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吸血鬼の恋、魔女の愛

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吸血鬼の恋、魔女の愛

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chapter.10 a picture book 


『はらぺこロイテホーンとうそつきリーシャ』
(原題 Leesha tells a lie to a hungry vampire. )

むかし、あるところに、ひとりの きゅうけつきがいました。
きゅうけつきのなまえは ロイテホーンといいます。
ロイテホーンは とてもくいしんぼうなので、
ほかの どうぶつたちの ちをすっては、「おいしい、おいしい」といっていました。
あまりに ロイテホーンがたくさん ちをすうので、まわりのどうぶつたちは こまってしまいました。

それをみかねた ひとりの まじょがいました。
まじょのなまえは リーシャといいます。
リーシャは ロイテホーンにいいました。
「ねえロイテホーン、そんなにたくさんのちを すっちゃだめだよ」
ロイテホーンが りゆうをきくと、まじょは こうこたえました。
「だって、そんなにいろんなちをすったら、そのうち じぶんのちがなくなっちゃうよ」
それは、まじょが ほかのどうぶつを たすけるためについた うそでした。
ロイテホーンは それをすっかりしんじて、ふあんになりました。

こわがるロイテホーンをみて、リーシャは くびをさしだします。
「だいじょうぶだよロイテホーン、これからは わたしのちをあげるよ」
まじょはいくらでもちをうみだせるから、すきなだけすっていいのだと リーシャはいいます。
「ただし、もうほかのどうぶつのちは すっちゃだめだよ」
ロイテホーンは せいいっぱいうなづくと、リーシャにありがとうといいました。
そしてふたりは ちいさなしまにおひっこしすると、そこでしずかにくらしました。
それからというもの、どうぶつたちは へいわにくらせるようになりました。

そのあと ロイテホーンとリーシャは、いっしょにいるうちに おたがいをすきになりました。
「リーシャは、わたしのことがすきか?」
ロイテホーンがたずねると、リーシャは はずかしいのでしょうか、きまってうそをつきました。
「ううん、すきじゃない」
けれど ことばとははんたいに リーシャはわらって、てをつなぐのでした。
ロイテホーンは そんなリーシャのゆびに きれいなゆびわを はめました。
ながいじかんをいきるふたりは そのながいあいだ、ずっといっしょにいれますようにとおいのりしたのです。
こうしてみんなに、しあわせがおとずれたのでした。



絵・作者:不明
原案:Tich.W.Seelah(ティック・ダブリュー・シーラー)