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ガーディアンナイツVS空賊ブラッティローズ

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ガーディアンナイツVS空賊ブラッティローズ

リアクション

 ハーレックたちとひと悶着が起こった後、ブラッティローズが腰につけていた無線機に通信が入る。
「姉さん、ソーンの兄貴たちから電信がありました。我、コレヨリ、帰還ス、との事です」
「そうかい、なら着艦場所を空けておいておやり。ここは狭いからねえ」
 ブラッティローズはそう言うと部下の返事も聞かずに一方的に無線を切った。
 それから数分後。
 エンジンの音を響かせて数機の小型飛空艇が島の周囲に現れた。
 先行していた3機はものすごいスピードで着陸を敢行しようとしている。
 素人目に見ても、島の中に無理矢理作られたこの飛空艇ドッグにあのスピードで突っ込むのは自殺行為のように見えた。
 だが、ブラッティローズは椅子に座ったまま立ち上がることもなく、手にした鉄扇を広げてパタパタと仰ぎながらその様子を眺めている。
「まったく男ってのはどうしょうもないバカだねぇ」
 と、3機の飛空挺は巧みな動きで減速し、次々と上手い具合にドッグの中に収まっていく。
 そしてその飛空艇から3人の男たちが降り立った。
 ひとりは紳士のような口ひげを生やし、空賊というよりも貴族や騎士といってもいいような風貌をした男。
 もうひとりはその男よりも若く体格のよい厳しい面構えの男。そしてもうひとりは前のふたりよりさらに若く、派手でヤンチャな服装をした男だ。
「ローズ様、ただいま戻りました!」
 そんな見た目にも個性がバラバラな3人の中のひとり――口ひげを生やした男が、そう言いながらブラッティローズに近づいていく。
「お帰り、アベル。良い情報は手にはいったかい?」
 ブラッティローズは男の名を呼んでそう言うと、そっと左手を差し出す。
 アベルと呼ばれた男はその手を取ると、その指に恭しく口づけをした。
「はい、もちろんです」
「そうかい、さすがは私の右腕。ソーン3兄弟の長男だね」
「ありがとうございます」
「……ローズ様、公社の奴らは出発時間を少しばかり早めたようだ。こちらも早々に出発した方がいい」
 と、厳しい面構えの男――ソーン3兄弟の次男・ウダルがブラッティローズにそう言った。
「そうかい、なら準備を急がせないとね」
「あっ、そうだローズ様。あともうひとつ情報があるんだよね。なんでもガーディアンナイツとかいう奴らが今回のターゲットの護衛についたらしいんだよ。まあ、俺の敵じゃないだろうけどね」
 兄のアベルとウダルの間から三男のイビルが顔を出してブラッティローズにそう告げる。
 するとブラッティローズはくすりと笑って顔を横に向けた。
「ああ、それなら知ってるよ。あそこにいる女にさっき教えてもらったからねえ」
「えっ!? それホント?」
 イビルは驚きながら、ブラッティローズが視線を送る先に目を向ける。
 そしてそこにいたハーレックの姿を見ると声をあげた。
「わおっ、めちゃくちゃカワイイじゃん! 俺のタイプだ。よし、さっそく口説きに――」
「待て、イビル」
 と、ハーレックの元へ向かおうとしたイビルの首根っこをアベルが掴んで止める。
「なにすんだよ、兄さん!?」
「声をかけるのはいいが紳士的にな、それとローズ様への報告をすべて終わらせてからだ。まだ彼らを紹介していないだろ?」
「んっ、彼らってのは誰だいアベル?」
「はい、ローズ様。実は我らの仲間になりたいという者たちがおりまして、人手が多くて困ることはないと思い、私たちが連れて参りました」
「なるほどねぇ……まあ、あんたらが連れてきたんだ。信用するよ。ここに連れてきな」
「……そう言うと思って、もう連れてきている」
 ウダルがそう言って横に退くと、そこには高崎 悠司(たかさき・ゆうじ)藤原 優梨子(ふじわら・ゆりこ)宙波 蕪之進(ちゅぱ・かぶらのしん)の姿があった。
「どうもはじめましてブラッティローズさん。私は藤原優梨子といいます。これはお近づきのしるしです」
 優梨子はそういって、パートナーの蕪之進が持っていた日本酒と宝石の彫像をブラッティローズに手渡した。
「へぇ、気が利くねえ。気に入ったよ、アンタ」
 貢物をもらったブラッティローズは機嫌をよくしてそう言う。
「ひひっ、お嬢。みやげを持ってきて正解みたいだったなァ」
「そうですね、蕪之進さん」
「あーっ、すんません。俺はそいつらみたいにみやげものはないんすけど、とりあえず雑用でもなんでもやるから仲間に入れてくれればありがたいなと……」
 頭をかきながらそう言ったのは悠司。
 ブラッティローズはそんな悠司の体を上から下へとねめまわす。
「まあ、体つきはしっかりしてるし力仕事もできそうだ。いいだろう、今日からアンタもアタシらの仲間に入れてやるよ」
「そいつはどうも」
「とりあえず、アンタは出力ルームへ行きな」
「出力ルーム? なんすか、それ? 機関室の一部っすか?」
「フッ、いけばわかるさ」
 そう言ってブラッティローズはニッと笑う。
 そばにいたソーン3兄弟は悠司を少し哀れむような目で見ていた。
「――さて」
 ブラッティローズは小さくそうつぶやくと、広げていた鉄扇を勢い良く閉じて椅子から立ち上がる。
 そして大きな声でこう言った。
「ソーンたちも帰ってきた。アンタたち、そろそろ狩りに出かけるよッ!」
 それを聞いたブラッティローズ一味は意気揚々と声を張り上げ、出発のために動き出した。