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【借金返済への道】ホイップ奉仕中!

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第7章


 鳥のさえずりも爽やかに、朝となった。
 チェックアウトの時間だ。


「良い経験ができたよね!」
「まあまあだったな」
 和子とボビンもチェックアウトを済ませ、出口へと向かっていた。
「和子さーん! ボビンさーん!」
 2人は呼ばれて後ろを振り返ると、ホイップが走って来ていた。
「ホイップ!?」
「声かけてくれればよかったのに」
「忙しそうだったから……わざわざ見送りに?」
「うん!」
「ありがとうー!」
 和子が嬉しそうなのを見て、ボビンも少し嬉しそうだ。
 そのまま出口まで見送り、ホイップは最後の仕事へと戻って行ったのだった。

■□■□■□■□■

 従業員はお客様がいなくなってから、各部屋の清掃をしている。
 これが最後の仕事だ。
 ホイップは朝霧 垂(あさぎり・しづり)と組んで、部屋の掃除をしていた。
「なぁ、ホイップ。お前は何でこうやってバイトをして借金を返しているんだ?」
 シーツを取り変えながら、垂が質問をする。
「えっ? うーんと……これも、楽しいから……かな」
「そうか……知ってるか? 地球では、お客さんが枕元に置いて行ったお金を、受け持ちのがチップとしてもらう事が出来るんだ。んで、お前が最後に受け持ったこの部屋にも置いてあったから、これはお前の物だな」
 垂はそう言って、10万Gと書かれた小切手をホイップに渡した。
「えっ!?」
「一生懸命働いてたもんな、見ている人はちゃんと見てるんだよ。それは、お前の頑張りに対するご褒美の様な物だから、受け取らないのはかえって失礼だぞ?」
「…………うん、ありがとう。でもやっぱり受け取れないよ」
 ホイップは笑顔で言った。
「分かった。それならこの小切手は持ち主に返しておくよ」
「うん!」
 垂は小切手をポケットへと入れる。
 本当は垂のポケットマネーだったのだ。
「この部屋はもうばっちりだね!」
「ああ、次に行くか」
「うん!」
 2人は次の部屋の掃除に向かって行った。
 3時間ほど掛かって、ホテルの掃除は終了したのだった。

■□■□■□■□■

 従業員用の更衣室。
 約束通りホイップはルカルカと一緒にいた。
「ファスナー下ろすね」
「ありがとう」
 ルカルカがホイップのファスナーを下ろし、お返しにホイップもルカルカのファスナーを下ろす。
 メイド服を脱ぎ、私服へと着替える。
「はい、ホイップ」
「ん? なあに?」
 ルカルカは2つの箱をホイップへ渡す。
「これ、恋のお祝い。誘拐とか女王器の騒動で用意できなかったから」
「えっ? 悪いよ!」
「良いの! これは私が渡したいから渡すんだもん」
「ありがとう」
 中を開けるとロケット付き携帯ストラップが出てきた。
「片方はホイップので、片方はエルさんの分」
「本当に良いの!?」
「もちろん!」
 ホイップは素直に受け取る。
「何時でも何所にいても、私はずっと貴女の味方よ」
 ルカルカはホイップを柔らかな笑顔で抱きしめたのだった。

■□■□■□■□■

 着替えが終わって、ホイップが帰ろうとした時、後ろから声を掛けられた。
「ホイップちゃん。一緒に観覧車に乗らない?」
「えっ? でも……もう終わってるんじゃ……」
「観覧車は別なんだって」
 ホイップはエルの言葉を聞いて、一緒に観覧車へと歩いて行く。

「今日のお客様1号ですね。足元お気を付け下さい」
 陽太はぎりぎりまで仕事をしているらしい。
 エルが先に乗って、ホイップの手を取り、ゴンドラに乗せる。
 2人は対面に座る。
 ぽつりぽつりと会話をし、観覧車が真上まで来た。
「ホイップ」
「ん?」
 窓の外を見ていたホイップはエルの方へと向き直る。
「キスしたい……」
「えっ……と」
 真剣な表情に見つめられて、ホイップは顔を赤くする。
「あっ!」
 窓の外の菫に気がついたエルが思わず叫んでしまい、甘い空気はなくなってしまった。
「しまったにゃ……見つかったにゃ」
 魔法の箒でシャッターチャンスを狙っていたようだ。
 観覧車の下では2人が付き合っているのをよく思っていないリリが満足気に頷いていた。
「……そういえば……また妹が増えたんだってにゃ?」
 菫を見て、思い出したのか、いつの間にか猫耳カチューシャが装着されている。
 さらに、聞いた話も思いだしたようだ。
「えっ!?」
「本当……なの?」
「うっ……あの……えっと……はい」
「ふ〜ん……」
 ホイップの背後に黒い何かが見える気がするが……いや、気のせいではないだろう。
「ごめんなさい……」
 エルは縮こまってしまった。
 その後しばらくはこの空気が続いたが、観覧車が終わろうとした頃、エルが違う質問をぶつけた。
「アムリアナ女王と会いたい気持ちはある?」
「うん……お話は……したいかな。えっと……何か言いたいことがあるわけじゃなくて、ただ懐かしくて……だよ?」
「そっか……」
 この会話が終わると、丁度、観覧車が終わった。

■□■□■□■□■

 全ての仕事が終了したタノベホテル空京の社長室ではジュレールとカレンがタノベさんにメモを渡していた。
「これだけの部屋の分は点検してみたが、残りは本オープンまでにチェックするのが良いだろう」
「ありがとうございます。助かります。」
 ジュレールは家具や蛇口などの不具合のあった場所を記していたのを渡したのだ。


 プレオープンが終わって、しばらくすると、ネットにホテルの評価がカナタの手によって書かれていたり、ブライダルフェアの様子がネットに流れた。
 さらに、優希が書いた記事は好評価で、タノベさんも大満足なようだ。
 その後、タノベホテル空京は空京を代表する有名なホテルへとなっていくのだった。


■今回の返済■
借金
−119,500G
報酬
 46人×500G
  23,000G
今回の合計
 −96,500G

担当マスターより

▼担当マスター

えりか

▼マスターコメント

 お久しぶりなホイップほのぼのシナリオいかがでしたでしょうか?
 まったりと楽しめていたのなら幸いです。

 まだ次の借金シナリオはどうなるかわかりませんが、やるときはマスターページで告知させていただきます!

 ではでは!