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ガーディアンナイツVS空賊ブラッティローズ

リアクション公開中!

ガーディアンナイツVS空賊ブラッティローズ

リアクション

「チッ、気に食わないねぇガーディアンナイツ――今日の事は絶対に忘れないよ!」
 不機嫌な表情でそんなことを喚いているブラッティローズは、脱出用の小型飛空挺が置いてある場所へと続く道を歩いていた。
 そしてようやく飛空挺の格納庫まで辿りつくと、ブラッティローズは中へと入っていく。
「さて、こいつを動かしてここは逃げるかね。まあでもタダじゃ終わらないよ……みてな、ガーディアンナイツ!」
「見つけましたよ、ブラッティローズ!」
 と、そんなブラッティローズの背後から誰かの声が響く。
「誰だい!?」
 そう言ってブラッティローズが後ろを振り返ると、そこには雪だるま王国のメンバー・鬼崎朔たちの姿があった。
「朔様の言うとおり、ブラッティローズは逃げようとしていたのでありますね!」
「よし、さっさとこいつをとっ捕まえて帰ろうぜ」
 スカサハとラインハルトはそう言うと戦闘態勢に入る。
「まあ、待てよ2人とも」
 と、鬼崎洋兵がそう言っておもむろに前に出た。
「相手は女性なんだ。怖がらしたらいけない」
「フフっ、ずいぶんな紳士だね。アンタ」
 ブラッティローズが洋兵に向かってそう言う。
「女性は守るものだって昔からいうだろ? だから俺は女は撃ちたくねぇ……なあ、キミ。俺を信じて投降してくれないか?」
「もし断ったら、どうするんだい?」
「俺も男だ……その時は躊躇わずにキミを撃つ。これ以上キミが悪事を重ねないようにな」
「そうかい――じゃあ、これでも撃てるかい?」
 ブラッティローズはそう言うと、胸の谷間から何かスイッチのようなものを取り出した。
 そしてそのスイッチを押すか押さないかという位置に自分の親指を添える。
「それは!?」
「これかい? これはこの船の爆破スイッチさ――アタシは奪うのは好きだけど、奪われることは嫌いでね。だからアタシはこの船を捨てるのさ」
「やめなさい!」
 ブラッティローズに向かって朔が叫び、スイッチを押すのを止めた。
 もし爆破などされてしまっては、雪だるま王国がこの船を使うことができなくなる。それに何よりも仲間たちが無事に脱出できるかどうかが朔は心配だった。
「爆破スイッチ――あんなものを持っているとは厄介だな」
 と、朔たちとブラッティローズのやり取りを気配を消して陰からひっそりと見つめていたサルヴァトーレがつぶやいた。
「今のうちに狙撃しては?」
 サルヴァトーレと同じように陰に隠れていたヴィトがスナイパーライフルのスコープを覗きながらそう訊ねる。
「いや、もう少し待て。あれを見てみろ」
 サルヴァトーレがそう言いながら視線を向けた先――脱出用の飛空挺の後ろに、ベルフラマントと迷彩塗装で気配を絶ったガーディアンナイツの影野陽太がゴム弾を詰め込んだショットガンを構えて表に出るタイミングを見計らっていた。
(まっ、まさかこんな状況になるなんて、緊張しちゃうな)
 陽太はドキドキと高鳴る胸を落ち着かせようと、何度も深呼吸をする。
「いいかい、近づくんじゃないよ」
 ブラッティローズはそういいながら、飛空挺がある後ろへとじりじり下がっていく。
 と、突然格納庫の壁の一部が派手な音と粉塵を撒き散らして崩壊した。
「なっ、なんだい!?」
 それに驚いたブラッティローズは思わず立ち止まる。
「――よし、今だ!」
 その隙を見て、飛空挺の後ろから陽太が飛び出した。
 そしてブラッティローズが手に持っていた爆破スイッチを狙ってショットガンの銃口を向ける。
「ヴィト、あの小僧が撃つのと同時にブラッティローズを殺れ!」
 と、それを見たサルヴァトーレがヴィトに指示を出した。
「なにッ! そんなところに!?」
「ええいッ!!」
 ズドンッ、と大きな音が周囲に響いた。
 そして陽太が放ったゴム弾はブラッティローズの手から爆破スイッチを弾き、ヴィトが狙いをすまして放った銃弾はその胸を撃ち抜いた。
「――あっ!」
 ブラッティローズは鮮血を撒き散らしてその場に倒れる。
「えっ、あっ、そっ、そんな! おっ、俺は実弾は使ってないのに――!」
 倒れたブラッティローズの体から血が流れ出しているのを見た陽太は、腰を抜かしてその場に尻餅をついた。
「ぐっ、ちっ、チクショ……!」
 と、ブラッティローズが最後の力を振り絞って落ちた爆破スイッチに腕を伸ばす。
「そこのおまえ! 何をしているんだ!! 早くそのスイッチを拾えッ!!」
 それを見た朔が陽太に叫んだ。
「あっ、ああっ……はっ、ハイ!」
 陽太はそう答えると、四つん這いでなんとか前に進みスイッチに手を伸ばす。
 だがそれよりも早くブラッティローズが爆破スイッチを掴み取る。
「フフっ、薔薇には棘が……ある……のさ」
 そしてブラッティローズはそう言ってスイッチを押すと力尽きた。
「役立たず!!」
 それを見た朔はそんな言葉を吐き捨てて踵を返すと、パートナーたちと共に逃げ出していく。
「――俺たちも行くぞ」
 サルヴァトーレがそう言うと、ヴィトは頷き、主人と共にこの場から姿を消した。
「ケホンケホン――あれ? ここはどこ?」
 と、粉塵が払われ、壊れた壁の向こうから現れた秋月葵が首を傾げる。
「葵さん、また検討違いな場所なのですか?」
 葵のトレジャーセンスを頼りに壁を壊して船内を進んでいたニーナはため息をついた。
 どうもトレジャーセンスでは上手くブラッティローズを見つけられず、おかしなところばかりを回っていた。
「まあまあ、失敗は誰にでもありますから」
 そう言って苦笑いを浮かべるのは葵たちと一緒に船内を回っていた風祭優斗。
 と、突然船内が激しく揺れ、爆発音が響き渡った。
「なっ、なんですか!?」
「わかんないけどきっとピンチだよ!!」
「ええっ、ここから逃げないと爆発に巻き込まれてしまいますわ。飛空挺でもあればいいのですが――」
 そう言ってニーナが周囲を見るとそこには都合よく脱出用の飛空挺があった。
「そっか、わかった! きっとあの飛空挺があたしの感覚に引っかかったんだよ!」
「たまたまのような気もしますが、今はそんなことをどうでもいいですわ。あれに乗って逃げましょう!」
「運転は僕にまかせてください!」
 3人はそういい合いながら飛空挺へと駆け寄っていく。
 と、その途中で倒れて動かないブラッティローズとどこか気の抜けた陽太の姿を見つけ、3人は足を止めた。
 事情はよくわからなかったが、説明を聞いている時間はなかったので優斗が陽太を引き起こして飛空挺に乗せた。
「すこし重量オーバー気味ですけど……飛んでくださいよ!」
 優斗たちを乗せた飛空挺はゆっくりと動き出し、格納庫を脱出していった。