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リアクション
親友であるヴァーナーが、万博にてゆるスター喫茶を開くという報せを受けたのは少し前のこと。
「頑張ってくださいね。私、応援していますから」
連絡を受けて、ソア・ウェンボリス(そあ・うぇんぼりす)はそんな風に返し、頑張るヴァーナーのことを応援していた。
そして、今日。
ついに開催となった万博に、ソアは招待された。
広い会場で迷いそうになりながらも喫茶店を見つけ、店内へと入る。
「いらっしゃいませ〜」
美緒の柔らかな声に会釈で応え、ヴァーナーの姿を探す。居た。
「こんにちは、ヴァーナーさん」
「ソアちゃん! 来てくれたんですね〜」
手を振ると、ヴァーナーがぎゅむっと抱きついてきた。ソアもぎゅっと抱き締め返す。
そのままの体勢で、
「お誘いありがとうございます。とっても素敵なお店!」
素直な感想を述べた。
日当たりが良く明るい店内。
気分をリラックスさせるような、気持ちを落ち着かせるBGM。
既に幾人かがテーブルにつき、各々紅茶とケーキで休憩時間を満喫している。
ハグから離れ、店内の様子を見てソアはほうっと息を吐く。
みんながみんな、自然に笑顔になれる場所なんてそうそう作れるものじゃない。
きっと、大変な努力をしたのだろう。それが実って、今このスペースは実現している。
「本当に、素敵なお店」
ソアは、準備期間中に何度か差し入れに来たことがある。
伝統パビリオンで、ヴァーナーはいつも頑張っていた。
「親友として、改めて尊敬しちゃいますね。ヴァーナーさんすごいっ!」
ソアの賞賛に、えへへ、と照れくさそうにヴァーナーがはにかんだ。
「照れちゃいます。
……あ、ボク、まだやることがあるです。もっとソアちゃんとおしゃべりしたいんですけど、お仕事してきますね」
「はい。頑張ってくださいねっ。ファイトですよっ」
ぎゅっ、と両手で握り拳を作ると、ヴァーナーも同じように握り拳を作ってみせた。
こつんと拳をぶつけて、いってらっしゃいと送り出す。
これから何をしよう?
少しだけ考える。お茶を飲もうか。ゆるスターを愛でようか。どっちも素敵だ、悩ましい。
「あれ? ソアおねぇちゃん?」
その時声をかけられた。
「クロエさんっ」
魔法少女の後輩で、教えを説いたこともある少女。
「お久しぶりですっ」
傍に寄って、話しかける。クロエは、屈託のない笑みを浮かべて「おひさしぶりね!」と元気良く返した。
――そういえば、いろんな人が手伝ってくれることになったってヴァーナーさんが言っていたっけ。
クロエもそうなのだろう。ウェイトレスをやっていた美緒も。
「お手伝い、えらいですね」
「うんっ。『ひとをえがおにするのもまほうしょうじょのやくめ』よ!」
こころがだいじなのー、とクロエは笑った。
「それって、」
少し前に、ソアがクロエに伝えたことだ。
きちんと覚えていてくれたことが、ちょっと嬉しい。
「クロエさんクロエさん。私も一緒にゆるスターを可愛がりたいんですけど」
「もちろんよ。あのね、このこたちみんなおとなしくてかわいいの!」
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