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占拠された新聞社を解放せよ!

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占拠された新聞社を解放せよ!

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 恐るべき傭兵 契約者との戦い
 蒼空新聞社を占拠した鏖殺寺院は、幾人かの傭兵を雇っていた。そのひとりが三道 六黒(みどう・むくろ)である。この大胆にして恐るべき大剣士は、占拠を長引かせるため、侵入している契約者を待ち構えていたのである。
 その三道に挑んだのが蒼空学園の樹月 刀真(きづき・とうま)漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)のコンビだ。ふたりの見事な連携を写真に収めることに成功した。(→撃破の瞬間。画像の一部に修正が入っているのは、漆髪さんの着用下着が新聞掲載に不適切であると判断されたため)


 爆破によって注目が表に向いた頃、ビルの裏手からこっそりと侵入しようとする者も居た。
 安芸宮 和輝(あきみや・かずき)、そして樹月 刀真と漆髪 月夜だ。
「敵も監視カメラで状況を確かめているはず。ここは、カメラを破壊します」
 和輝がふたりと、取材のためについてきている記者に告げた。剣を構え、カメラを薙ごうとしたとき……
「そうさせるわけにはいかん。この道を選んだのだ、わしが守る以上は進ませんぞ」
 低い声と共に、巨大な剣が突き出され、和輝の剣を払った。三道 六黒}である。
「お前、けっこう付きあいいいのな」
「付きあいではない。仕事だ。それに、治安が乱れてくれた方がわしにとっては都合がいい」
「あくまで、邪魔をする気ですか?」
 問いかける和輝に、六黒が小さく鼻を鳴らした。
「ならば聞くが、なぜ止める? この新聞社がテロの標的にされては、契約者にとって都合が悪いからか?」
「それは……テロを止めるためです。占拠した理由はどうあれ、この行いを見過ごすことはできません」
 しまった、という表情で和輝が答える。できることなら、誰かに見つからずに進みたかったのだ。
「まあ、そんなところよ。ついでに、記事にもなるしね」
 月夜が、長い髪をかき上げて答えた。
「ふん。そんなものか。占拠する正義、それを解放する正義、それほど差があるようには思えんな」
 六黒が答える。刀真は手の中に光条兵器を現した。
「差が無くて結構。意味があるのは、結果だけだ」
 静かに言い放ち、素早く剣を突き出す。六黒が自らの剣で受けた。
「力だけを信じているというなら、それも良し! ならば、我が力でねじ伏せてくれる!」
 六黒が叫び、大きく振りかぶって剣を振るう。壁を引き裂きながら放たれる横薙ぎの一撃を、刀真は冷静に身を引いてかわした。
「先に行け、中に入りたいんだろう」
「でも……」
 刀真の言葉に、和輝が迷うように応えた。
「早く! こいつは、私たちが何とかするから!」
 月夜が叫ぶ。
「わ……分かりました!」
「させるか!」
 ぐっと頷いた和輝が駆け出そうとするのを、再び六黒の大ぶりの一撃が捕らえようとする。
「お前の相手はこっちだ!」
 が、刀真の素早い刺突がその脇を狙う。仕方なく、六黒が剣の向きを変えてそれを払った。
「ふん、そこまで拘るならば、その力で誇示してみせろ!」
 今度は天井を突き破りながら、六黒が一撃を放つ。が、これも刀真は軸をずらしてかわした。
「今日はずいぶん派手だな。けど、得意の大剣が壁や天井に当たって、ずいぶん鈍いぜ」
 六黒とは対照的に、鋭い一撃を繰り出す刀真。が、六黒は信じられぬほどの速度でその武器を切り返し、弾いた。
「誘いに乗ったな!」
 刀真の剣は逸らされ、後ろへ振りかぶるままの体勢だ。その剣へ向けて、六黒が剣撃を放つ。驚異的な冷気がその刀身には込められていた。
「ぐ、あ……!」
 剣と腕とを冷気に包まれ、刀真が悲鳴を上げる。
「この程度で終わりか。しょせんは……」
「いいや、助かったぜ」
 にやりと笑う刀真。その背から、何かが飛んだ。
「……何っ!?」
 月夜だ。固められた刀真の剣を踏み台に、頭上に跳び上がったのだ。月夜はスカートを翻し、身を猫のように丸めて拳銃を構えた。
「応えて、カーマイン。刀真の剣になる力を、私に!」
 鋭い銃声が響いた。放たれた弾丸が、首の後ろ、中心を撃った。
「ぐ……うっ!」
 くぐもった悲鳴と共に、六黒がどうと倒れた。
「刀真、大丈夫!?」
「なんとかな。……でも、さすがにここから攻め込むってのは無理だな」
 氷に覆われた両手。処置しなければ、危険だろう。戦場のまっただ中で、他の誰かの救護を受けるというのも合理性に欠ける。
「仕方ないわね。一度、退きましょう」
「ああ、そいつを捕まえて……」
 と、ふたりが六黒に目を向けた時。
「かあっ!」
 六黒が大剣を振るい、天井を切り裂いた。先ほどの戦闘でも傷がついていた位置だ。その一角が崩れ落ちる。
「ここは勝負を預けたぞ。どうやら、上階でも大勢が決しはじめたようだからな」
 六黒が天井へと跳び上がった。その穴から上へと逃げる。
「……追う?」
「いや……。なんてタフなやつだ」
 月夜と刀真は呆れたように呟き、来た時と同じようにこっそりと裏口から脱出した。