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ガーディアンナイツVS空賊ブラッティローズ

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ガーディアンナイツVS空賊ブラッティローズ

リアクション

「……まったく、うるさいですね」
 優梨子たちとは離れた場所を飛んでいた別の護衛船。その甲板の上でいまだに紅茶を飲み続けていたアルコリアは、イラついた口調でそうつぶやいた。
「マイロード、そろそろ出陣なさいますか?」
 紅茶を入れていたパートナーのナコトが主にそう尋ねる。
「そうね。ガタガタ揺れて落ち着いて紅茶も飲めませんし、そろそろ行こうかしら」
「あーっ、それならあたしもいく! アルママと一緒におそらとびたい!!」
 と、割って入ってきたのは眞綾。眞綾の話を聞いたアルコリアは笑顔を浮かべる。
「しょうがないですね。その代わり大人しく座って見ているんですよ」
「はーいっ!」
「マイロード、ひとり頑張っているシーマも大変そうですわ。出るのなら早めに行きましょう」
 そう言ってナコトが空を見上げると、そこには商船へと近づく敵を相手にひとり奮戦しているシーマの姿があった。
「はああッ!!」
 二刀の構えを見せ、ふたつのプリンス・オブ・セイヴァーを鮮やかに操るシーマは空賊機を叩き落していく。
「もらったぜ!」
 そんなシーマの後ろに敵機が張りついた。そして手にしたクロスボウでシーマを狙う。
「くそっ!」
 後ろにつかれたシーマは攻撃をかわしながら、なんとか逃げようと空を飛びまわる。
「覚悟しな!」
 と、今度は真上からバトルアックスを振りかざす敵が現れた。
「挟み撃ちか!?」
 シーマが叫び、上下から挟み撃ちにする空賊2人が一斉に攻撃を繰り出そうとしたその時――。
「ようこそ、闇の庭園へ」
 そんな声が突如として響き、突然あたりが暗闇に包まれた。
「なっ、なんだ! どうなってる!?」
「いきなり真っ暗になっちまったぞ!?」
 暗闇に包まれシーマの姿を見失った空賊たちがうろたえていると、前方から薄っすらと何者かの姿が浮かび上がってくる。
 現れたのは名付しがたき獣に乗ったナコトだ。
「……貴様たちも亡者の仲間にして差し上げますわ」
 ナコトがそう言うと、悍ましい気配と共にレイスたちが空賊たちの周りに現れた。
「うっ、うわああっ!!」
「ゆ、幽霊だぁ!?」
「その者たちの顔は貴様たちが殺めてきた人々の顔……さぁ、もっとじっくりごらんになって?」
「ぎゃっ、ぎゃあああ!!」
「ひぎぃぃぃっっ!!」
 レイスたちの顔を見て完全に正気を失った空賊たちは、ここが空の上であることも忘れて、飛空挺の外へと逃げるように飛び降りた。
「あ、れ――?」
「そういえば――」
 空賊たちが気付いた時にはもう遅い。彼らは空から本当の闇の中に落ちていく。
「大丈夫でしたか、シーマ?」
 すべてが終わり、闇の化身から元の姿に戻ったナコトはシーマにそう言った。
「とりあえず助かった。礼を言おう」
「どういたしまして」
 と、パタパタと飛ぶ名付しがたき獣に乗ったアルコリアと眞綾がふたりに近づいてくる。
「ふたりとも、とりあえず遊び相手はたくさんいますし、商船を守りながらお空の空中散歩と洒落込みましょうか」
 アルコリアはそう言うと、奪魂のカーマインと栄光の刀を使って敵への攻撃を始めた。 シーマとナコトはそんな主に付き従う。
「あたしもアルママたちのおてつだいをするよーっ! いっせーのせっ!!」
 そう言うと眞綾は怒りと嫌悪が入り混じる歌を歌い、アルコリア達のサポートをする。
 と、突然アルコリアの後ろで大きな爆発が起こった。
「なんですか?」
 アルコリアが肩越しに後ろを振り返ると、先ほどまで紅茶を飲んでいた護衛船が火を吹いて墜落していく姿が目に映った。
「まずはひとつ!」
 煙りを立ち昇らせる機晶ロケットランチャーを構えた国頭武尊が、小型飛空挺の上でそう言った。
「へへへっ、やったな武尊! 読み通り、護衛船の方は楽勝だぜ!」
 小型飛空挺の操縦を行う又吉が、墜落していく護衛船を見ながらそう言って笑う。
「空の上で帰る場所を失えば、どんな奴でもいずれは力尽きる」
「その通りだぜ、武尊!」
「又吉、次だ!」
「おうよ!!」
 又吉は意気揚々と返事をすると、小型飛空挺の姿を光学迷彩で隠し次の目標に向かって移動していく。
「護衛船がやられた!?」
 小型飛空挺を操り、商船に群がる敵を相手に戦っていた御凪真人が墜落していく護衛船を見て驚きの声を上げた。
「ちょっと、聞いてないわよ!」
 セルファが、小型飛行艇の上から真人に向かって叫ぶ。
「何事も思惑通りにはいかないものじゃのう」
 しみじみとした様子でそうつぶやくのは白。
「やられましたね……ですが、取り乱したりしてはダメですよ。俺たちは冷静に行動しましょう」
 真人はそう言うと、護衛船の沈没を見て勢いを増した敵勢力に向かってサンダーブラストを撃ち放つ。
 それをかわし、敵は空中で散開した。
「よし、敵が散らばりました。作戦通りにいきましょう」
「OK!」
 真人の言葉にセルファは答え、小型飛空挺のエンジンを全開にすると分断した敵の一部に向かって突っ込んでいく。
 全速力で空を翔るセルファは敵とのすれ違い様にチェインスマイトをお見舞いし、飛空挺を破壊する。
「やろう!!」
 少し離れた場所にいた空賊たちがそんなセルファを攻撃しようとしたが、突然やってきた稲妻に全員がやられてしまう。
「まあ、こんなもんじゃろう」
 白はそうつぶやきながら空賊たちに狙いを定めて、再びサンダーブラストを放つ。
「……変ですね」
 と、敵を撃墜あるいは分断するように魔法攻撃を行い、冷静に周囲の状況を見つめていた真人は、敵の動きに何か違和感を感じた。
(彼らは商船に近づくような素振りを見せはしているが、僕らをこの空域に惹きつけて戦っているように見える……もしや本命は別のところから商船に侵入を?)
 真人がそんなことを思っていると、戦闘空域の上空でケミカルライトの光がチラチラと動く。
「あらかじめみんなに光信号とかのことは話しておいたけど――伝わったかな?」
 望遠鏡を片手に上空から敵の同行を探っていた真田舞羽は、大勢の空賊集団が戦う空域からひっそりと抜け出して、下方へと消えていく3機の機体を見つけた。
 本来ならば通信で味方に連絡を入れるところだが、敵が強力なジャミングを行っているので、街に買出しに行って用意しておいたケミカルライトを使った光信号で味方にその事を伝達する。
「元々、通信を断つつもりで色々と用意しといてよかったな」
 ジルベルが舞羽に向かってそう言う。
「そうだね、でもちゃんと伝わったかどうか心配だよ。暗号表も配ったけどいきなり覚えるのは難しいと思うし――」
 舞羽はそう言いいながら、望遠鏡を覗き込む。
 舞羽が望遠鏡で見つめる先は戦場。サインに気づいたものが、いるかどうかを探す。
 と、真人たち3人が舞羽のサインに気づいて動き出す姿が見えた。
「あっ、御凪くんはわかってくれたみたいだよ。さっすが! 頭いいーっ!!」
「他の奴らはどうなんだ?」
「うーん、そうだね。他の人たちの中に気づいた人はいないみたい。戦闘中だし、しょうがないかな」
「まあ、気づいてくれた奴がいただけでもいいだろう。俺たちもあの3機の後を追おう。きっとアイツらが船員たちが行ってた敵のエースさんだろうぜ」
「そうだね。お宝を盗られちゃ困るもんね」
 舞羽とジルベルはそう言うと、ソーン3兄弟の後を追って動き出した。