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リアクション
「うわっ!!」
公民館でザカコらに背を押され、夜のライトアップの準備のため、ランタンを取りに公民館脇の倉庫へ駆けつけた委員たちに、屋根の上から雪人形が飛びかかる。降る雪を纏って肥大化したのか、それとも作ったものの意思か、子供が普通作るようなものより些か大きなサイズだ。
だが、パンパンパン、と。雪降る景色にそぐわぬ乾いた銃声が連続して響き、次の瞬間、雪人形たちはバラバラに解体されて地面に落ちた。
「運び出すもんがあるんだろ? 今のうちにさっさと運び出しな」
銃を胸元に構えたカイル・アーヴァン(かいる・あーばん)が、油断なく辺りに目をやりながら、立ちすくんだ委員たちに声を飛ばす。
「屋根の上にまだ数体いる。雷撃でやっちゃっていい?」
パートナーのノエル・プリエール(のえる・ぷりえーる)が、すでに四肢から雷の煌輝を立ち昇らせながら訊く。二人は、展示場の近くから避難し始めた人々を誘導していたが、たまたま公民館近くを通りかかって、この状況に出くわしたのだった。
「屋根を破壊すんなよ」
「そんなヘマはしないよ」
屋根の向こうの灰色の空を割くような、雷の白い苛烈な光の筋が迸った。
「突撃ー!」
ナーリルとその家族がかつて住んでいた空き家に、やけに楽しげなティエンの号令とともに、彼女と陣、義仲、ザカコが突入していった。底冷えする冷気が一同を襲い、ティエンが「うひゃー」と声を上げたが、躊躇している暇はなかった。
「間違えんなよ! 羽の形のブローチだぞ、ティエン! 義仲!!」
家の中にうじゃうじゃいる小さな雪人形の中から、見つけ出すのはその一体。
「ううっ、難儀よの。……しかし、何やら楽しくないこともないな」
群がる雪人形を片っ端から捕まえては放り投げながら、義仲が何故か笑い交じりに呟く。
もはや見つけるのが先か凍えるのが先か、という感じだ。しかし、解決は目前なのだ。ここで怯んでいるわけにはいかない。ザカコ、そして彼から話を聞いた陣たちは、ここにナーリルがいると信じて突入した。
「ナーリルちゃーん! どこー?」
「ナーリルさん! お父さんに会いにいきましょう!!」
「もしかして、こいつら、ナーリルを守ろうとして集まってんのか?」
「大人しくせい! 俺たちは敵ではないぞ!」
必死に探す四人をかく乱するように動き回っていた雪人形たちの動きが、だんだんと静まっていく……
「あ、ブローチ!」
ティエンが、一体を指差して叫んだ。
「見つけたー!!」
展示場で、巨大雪像をサポートするように動き出した雪像は、美央の挑発によってそちらに意識を奪われている間に、遠距離からの攻撃を受けて、取り敢えず足止めされている状態だった。
「やめろっ!!! もう戦いは必要ない!!!」
咆哮のような、精一杯の音声で放ったカルキノスの声が、展示場に響いた。
林道から、彼を先頭にルカルカ、セレンフィリティ、セレアナら四人が駆けてくる。
「そうよ! 雪像を攻撃する必要はもうないわ!」
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