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ガーディアンナイツVS空賊ブラッティローズ

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ガーディアンナイツVS空賊ブラッティローズ

リアクション

 雪だるま王国の面々が協力して船の塗装を行っている頃。
 御凪 真人(みなぎ・まこと)とそのパートナーセルファ・オルドリン(せるふぁ・おるどりん)名も無き 白き詩篇(なもなき・しろきしへん)は今回の仕事での各人の動きを話し合いながら、情報収集のためにツァンダの街へ向かおうとしていた。
「――……という感じでみんなには動いてもらえればと思います」
「OKよ、真人。その作戦でいきましょう」
「わらわも了解したぞ」
「セルファ、白、お願いしますね」
 と、真人たちの後ろから誰かが声をかける。
「よお、あんたらも街まで出かけるのかい?」
 3人がその声に振り向くとそこには閃崎 静麻(せんざき・しずま)クリュティ・ハードロック(くりゅてぃ・はーどろっく)クァイトス・サンダーボルト(くぁいとす・さんだーぼると)レイナ・ライトフィード(れいな・らいとふぃーど)4人の姿があった。
「えっと君たちは――」
 真人が4人を見て少し困ったように眉をひそめる。
「ああ、そうか。前に一緒に仕事をしたがお互いに名乗ったりはしなかった。俺は閃崎静麻。そんでもって、他の3人が俺のパートナーだ」
「私はレイナ・ライトフィードです。よろしくお願いします」
「クリュティ・ハードロックだ」
「…………」
 と、皆が自己紹介をするなか、クァイトスだけは口を固く閉じたまま、まったくじゃべる気配を見せない。
 それを見た静麻は慌ててフォローに入る。
「ああっ、すまん。こいつには発声機能がついてなくてな。クァイトス・サンダーボルトっていうだ」
 静麻たちの自己紹介を聞いた真人は自分たちのことも相手に紹介すると再び話を始めた。
「えっと年齢が近そうだから静麻と呼ばせてもらいますね」
「わかった。じゃあ俺もあんたのことは真人って呼ばせてもらうぜ」
「じゃあ静麻。俺たちになにか用でも?」
「ああっ、街まで出るならせっかくだし一緒に行かないかと思ってね。袖振り合うも多少の縁ってやつだ」
「なるほど。静麻は街まで何をしに?」
「まあ、主に敵の情報収集だな。交友のある空賊がちょっくらいるもんで、そいつから何か聞ければと思ってさ」
「じゃあ目的はだいたい一緒ですね。短時間で情報を集めるなら人が多い方がいいし……そうですね、では一緒に街まで出ましょうか」
「ああ、そうしようぜ」
 静麻と真人がそう話をつけて歩き出そうとすると、またもや誰かが声をかけてきた。
「あっ、すいませーん! もしよかったら私たちも仲間に入れてほしいんですけど」
 街に向かおうとしていた一行が振り向くと、そこにはニコニコと微笑む元気のよさそうな女の子が長い銀髪をバンダナで纏めたワルそうな男を連れて立っていた。
「見ない顔だな。新入りかあんたら?」
 静麻が2人にそう聞くと、女の子は明るく返事をする。
「ハイ、そうです! 私、”真田まいはーと”略して真田 舞羽(さなだ・まいは)! よろしくね」
 そんな舞羽に続いて銀髪の男も自分の名を告げた。
「オレはジルベル・アドラー(じるべる・あどらー)。こいつのパートナーだ」
 2人が名乗ると他のみんなも挨拶を返す。
「あの……よかったら俺も一緒に連れていってもらえませんか?」
 と、少し遠慮がちにみんなにそう声をかけてくる地味で頼りない感じの青年がひとり。 彼は影野 陽太(かげの・ようた)と名乗り、ガーディアンナイツの募集を見て今回から参加したと言う。
「あっ、僕たちも今回から参加したんだ。みんな、よろしく!」
 さらにそう言って声をかけてきたのは好奇心で瞳を輝かせた少女のように見える少年神和 綺人(かんなぎ・あやと)
 彼は自分の名前をみなに告げると、パートナーを紹介する。
「こっちがパートナーのクリスだよ」
「皆さんはじめまして、アヤのパートナークリス・ローゼン(くりす・ろーぜん)です。よろしくお願いします」
 クリスはそう言うとぺこりと頭を下げた。
「あの、ところで皆さん集まって何をやってるんですか?」
 話もわからない状態で綺人が声をかけてしまったので、パートナーのクリスは苦笑いを浮かべながらそう訊ねた。
 そして他のみんなから街へ行くことを聞き、自分たちも同行することにした。
「ねぇ、みんなでどこに行くの?」
 と、今度は犬耳に犬のしっぽを生やした女の子・リアトリス・ウィリアムズ(りあとりす・うぃりあむず)が興味深そうに話しかけてくる。
 静麻がこれからみんなでツァンダの街まで出かけることを告げると、リアトリスもそれに付いていくと言った。
「なんだかずいぶんと人が増えてしまいましたね」
 集まった仲間たちを見ながら真人がそうつぶやくと、セルファがそれに答えるように言った。
「いいじゃない。にぎやかな方が楽しいでしょ?」
「セルファよ、われらは遊びに行くわけではないのだぞ」
「もう白は真面目なんだから……とにかくここにいてもしょうがないし、さっさと街まで行きましょう」
 そう言うと、セルファはスタスタと歩き出す。
 集まっていたガーディアンナイツの仲間たちは、そんなセルファに付き従うように街へと向かって歩き出した。
 と、その輪の中に上手く紛れ込んでいくひとりの女。
 それは大きな胸と長い赤髪がとても印象的で男ならば一度目にすれば忘れることはないような魅力的な大人の女――ヴェルチェ・クライウォルフ(う゛ぇるちぇ・くらいうぉるふ)だ。
(ふふふっ、このコ達、ガーディアンナイツには悪いけど、お宝ゲットの為にまた利用させてもらちゃおうっと♪)
 ヴェルチェは内心でそうほくそ笑む。
 彼女はサンドタウンの一件でもガーディアンナイツとして参加し、最後にはお宝と敵のボスを掻っ攫った女で、今回もどうやらよからぬことを考えているようだ。
 だが、そんなヴェルチェの存在に気付くものはまだこの時は誰もいなかった。



 ところ変わって、ここはカルバナの執務室。そこでなにやら話をしている人物がいた。
 それはサングラスをかけた銀髪の男レン・オズワルド(れん・おずわるど)とそのパートナーメティス・ボルト(めてぃす・ぼると)
 メティスがカルバナに何かを語り、カルバナは目を閉じてその話にじっと耳を傾けている。
「――……私からの提案は以上です」
 と、メティスが話を終え、一歩後ろへと下がった。
 カルバナは瞳を閉じたまま「ふむ」とひとつ唸る。
 そして逡巡する思いを断ち切るように重い瞼を開けた。
「敵を欺くにはまずは味方から、ですか?」
「ええ、そういうことです。ですからこの話は……」
「――わかっております。他の方には伏せて事を運ばせましょう」
「では?」
「ええ、あなたの言う通りにやらせていただきます」
「ありがとうございます」
 メティスはそう言いながらカルバナへ軽く頭を下げた。
「……カルバナさん、あとひとつだけいいか」
 と、いままで黙って事の成り行きを見守っていたレンが口を開く。
「なんですかな?」
「例のモノは俺たちが乗る船へ頼む」
「わかりました」
 カルバナがそう言ったのとほぼ時を同じくして、執務室の扉がノックされる。
「――どうぞ」
 カルバナの声と共に扉が開き、執務室に入ってきたのはふたりの女の子――リネン・エルフト(りねん・えるふと)ヘイリー・ウェイク(へいりー・うぇいく)
 そして金色の髪をポニーテールにしているヘイリーが部屋の中にいたカルバナを見るなり、口を開いた。
「失礼します。ガーディアンナイツの担当官、カルバナさんですよね?」
「そうですが、何かご用ですかな?」
「はい、少しお話が……」
 ヘイリーはそう言いながら先に部屋にいたレンとメティスへと何気なく視線を向ける。「……俺たちの話は終わった。失礼させてもらう」
 雰囲気を悟ったレンはそういうと部屋を後にした。メティスはカルバナやヘイリーたちに会釈をしてから、レンに続いて部屋を出る。
「邪魔……しちゃったかな」
 リネンが去っていった2人の方を見ながら少し不安そうにつぶやく。
「そんなことはありませんよ。彼らとの話はもう終わっていましたから」
「……なら、よかったわ」
 カルバナの言葉を聞いて、リネンはホッと息をついた。
「ところで、私への用とはなんですかな?」
「ええ、実は――……」
 ヘイリーがカルバナに向かって話を始める。
 その話とは、彼女たち【シャーウッドの森空賊団】も前からブラッティローズを追っており、今回の護衛の話を聞いたので自分たちも一緒に同行したいというものだった。
「呉越同舟……で、いいのかしら? ブラッディローズは私たちも追っていた相手……今回は協力させてもらうわ」
 ヘイリーの話が終わると、リネンがカルバナにそう言った。
 それを聞いたカルバナは表情を崩して笑みを浮かべる。
「なるほど。そういう話ならば歓迎しますよ。こちらでお手伝いできることがあれば、言ってください」
「ありがとうございますカルバナさん。じゃあさっそく甘えちゃおうか、リネン?」
「そうね」
 ヘイリーの言葉にリネンは頷き、シャーウッドの森空賊団はカルバナに破壊工作に必要な道具を用意してくれるように頼み込んだ。