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第1回魔法勝負大会

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第1回魔法勝負大会

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    ★    ★    ★
 
「さあ、第三試合は水橋エリス選手と悠久ノカナタ選手の戦いとなります。
 なんだか水橋エリス選手いっぱいいっぱいです。
 対する悠久ノカナタ選手はロリババ筆頭を目指す余裕の貫禄でしょうか、しきりに新しい魔法少女のポーズを披露しています。
 さあ、互いに自己紹介を終えた後、両選手攻撃態勢に入りました。
 水橋エリス選手、思いっきり身体全体を使って指ぱっちんをします。指先から飛び散った火花とともに起こった静電気が、魔力で増幅されてライトニングボルトとなります。雷術で誘導されたスパークが、悠久ノカナタ選手の右側に回りました。
 ああ、悠久ノカナタ選手、かんざしを投げて避雷針代わりにしました。そんなことをしなくてもバリアで防げるのですが、とにかく何かしたいようです。ちなみに、バリアのない面でこれをすれば即失格となりますが、バリアのある面では結果は同じということでパフォーマンスとして許可されています。
 対する、永久のカナタ選手の攻撃は火術のようですが、マジカルステッキを中心に発動するタイプのようです。水橋エリス選手の背後へと回り込みますが、バリアに阻まれています。
 戦いは一進一退です。悠久ノカナタ選手、様々な魔法を駆使して、水橋エリス選手を、下から上から前からと多彩に責めかけます。まさに魔法使いの教科書のような攻撃です。
 対する水橋エリス選手、あくまでもスタイルにこだわります。でも、一回一回にそれだけ力を込めたら疲れてしまうと思うのですが。案の定、上、前、下の攻撃をすべて防がれて、肩で息をしています。
 さあ、両選手もう後がありません。ここで決めないと相討ちです。
 永久ノカナタ選手、必殺のスカーレット・ファイアの態勢に入った。
 水橋エリス選手、得意の雷術で勝利をつかめるか。
 ああっと、悠久ノカナタ選手の攻撃が弾かれた。逆に、水橋エリス選手の電撃が悠久ノカナタ選手を直撃する!」
「みごとだ。わらわの負けじゃ。いざ、パージ!」
 ゆらりと武舞台から後ろに倒れ込みながら、悠久ノカナタが胸のリボンを引っぱった。まだスライムにふれていないというのに、あっという間に魔法少女コスチュームがバラバラになって飛び散る。残ったのは、白いスクール水着だけだ。一応、魔法少女がダメージを受けて変身が解けたときの基本ということではあるのだが……。
「ぶー!」
 のんびりと観戦していた緋桜ケイが、飲みかけていたお茶を盛大に吹き出した。
「くっ、そうくるか……」(V)
 悠久ノカナタが何か企んでいそうだとはうすうす感じとってはいたが、これは想定の斜め上だ。いったい何歳だと……いやいやいや。
「回収にいくしかないよな」
 満足気にスライムの上で大の字にのびている悠久ノカナタを見て、緋桜ケイは救護室へとむかった。
「勝者、水橋エリス選手です!」
 
   ★    ★    ★
 
「さあ、続いて第四試合、注目のソア・ウェンボリス選手と、相田なぶら選手です」
「凄いわねえ、ソアって、いつの間に呪いなんてスキル身につけていたのかしら。これは、私も覚えないといけないわよねー」
「そんなスキル持ってません! 覚えなくていいです!」
 したり顔の『空中庭園』 ソラ(くうちゅうていえん・そら)に、ソア・ウェンボリスが大声で言い返した。
「もう、ベアったら、よけいなことを……」
 とにかく、パートナーたちのことは後回しにして、ソア・ウェンボリスは武舞台の上へと急いだ。
「よろしくお願いします。イルミンスール魔法学校、ソア・ウェンボリスです」
 ぺこりと、相田なぶらにお辞儀をする。
「悪いがぁ、こちとら優勝を目指してるんだぁ。不敗の魔術師だか女神だかなんだか知らないがぁ、やっつけさせてもらうぜぃ」
 そう言って、相田なぶらがシュトラールを掲げた。
「射ち、貫け!」
「こちらもいきます。光よ、その輝きを示せ!」(V)
 ソア・ウェンボリスが魔砲ステッキを構えると、光術で反撃した。ステッキの先端から、一呼吸のためをとって、集まったエネルギーが迸る。
 ソア・ウェンボリスの右側と、相田なぶらの後ろで光が弾けた。
「炎よ、彼の者をつつみ込め!」(V)
 ソア・ウェンボリスが魔法を切り替える。
 相田なぶらの方は、あくまでもシュトラールからの光の攻撃にこだわった。こだわりと言うことももちろんだが、今の相田なぶらに使える魔法はこれしかないというのもまた事実だ。
 相田なぶらの右で火球が爆発し、ソア・ウェンボリスの背後で光が弾けた。
「来たれ、怒りの雷よ!」(V)
 ソア・ウェンボリスが、今度は雷術に切り替える。魔砲ステッキの先から、雷球が飛び出した。
 まさに多彩な魔法攻撃を繰り広げて相田なぶらを追い詰めていく。とはいえ、相田なぶらの方も、虎視眈々とソア・ウェンボリスの弱点を探り続けていた。
 相田なぶらの左で雷球がスパークをあげ、ソア・ウェンボリスの正面に光が迫った。
「ストーップ!」
 ソア・ウェンボリスが、相田なぶらの光球を、光術を使って直前で減速させた。ゆっくりとバリアにふれて、光球がしぼんでいく。
「しぶといなぁ」
 この戦いでは、自分の方が経験豊富だと、相田なぶらが自身を励ました。
「氷雪よ、敵を封じよ!」(V)
 手持ち魔法の最後の一種を唱えて、ソア・ウェンボリスが正面から勝負に出た。足許から、弾かれた光球の輝きが身体を照らす。
「な、なんだって〜〜」
 思わず、反射的に相田なぶらが剣で氷塊を受け流そうとしたが果たせず、真後ろへと吹っ飛ばされた。そのままスライムの海に落下して海パン一丁となる。
「勝者、ソア・ウェンボリス選手!」