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脳内恋人バトルロワイヤル!

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脳内恋人バトルロワイヤル!

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【一回戦第五試合】
相田 なぶら(あいだ・なぶら)
ナディア・ノモリツク・ローラン
     VS
よいこの絵本 『ももたろう』(よいこのえほん・ももたろう)

お兄ちゃん(おにいちゃん)


「右コーナーからは『ゲームでもちょいワルがモテるのか・・・・・・』悲しいピエロ、相田なぶらが一人で登場だ・・・・・・。さて、気をとりなして左コーナーからは『日常系ほのぼの兄妹』ももたろう&お兄ちゃんが仲良く登場だッ!!!」


【なぶらターン】
「魔王よ、貴様の負けだ。俺のローラン姫を返してもらおう」
 勇者なぶらは、魔王の首元に退魔剣エクスカリバーの切っ先を合わせる。しかし、追い詰められているはずの魔王は不敵な笑みを浮かべていた。
「貴様、何がおかしい?!」
「いや、『俺のローラン姫』とはよく言ったものだなと思ってな」
「俺はローラン姫の許嫁だ。何を言おうと貴様に指図される所以はない」
 なぶらの言葉を聞いた魔王は、再び高笑いをする。
「そうか、ローランはお前の許嫁だったのか。礼を言おう、随分楽しませてもらったぞ」
「き、貴様、姫に何をしたああああ!」
 なぶらは怒りに身を任せて、魔王を切り伏せようとする。
「魔王様!」
 どこからか飛び出したローラン姫が、魔王を庇うようにしてなぶらの前に立ちはだかる。
「斬るなら私を斬りなさい!」
 ローラン姫は、なぶらを卑怯者でも見るかのように睨み付けた。
「ローラン姫! どうして魔王を庇うのですか?!」
「勇者なぶら、あなたは本当に何も知らないのですね……」
 ローラン姫は、なぶらに憐れむような視線を向ける。
「お、俺が何を知らないと言うのですか?」
 なぶらは訳が分からないという表情で、ローラン姫に問いかける。
「数年前、ノモリツク王国では王である私の父が病気で亡くなった後、権力闘争で四回もの内乱が起きました。国内の政治は混乱し、それに乗じた治安の悪化、経済の衰退によってノモリツク王国は建国以来最大の危機に陥っていたのです。人々は勇者なぶらの活躍を待ち望んだ、もちろん私だってそうでした。なのに、あなたは王亡き後の国をまとめるために、その手に持っているエクスカリバーを探しに行って、戻ってきませんでした」
「いえ、今戻ってまいりました!」
「……何もかも遅すぎたのです。四度目の内乱の後、ノモリツク王国の実権を握ったのは魔王様でした。私はこれ以上の国の混乱を抑えるため、彼と婚礼を結びました」
「そ、そんな嘘だ……」
 なぶらはガックリと膝から崩れ落ちた。

「そういう訳だ、勇者なぶらよ。もし、ノモリツク王であるわしを倒し、また国を混乱に陥れたいのなら好きにするがいい。だが、ここにいるローラン姫は許そうとしないだろうが」
「魔王様! 冗談でもそのような不吉なことを言ってはいけません。私はもうずっと前から、国のためにあなた様と結婚したという思いは消えています。今では、あなた様なしで生きてはいられないのです」
 ローラン姫は魔王に身を寄せ、あろうことかうっとりとした表情でお互いに見つめ合っている。
「まったく、初夜の頃はさくらんぼのように頬を真っ赤に染めて恥ずかしがってお前が、今では自分から求めにくるようになったとはな」
 魔王がからかうように、ローラン姫の頭をなでる。
「あ、あの時はその……私も初めてでしたし。それに、あんな風に激しく愛されれば、誰でも虜になってしまいますわ」
 ローラン姫は魔王に顔を寄せ、最初は小鳥が啄むように、そして段々と激しく情熱的なキスを始めた。
 その様子を勇者なぶらはどうすることも出来ず、ただただ眺めているしかなかった……


「……なぶら超頑張れ! 会場のみんなは君のことをきっと応援しているぞ!」


【ももターン】
 ももは休日に兄と連れ立って商店街へと来ていた。
「おー、結構混んでるな。近所で祭りでもやってんのかな」
「た、たしかに人多いね」
 兄は買い物客で自分より二回りほど小さなももの歩幅に合わせ、隣をゆったりとした速度で歩いている。
「いやあ、こんなことだったら来るんじゃなかったな」
「え?」
 ももは兄の方を不安そうに見上げる。
「あ、いやそうじゃなくて、ももとはぐれるかもしれないだろ」
「し、心配ないって。ボク、ちゃんとお兄ちゃんの後に付いていくから!」
 ももは兄に迷惑をかけないように「よいしょよいしょ」と出来るだけ大股で歩くが、元々の歩幅が小さいせいでほとんど速度は変わっていない。

「……なにやってんだよ、もも」
「えっと、お兄ちゃんとハグれないように……」
「むしろ、俺がももの歩くスピードに合わせるのがめんどくさくなった」
「ご、ごめんなさい」
 ももは兄にたしなめられて、ションボリと下を向いてしまう。
 兄はそんなももの様子を見ながら、ボリボリと頭を掻く。
「ああ、もうめんどくさい奴だな。ほら、手握れ」
 ももは兄が差し伸べた手を一瞬見つめた。
「え……怒ってない?」
「こんなことで怒ってたら、そもそも一緒に買い物なんて来てない。ってか、いつまで待てせるんだよ。さっさと握らないとそれこそ怒るぞ」
 ももはそう言われ、慌てて兄の手を握る。
(わあ、お兄ちゃんの手、ちょっと暖かくて大きいな)
 ももは心の中でそう思いながら、兄にピタっとくっついて再び商店街を歩き始めた。
「なんか小さいな、お前の手」
「お、お兄ちゃんが大きいんだって」
「いや、絶対ももが小さい。つうか、高校生なのにいまだに小学生にしか見えないってどういうことだよ」
(やっぱりボクって小さいのかな……)
 普段から気にしていることを言われ、ももはまた落ち込んでしまう。
「言っとくけど、別に小さいって悪いことじゃないからな。なんつうか……小動物みたいで結構可愛いっていうか……」
 兄はボリボリと頭を掻きながら、まためんどくさそうに言う。
 ももは可愛いと言われ、今度は嬉しくて自分の顔が真っ赤になるのを感じた。

 二人はしばらく商店街をぶらぶらと歩いた後、屋台でクレープを買い、公園のベンチで休憩していた。
「ああ、俺もそっちのストロベリーにしておけば良かったな」
 兄が恨めしそうな顔をしながら、ももの食べてストロベリークレープを見ている。
「じゃあ、はんぶんこにしよう。ボクもお兄ちゃんのチョコクレープ食べてみたい!」
 ももはそう言うと、自分の食べかけのクレープを恐る恐る兄の口元に持っていく。
「は、はい、アーンてして」
 一瞬断られたらどうしよう、とももは思ったが、兄は躊躇無く差し出されたクレープをパクリと食べた。
「お、やっぱこっちの方が俺好きだわ」
 もぐもぐと口を動かしながら、兄はももが口をつけたクレープの感想を述べる。
(あ、これってよく考えたらこれってお兄ちゃんとの間接キスなんじゃ・・・・・・)

 途中でそのことに気がついたももは、カーっと頭が熱くなった。
(お、お兄ちゃんの方は気付いてないよね・・・・・・?)
 兄がストロベリークレープを食べ終えると、今度はももの番になった。
「うん、どうした? いらないのか、チョコクレープ」
 ももが恥ずかしさで目を伏せていると、不審がった兄が聞いてくる。
「結構こいつも美味しいぞ」
 そう言うと、兄はチョコクレープを少しパクついてから、ももの目の前へと持っていった。
(ど、どうしよう。さっきまたお兄ちゃんが口を付けちゃったよ)
 ももはさらに顔が真っ赤になっていった。しかし、兄の好意を断ることも出来ない。意を決して、チョコクレープの先を少しだけ食べてみた。
「お、間接キス成立だな」
 兄はももが口を付けると同時に、そう言った。
「え、ええ?! お兄ちゃん気付いてたの?!」
「あ? そりゃ最初から気付くだろ。ってか、ももの顔がどんどん真っ赤になっていくの面白かったな〜」
「うう・・・・・・。お、お兄ちゃんのイジワル!」
 ももは腕を振り上げて、兄のお腹をポコポコと叩こうとするが、逆に兄に捕まえられ羽交い絞めにされてしまう。
「間接じゃなくて直接なら良かったのか」
 兄の顔がどんどんとももの方へと近付いてくる。
(え、や、お兄ちゃん嘘でしょ?!)
 そして、唇まであと数センチという所で・・・・・・
「ジョーダンでした〜」
 兄はおかしそうにゲラゲラと笑いながら、ももを体から離した。
「って、おい・・・・・・大丈夫かよ、もも」
 なんと、ももは緊張のあまり気絶していたのだった。
 この後、兄が気絶したももをおぶって家まで帰り、しこたま親に叱れたのは言うまでもない。


「うおおおおおお!!! うらやましいぞ、兄貴ッ!!!」


【バトルフェイズ】
 そして、決着の時。
 戦いの前から既に意思消沈ぎみの勇者なぶらの頭上には亀裂の入ったエクスカリバー、大勢の人間が苦手なのか緊張しているももの頭上には食べかけのクレープが浮遊していた。
 両者がぶつかり合うと、あっけなくエクスカリバーは粉々に砕けた。
「あ、勝っちゃった・・・・・・」
「こんな子供にも負けるのか、俺は・・・・・・」
 何故かフィールド上の二人とも落ち込んでいた。


勝者:ももたろう
成績:4勝1敗


【一回戦第六試合】
切金 雪(きりかね・きよむ)
東雲・薫(しののめ・かおる)
     VS
葛葉 翔(くずのは・しょう)



「右コーナからは『女の子じゃなくても・・・・・・愛してくれますか?』切金雪&東雲薫カップルが登場だッ!!! そして左コーナーからは『恋の王道? だが、どの恋も同じ道など存在しないッ!!! 』葛葉翔&雪の純情幼馴染が登場だッ!!!」


【切金ターン】
 明治の文豪のような着流しの和服を着た切金は、遊園地の観覧車を見つめて、うーんと唸っていた。
「きよむーどうしたの?」
 その後ろから透き通るようなハスキーボイスが聞こえてくる。
 白いキャミソールを着た薫が、その整った顔で心配そうに切金の表情を伺っていた。このどこから見ても少女にしか見えない薫は、これでも生物学上は列記とした男だ。
「うむ、あそこなら誰にも邪魔されずに接吻できるかと思ってじゃな」
「せ、接吻って。こんなところで言ってるのきよむー?!」
 薫は慌てたように、周囲を見回す。今の彼はどこからどう見ても少女にしか見えないが、万が一のことを考えて、なるべくこのデートも目立たないように過ごしてきたのだ。
「うむ、今までは偶然知り合いに見つかりそうになったりして、中々普通にデート出来なかったからのう。あの密室だったら色々と楽しめそうじゃ」
 切金は飄々としたしゃべり方で、大胆なことを言う。
 むしろ、それを聞いていただけのはずの薫の方が恥ずかしくなっていた。
「き、きよむーったらこんな人がいる所で何言ってるの?!」
「うん? だから人気が無い観覧車に乗ろうと言っておるのだが」
 他の客の視線をチラチラと感じながら、薫は切金と一緒に観覧車へと乗り込んだ。
 観覧車の個室は薫の思った以上に狭く、切金の息遣いやなんともいえぬ髪の匂いが伝わってくる。
 ふと目を下の方に目線を向けると、窓からは先ほどまで自分たちがいた場所がどんどんと小さくなっていくのが見えた。
 非日常がそこにはあった。

「ここなら大丈夫じゃろ?」
 そう言って、切雪が薫の腕を取る。
「や・・・・・・」
 しかし、薫は思わず切金の手を振り払ってしまう。
「どうしたのじゃ薫」
 切金はショックを受けたように、振り払われた自分の手を見つめている。
「あ、その、これはわざとじゃなくて・・・・・・」
 薫自身も、自分の行為に怯えていた。そして、これはずっと薫の心の中で渦巻いていたある不安から来るものだった。
「まだあのことを気にしていたのじゃな。もうとっくにわしは薫、おぬしのことを心の底から愛している。それだけは信用しておくれ」
 切金は少しだけ悲しそうに表情を曇らせながらも、最後にはまっすぐに薫を見つめていた。
「・・・・・・やっぱり僕、まだどこかに不安が残ってたみたい・・・・・・ずっときよむーが僕のことを愛してくれるか。もし、きよむーの前に可愛い女の子が現れたら、簡単に僕なんか捨てられちゃうんじゃないかって・・・・・・ずっときよむーはそんな事ないって言ってくれてたのに、なんでこんな時に思い出しちゃったんだろう・・・・・・」
 薫は言葉を搾り出すかのように答えた。
 狭い観覧車の個室の中を、沈黙が支配していた。
 薫は意を決して切金の方を向き、彼に尋ねた。
「付き合い始めた時から何度も聞いたけど、また答えを聞かせて。僕がその・・・・・・女の子じゃなくても・・・・・・愛してくれますか?」

 答えの代わりに、切金は薫の腕を取ると、彼の耳元でこう囁いた。
「決まっておろう。薫、おぬしはわしが今まで見てきた人間の中で最も美しい顔と心を持っておる。これ以上の相手など他におらぬのだ」
 そう言って、グイっと薫に顔を近付けて・・・・・・

「あ、観覧車終わっちゃう!」
 薫が窓の外を見て、終点が近いことに気付き、反射的に切金の体を押しのけてしまう。
「むう・・・・・・なんじゃまたお預けかのう」
「ごめん、きよむー」
 二人はまた観覧車を出て、地上へと戻った。
「けど、もう僕。きよむーのこと疑ったりしないよ」
 そう言って、薫は切金の手を取って二人を待つ日常へと戻っていった。


「愛に年齢や性別など関係ないのですッ!!! ノウ恋は二人を応援していますッ!!!」


【翔ターン】
 俺は、幼馴染の雪と一緒に水族館に行くことを友人に話すと「で、お前らいつから付き合ってるの?」 と返された。
「いや付き合ってないよ」 と言うと、「あんだけ仲良くしてるのに嘘だろ・・・・・・」と友人は驚愕の表情を浮かべていた。

「なあ、俺たちってただの幼馴染だよな?」
 ウミガメがゆらゆらと脇を泳ぐ水槽の前で、俺は何気なく雪に聞いてみた。
 雪は小さい頃からの癖で、顎に手を当てて「うーん」とひとしきり考え込んだ後、こう答えた。
「・・・・・・私、まだ翔の天然具合を見誤ってたのか」
「へ?」 と、俺はまぬけな声を出した。
 そして、雪はスタスタと速度をあげて先を歩いてしまう。
「ど、どうしたんだよ?!」
 俺は走って雪に追いつくと、訳を聞いてみる。
「もういい! 幼馴染のことをこんなに理解してなかった自分が恥ずかしくなっただけっ!!!」
 雪は大きな声をあげて、俺のほうを向こうとしない。
「俺にも理由が分かるように言ってくれよ」 と情けない声をあげて、雪の顔を覗き込む。
 だが、俺はそのことをすぐ後悔した。
 何故なら雪の顔を見ると、彼女は声を殺して泣いていたのだ。

 くぐもった泣き声が、青色で彩られた水族館の通路に静かに響いた。
 俺は雪が泣いているのを、どうにかして止めたいと思った。けれど、その原因が自分あるにもかかわらず、彼女が何故泣いているのかは分からない。
(なあ、何で泣いてるんだよ雪?)
 俺は心の中でそう問いかける。しかし、答えはいつまでも返ってこない。
 そして、雪の泣いて赤く腫れた顔を見るのが忍びなく、いたたまれない気持ちになった。
 また、いつものように俺のくだらない話で笑って欲しい。
 俺は何でもいいから雪の気を引きたくて、すぐ傍を泳いでいるウミガメの方を指差した。
「そういえば、俺たち昔、お祭りでちっちゃなカメを買ったよな」
 俺が話しかけても雪は一向にこちらを見てくれない。だが、俺は話を続けた。
「雪の両親は『カメなんて凄く長生きするんだから、絶対に後で飽きちゃうから止めときなさい』って言ってたけど、雪はずっと最後まで育てるって言い張ってさ」
 俺は祭りの話をしているうちに、徐々に昔の出来事を思い出していった。そして、俺の思い出の隣にはいつも雪がいることに驚いた。
「で、だから俺が『雪と二人で協力して飼うよ』なんて言ってさ。強引にあのカメ買ってもらったんだよな。で、二人して一緒に一日中名前を決めあったりしてさ。ま、カメ吉って物凄く無難な名前に落ち着いたけどさ」
「・・・・・・でも結局、カメ吉はとっても大きくなっちゃって、水槽の置き場所がなくなって近所の池に逃がすことになっちゃったじゃない」
 雪がボソリと口を開く。
「そうなんだけどさ。実は俺、カメ吉のことが心配で月に一回くらいあいつがちゃんと大きくなってるか確認してるんだよ。で、今月はそろそろ見に行く頃合なんだけどさ・・・・・・」
 ここで雪は初めて俺の顔を見た。それは様々な感情が入り混じった、なんとも言いがたい表情だった。
「行きたいなら行けば」
「おう、じゃさっそく行くか」
 俺はそう言って、水族館の出口へと歩き出した。
 後ろの方からゆっくりと雪は付いてきてくれている。
 俺は池についた時のことを考えていた。カメ吉が無事に見つかれば、俺の想いをちゃんと雪に告白しよう。昔の思い出を探っていくうちに、自分の中で雪がどれほど大切な存在であるかに気がついたのだ。
(俺、カメが歩くみたいに気付くの遅かったな・・・・・・)


「カメエエエエエエエ!!!」
 実況の叫びが会場のMPゲージを上げ、魔法の呪文が唱えられる準備は出来ていた。


【バトルフェイズ】
 切金の頭上には観覧車が、そして翔の頭上には大きくなったカメ吉が浮かび上がっていた。
「おいおい、これはさすがにカメの分が悪すぎますよ・・・・・・」
 観客席で様子を見ていたカーマインは思わず声を漏らす。
「というか、これは動物虐待じゃないのですか・・・・・・?」
 体格差はおそらく数十倍以上、カメ吉に勝ち目があるとは思えない。だが、次の瞬間カーマインはその目を疑った。
 翔の頭上に浮かんでいたカメ吉が甲羅に潜ったかと思うと、手足を出す甲羅の隙間から凄まじい勢いで火が吹き始め、猛然と回転を始めたのだ。
「こ、これなら勝てます!」
 カメ吉は観覧車めがけて突っ込み、二つがぶつかると会場内にもうもうと煙が立ち込めた。
「の、残ってるのはどっちですか?!」
 カーマインが目を凝らすと、そこにいたのは・・・・・・やはり観覧車だった。

「ですよね〜」


勝者:切金雪
成績:5勝0敗