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ガーディアンナイツVS空賊ブラッティローズ

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ガーディアンナイツVS空賊ブラッティローズ

リアクション


ACT7 混戦の行方



「おい、見ろよ武尊!」
 と、護衛船に狙いをつけて攻撃をしている武尊をサポートしていた又吉が、上空を見上げて叫んだ。
「ブラッティローズの船が燃えている」
「けっ、大方ガーディアンナイツの奴らに攻め込まれたんだろうぜ」
「おそらくそうだろうな――だがそれなら、奴らの帰る場所も奪うまでだ!」
 そう言うと武尊は残っていた護衛船に機晶ロケットランチャーを撃ちこんでいく。
「へっ、そうだな。やられたら、やりかえしてやらねぇとな!」
 又吉は飛空挺を操り、護衛船からの攻撃をかわしながら、機関銃や大砲の死角に回り込む。
「落ちろッ!!」
 すると武尊が再び機晶ロケットランチャーで対船攻撃を仕掛けた。
「きゃあっ!?」
 その攻撃で護衛船は激しく揺れ、機関銃手の雅人を補佐していたローゼが倒れこむ。
「ローゼ、大丈夫か?」
「はい、大丈夫です雅人。ですが、このままではこの船が……」
「そうだな。このままだとヤバイぜ」
 雅人とローゼがそんな話をしていると、ひとりの女の子ー―リアトリス・ウィリアムズが古めかしい宝箱を持って護衛船の縁に走っていき、大きな声で叫ぶ。
「こらーっ、これ以上攻撃しちゃダメだよ! 宝はここにあるんだから、一緒に沈んじゃうよ!!」
 そして宝箱を大きく上に掲げた。
「おい、武尊! ありゃなんだ!?」
 と、そんなリアトリスを目にした又吉が言った。
「あれが俺たちの狙っている宝だと叫んでいるな――まあ、どうせハッタリだろ? このまま船と一緒に沈めてやる!」
 武尊はそう言うと機晶ロケットランチャーを構えた。
「待て!」
 と、そんな武尊の前をソーン3兄弟の飛空挺が横切っていく。
「邪魔をするな!」
 武尊は怒りをあらわにして、ソーン3兄弟に声を浴びせる。
「まだあの船は落としてはいけない。あれは本物かもしれない」
「なに? どういうことだ」
 武尊はソーン3兄弟から話をきいて、商船に宝がなかったことを知った。
「なるほど、敵もやってくれるな」
「今からあのお嬢さんの持っている宝をいただく、だからそれまで攻撃は待つんだ」
「ふん、自分たちの船があんな状態なのにまだ宝にこだわるのか……まあ、いいさ。好きにしろ」
 武尊のその言葉を聞くとソーン3兄弟は頷きあい、護衛船へ向かって飛空挺を走らせていく。
「えっ、なに!?」
 リアトリスは凄まじいスピードでこちらに向かってくる飛空挺を目にして、後ずさる。
 雅人や護衛船に乗っていた乗務員たちはそんなソーン3兄弟たちに向かって射撃をおこなった。
 だが3機の飛空挺は巧みな動きでそれをかわしながら、軽やかな連携で大砲などを破壊していく。
「敵のエースか!」
 雅人がそう叫ぶ。
 と、アベルの飛空挺が護衛船へと乗り込んだ。
「お嬢さん、それを渡してもらおう!」
「いやだよ! 絶対に渡さないよ!!」
 リアトリスはそう言って甲板の上を逃げる。
「チッ!」
 アベルは飛空挺を走らせてそんなリアトリスの後ろを追う。そしてついに掴まったリアトリスはアベルに抱え上げられた。
「いやだ! 離してよ!?」
「なら、大人しくそれを渡すんだ!」
 アベルはそう言ってリアトリスの手から宝箱を強引に奪いとる。
「あっ、返して! 返してよ!!」
「よし、これで目的は達した――ローズ様、いま助けに参ります!!」
 アベルは抱えていたリアトリスを護衛船の上に放り投げると、懐から信号弾を取り出して空へと打ち上げた。
 すると空に目が眩むほどの閃光が生まれ、この空域で戦っていたものたちはその手を止めた。
「あら、あれは作戦成功の合図……」
 藤原優梨子は閃光を眩しそうに見つめて、そうつぶやいた。
「なんだって、じゃあ古代シャンバラ王国の名品は――!!」
 と、優梨子と戦っていた紫月唯斗が叫んだ。
「ええ、ソーン3兄弟さんが手に入れたみたいです。残念でした」
「ううっ、そんなひどいですよ〜っ」
 ヴァーナー・ヴォネガットが涙目になりながらそう言った。
「それでは仕事は終わったみたいなので、今日はこれにて失礼させていただきます――蕪之進さん。帰りましょう」
 と、優梨子がそういうと今までどこにいたのか宙波蕪之進が光学迷彩を解いて、優梨子の声に応えるように現れた。
「ひひっ、お嬢。今日はずいぶん派手に楽しんでたな」
「ええ、なかなか楽しめました――では、行きましょう」
「待て! 逃がすか!!」
 護衛船の機関銃を操っていた新堂祐司が優梨子の背中を狙う。
「そうそう、忘れるところだった。こいつは俺からのプレゼントだぜ!」
 と、蕪之進はくるりと後ろを振り向いて手に持っていたスイッチを押した。
 すると突然護衛船のあちこちで爆発が起こり、船が崩壊を始める。
「ひひひっ、お嬢が遊んでいる間にいろんなところに爆弾を仕掛けといたんだ! ありがたく思えよ!!」
 蕪之進の笑い声が遠ざかっていく。そして優梨子たちが姿を消したのと同じくして、商船を狙っていた敵たちも次々と引き上げを開始した。
「くそっ、しまった!」
 と、崩壊する護衛船から皆が次々と逃げるなか、レンだけが飛空挺に乗ったまま船内へと突っ込んでいった。
「あっ、どこに行くんですか!? 逃げないと!!」
 仲間がそう声をかけるが、レンの姿は爆風にかき消された。そしてまた一際大きな爆発が起こると船はゆっくりと落下していく。
「レン!」
 仲間の飛空挺に乗ったメティスがそう叫んだ。
 と、爆発する護衛船の中からレンの乗った飛空挺が飛び出してくる。それをみた仲間たちは歓声をあげた。
「――危なかったが、なんとか守りぬけたようだな」
 レンはそう言って脇に抱えた古ぼけた木箱を見つめた。
「もう一隻は誰かが落としたのか」
 大きな爆発音を耳にした武尊がそちらを見てみれば、護衛船が空の下へと落ちていく姿が目に映った。
「よし、じゃあ俺たちも最後の仕上げといこうぜ!」
 又吉がそう言って小型飛空挺を護衛船の下へと周りこませた。そして機晶ロケットランチャーを構えていた武尊は船底に向かってトリガーを引いた。
 それが致命傷となって護衛船は大きく傾き、爆発を引き起こす。
「じゃあな、ガーディアンナイツ!」
 武尊はそれを確認すると、又吉と共に引き上げていった。
「うわわあっ!」
 と、船上に乗っていたリアトリスが爆風に飛ばされて甲板の上に倒れる。
「くそ、ここでお陀仏か!?」
 雅人はそう言って目をつぶった
「みんな大丈夫ですか!」
 と、そこへ精鋭たちを撃退してやってきた真人や空賊たちと戦っていた久たちが助けにやってきた。
 空を飛ぶすべをもっていなかったガーディアンナイツたちはそんな仲間に助けられて、護衛船から脱出する。
「護衛船はすべてやられて……名品も盗られてしまった」
 仲間を助けて空へと避難した真人が沈んでいく護衛船を眺めてぽつりとそうつぶやいた。
「あっ、それならきっと大丈夫だよ」
 と、助けたリアトリスがニコリと微笑む。
「どういう意味ですか?」
「だって敵が持っていったのは僕が街で買って用意しておいた偽物だもん。だから本物の宝物はきっと盗られてないよ」
「えっ、あっ、そうなんですか?」
 真人は目を大きく見開いてただただ驚くのだった。



 一方、ブラックローズ号の中は混沌と化していた。いくつもの思惑をもった人々が絡み合い、その本能のままに争いを繰り広げる。
「やあっ!」
「でやあっ!!」
 艦橋で激しくぶつかり合っていたハーレックたちと雪だるま王国のメンバーたち。
 と、そんなことなど知らないガーディアンナイツのメンバーが空賊に案内されてようやく艦橋へとたどり着いていた。
「ご苦労さん、もうあんたは行っていいぜ」
 緋山政敏がそう言うと、空賊はスタコラサッサと逃げ出した。
「みんないくぞッ! 覚悟はいいな!」
 と、みんなの前に立つパラミティール・ネクサーがそう言った。
 ガーディアンナイツたちはその言葉に頷き、武器を構える。
「よし、突撃だ!」
 パラミティール・ネクサーはそういうと戦闘用ドリルでドアを突き破り、艦橋内部へ入り込んだ。
「蒼空の騎士パラミティール・ネクサー、参上! ブラッティローズ覚悟しろ!!」
 中に入ったパラミティール・ネクサーはそう名乗りを上げると、戦闘態勢をとって艦橋の中を見回した。
 と、そこにいたハーレックの姿を捉えると中の人が驚いた。
「おまえはたしか――自由無法同盟のガートルード・ハーレック! なぜこんなところに! いや、それよりブラッティローズはどこにいるんだ!?」
「誰かと思えば、ガーディアンナイツの皆さんですか。残念ながらここにはブラッティローズはもういません」
「なに!?」
「あなた達が探している人なら今頃はもうここから逃げ出していると思いますよ」
 ハーレックはそう言うと、口元に笑みを浮かべた。