
「リリ・スノーウォーカーなのだ、よろしく」
「ララ・サーズデイだ。よろしく」
そんな中、リリ・スノーウォーカー(りり・すのーうぉーかー)とララ サーズデイ(らら・さーずでい)の二人もまたシェスティンの前に歩み出て、丁寧に挨拶をする。
「白薔薇の騎士の名に賭けて、必ずやロサ・レビガータは守り通す」
ララが毅然として告げると、あら、とシェスティンは意外そうな顔をした。
「あなたも白薔薇の騎士さんですのね」
「……も、とは?」
シェスティンの言葉に、ララは訝しげに片眉を上げる。
あちらの方も白薔薇の騎士さんですのよ、とシェスティンが目で指す先には、長い銀の髪を一つに束ねた、小柄な男性――クリスティー・モーガン(くりすてぃー・もーがん)の姿。シェスティンの視線に気付いたのか、こちらを振り向く。
「やあ、君」
クリスティーと目があったララが声を掛けてそちらへ歩み寄る。
「何処の誰かは知らないが、この称号は尊敬するルドルフからもらった誇りの名なんだ。何処の誰か知らないが、生半可な奴に名乗らせるわけにはいかないな」
物腰は穏やかだが、ララの目にははっきりとクリスティーに対する敵対心が燃えている。
クリスティーもまた、黙っては居られないという様子でララに相対する。
「まてララ。あれは薔薇学のイエニチェリ、クリスティー・モーガンなのだ」
が、事を荒立てることを良しとしないリリがララを引き留める。しかしララはリリの腕を振り払うと、
「そうか、ならば手加減は無用だな。この剣で君を試してやろう」
とすらりと腰のエペを抜く。
「止めるのだ。出航前に個人的事情で事を荒立てる気か」
リリがララの前に立ち塞がる。
「どなたか知らないけど、止めないでくれるかな。僕だって相応の死線をくぐって来て居るんだ、侮辱するなら引けないよ」
しかし、クリスティーもまた静かに苛立ちの交ざった声を上げる。
ばち、と二人の視線が火花を散らした。
が。
「クリスティー、喧嘩はまずいよ。ほらほら、僕らはもう出発しよう」
三人の様子を遠巻きに見ていたクリスティーのパートナー・クリストファー・モーガン(くりすとふぁー・もーがん)がクリスティーの首根っこを掴んで、半ば引きずるように連れていってしまった。
あ、とララは覇気を削がれてしまう。
「ほら、私たちも行くのだ」
リリの声に従って、ララは渋々、連れているワイルドペガサス、ヴァンドールに跨った。
「行くぞ、プラチナム」
「はい!」
紫月 唯斗(しづき・ゆいと)がパートナーである魔鎧、プラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)に声を掛ける。
プラチナムは唯斗の声に応えるように姿を転じ、唯斗の身体を包み込む。白金の闘衣を纏った唯斗は、レッサーワイバーンに飛び乗る。
「よし、歩ちゃん、行こう!」
「うんっ、よろしくね!」
桐生 円(きりゅう・まどか)が、緊張の面持ちでいる七瀬 歩(ななせ・あゆむ)に声を掛ける。
「ニクラスさんに、何としても会ってみないと!」
「そうですねぇ〜。私達がついてますから大丈夫ですわぁ〜」
意気込む歩を、円のパートナーであるオリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)がおっとりとした調子で励ます。
「よし、出発!」
歩のかけ声で、円の飛空艇・ヴォルケーノには歩が、オリヴィアの飛空艇、同じくヴォルケーノに歩のパートナーである七瀬 巡(ななせ・めぐる)が乗り込む。
四人を乗せた二機の飛空艇は、ゆっくりと空に舞い上がった。
それを合図に、他の飛空艇やペガサス、フライングポニーやワイバーン等が次々と空へ舞い上がる。
そして最後に、全員の搭乗が済んだ飛行船が、ふわり、と浮かび上がった。
「あ、ちょっと待て!」
そんな、待つどころか慌てて発進しなければならない状況の中、場違いな声が響いた。
剣の花嫁――男性型だが――であるアストライト・グロリアフル(あすとらいと・ぐろりあふる)が、飛び立っていった飛空艇・アルバトロスを呆然と見上げている。
「クソ、なんとかしてあいつを止めねーと……!」
アストライトは苦虫を噛みつぶしたような顔で、自らの飛空艇・オイレに飛び乗った。
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