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第1回魔法勝負大会

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第1回魔法勝負大会

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8.準決勝

 
 
「さあ、いよいよ準決勝です。メンバーを見て見ましょう」
 
デーゲンハルト・スペイデル     VS     泉美緒
        水橋エリス     VS     ソア・ウェンボリス
 
「奇しくも、イルミンスール魔法学校以外と、イルミンスール魔法学校同士という戦いになりました。これは、決勝戦にむけて波乱の展開の予感がします。いかがでしょうか、小ババ様」
「こばー」
「すいません、聞いた私が間違ってました、ごめんなさい。さあ、いよいよ準決勝です」
 
    ★    ★    ★
 
「第一試合は、デーゲンハルト・スペイデル選手対、泉美緒選手です。
 さあ、まずはお約束の名乗りをあげました、デーゲンハルト・スペイデル選手。つられて、泉美緒選手が丁寧に自己紹介を始めます。ああ、長いです。いつまで続くのでしょう。さすがに、パートナーのラナ・リゼットさんが止めに入りました。泉美緒選手、ちょっと不満そうですが、一応諦めたようです。
 さあ、泉美緒選手、おなじみの光の精を呼び出しました。余談ですが、意外とこの子、かわいいです。光の精とかにも、いろいろと個性とかがあるのでしょうか。
 光の精さん、頭上から稲妻キックです。ああ、バリアに弾かれました、不発です。
 泉美緒選手、唖然としています。その足許から、デーゲンハルト・スペイデル選書の火球が襲いかかった。
 ああ、泉美緒選手、なすすべがありません。そのまま武舞台から落下してしまいました」
「こ、このままでは、すっ……」
『大丈夫です』
「ラナ・リゼットさん、魔鎧としての使命を死守しました。しっかりと、泉美緒選手の素肌をガードしています。普段が必要最低限しかガードしていない分、こういうときのガードは完璧です。結局エロいことには変わりがないという声が観客席から聞こえてきますが、このさい、それは無視しましょう。
 勝者、デーゲンハルト・スペイデル選手です」
 
    ★    ★    ★
 
「第二試合、ソア・ウェンボリス選手対、水橋エリス選手です。
 水橋エリス選手、そろそろ落ち着いたでしょうか……。だめのようです。でも、それでも数々の戦いを勝ち進んできた水橋エリス選手。意外と度胸が据わっているのかもしれません。
 対するソア・ウェンボリス選手、今回も多彩な攻撃を披露してくれるのか。
 両者御挨拶の後、いよいよ戦いが始まります。
 ソア・ウェンボリス選手、魔砲ステッキから火球を打ち出します。ぐるりと背後に回り込んだ火球がバリアに命中して派手に火花が飛び散りました。派手です。
 対する水橋エリス選手、得意の指ぱっちんで雷光を生み出しました。時計回りにカーブして、ソア・ウェンボリス選手の右側に命中しますが、こちらもやはりバリアです。
 さあ、水橋エリス選手、今度は頭上からの攻撃を狙います。
 ソア・ウェンボリス選手、水橋エリス選手の右側に魔砲ステッキの狙いを定めた。激しいスパークをあげる雷球を打ち出します。
 結果は……。
 ああ、ソア・ウェンボリス選手、痺れています。水橋エリス選手は無事です」
「ああ、まったく。やっぱり私が手を貸してあげないとだめね」
 スライムの海に浮かぶソア・ウェンボリスのスクール水着姿を見て、『空中庭園』ソラがつぶやいた。雪国ベアが用意してくれたスクール水着だが、こういう物の調達には、毎回雪国ベアはたぐいまれな才能を発揮する。
「勝者、水橋エリス選手!」
 
 
9.決勝戦

 
 
「さあ、ついに決勝戦となりました。蒼空学園、デーゲンハルト・スペイデル選手!」
 名前を呼ばれて、デーゲンハルト・スペイデルが武舞台に進み出る。
 歓声と共に、若干ブーイングが混じってもいるようだ。
「完全にアウエイというところか。だが、この程度で心乱す奴ではないだろう」
 エヴァルト・マルトリッツが、デーゲンハルト・スペイデルを信頼して、じっと戦いの推移を見つめた。
「ど、どうしよう、ついに決勝まで来ちゃった……」
 ばくばくいう心臓を必死になだめながら、水橋エリスが自分に言った。
「とにかく、やるだけですよね」
 恐る恐る、それでも確かな足取りで武舞台に進む。
「イルミンスール生、水橋エリスです! 申し訳ありませんが私が優勝させてもらいます!!」
 水橋エリスが、堂々と言い切った。
「デーゲンハルト・スペイデルだ。最強の魔術師を目指す者として、我はこの大会にその名を刻もうと思う」
 デーゲンハルト・スペイデルも、一歩も引かず受けてたった。
「さあ、ついに戦いが始まります。奇しくも、両者共に一つの魔法にこだわるタイプの術者です。はたして、勝利を収めるのは、デーゲンハルト・スペイデル選手の火術か、それとも水橋エリス選手の雷術か!!
 両者、動きました!
 デーゲンハルト・スペイデルの火球が、下から水橋エリス選手を突きあげます。おおっと、炎が弾き返されます。
 対する水橋エリス選手の雷撃が、デーゲンハルト・スペイデルの右側にむかった。激しいスパークをあげて、雷撃が散っていきます。
 両者、息を整えなおしました。
 じっくりと魔力を練りあげていきます。
 魔法を放ちました!
 水橋エリス選手の右側と、デーゲンハルト・スペイデル選手の頭上で、それぞれの攻撃が火花を散らします。
 さあ、戦いの行方は見えなくなってきました。
 水橋エリス選手、緊張のせいかちょっとえずいています。大丈夫でしょうか。今、やっと落ち着いたようです。デーゲンハルト・スペイデル選手、相手が落ち着くのをじっと待ちます。紳士です。
 さあ、両選手動いた!
 水橋エリス選手の攻撃が正面から炸裂する。激しい雷光の中、デーゲンハルト・スペイデル選手は……無事です。
 デーゲンハルト・スペイデル選手の放った火球は……。おお、回転しています。まるで力を溜めるかのように渦を巻いて、今、水橋エリス選手の左側に回り込みました。突っ込んでいきます。
 これは、水橋エリス選手、防ぐことができない。
 もろに攻撃を食らって吹っ飛びます。
 ああ、スライムにつかまりました。すっぽんぽんにされて、そのまま救護室に運ばれていきました。
 優勝、デーゲンハルト・スペイデル選手です!!」