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【賢者の石】マンドレイク採取

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【賢者の石】マンドレイク採取

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第六章

――マンドレイク採取から数日後。

――イルミンスール魔法学校にて。
 七瀬 歩(ななせ・あゆむ)の提案にて、今後の打ち合わせ――と称したお茶会が開かれる事になった。
 誘われたアゾートが訪れると、そこには歩と神代 明日香(かみしろ・あすか)の二人がいた。
「あれ? 他の人は?」
「後から来るみた。はい、どうぞ」
 歩に差し出されたカップをアゾートが受け取る。
「まずはお疲れ様、かな」
「うん、ありがとう。そういえば、二人も手伝ってくれてたんだよね」
「あたしは見つけられることすらできなかったけどね、マンドレイク」
「情けないですが、私もです〜」
 歩と明日香が苦笑する。
「それを言うならボクだって全部他の人のお陰で手に入ったんだよね……」
「まあ、結果オーライだよ、手に入ってよかったね」
「うん、お陰で一歩近づけたと思うよ」
 アゾートがカップを一口啜り、一息吐く。
「そういえば」と、歩が口を開いた。
「アゾートちゃんはどうして【賢者の石】を創りたいのかな?」
「え?」
「確か黄金を作り出す石……ってのを聞いたことがあるんだけど、黄金を作り出したいの?」
「いや、そういうわけじゃないんだ」
 歩の問いかけを、アゾートは首を横に振って否定した。
「じゃあ、石を創ること自体が目的なんですか?」
「うん、そう」
 明日香の言葉に、アゾートが頷いた。
「良ければ、その話きかせてくれないかな?」
「私も聞きたいです〜」
「うーん……まあ、隠すような話じゃないんだけど……」
 二人にせがまれ、アゾートは苦笑しながら口を開いた。

――パラケルスス。錬金術の祖と言われる人物であり、現在では優れた錬金術師に受け継がれる名となっている。
 この人物は様々な功績を残し、特に【賢者の石】は初代であるこの人物でしか創れない、とまで言われてきた。
 過去、この名を受け継いだ数々の錬金術師はこの石の創造に挑むが、成功した者はいない。

「で、現在このパラケルススの名を受け継いでいるのがボクなんだ……この名を受け継ぎ、名乗る者は【賢者の石】の創造は使命になる」
 一息置いて、アゾートは言う。
「だから、ボクはこの石の創造に挑まなきゃならないんだ……ソフィア・アゾート・パラケルスス・ワルプルギスとして」
「……そういう理由だったんですねぇ」
 明日香が口を開く。
「でも、その道はまだまだ先が長いけどね。材料も全然揃っていないし」
 アゾートが苦笑した。
「そういえば、他にどんな物が必要なの?」
「うーん……まだはっきりしていない物も多いんだけど……解っている物として【エリクシル原石】とかかなぁ」
「……これのことですか?」
 そう言うと、明日香がテーブルの上に取り出した【エリクシル原石】を置いた。
「こ、これ……!」
「よければアゾートちゃんにあげますよ? 私にはあまり使い道がなさそうなので〜」
「え? でも……」
 ニコニコと笑みを浮かべる明日香に、アゾートは思案する。
「……折角だけど、受け取れないや」
 そして首を振りながら、アゾートは言った。
「あれ? どうしてです?」
「うん……今回のマンドレイクだって、ボクが採取したわけじゃないから。創るのであれば自分の力で挑みたいんだ。だから、ありがたいけど受け取れない」
「そうですか……」
 アゾートの言葉に、明日香はじっと彼女の顔を見る。
「うん、合格です」
 そう言うと、明日香はアゾートの頭を撫で始めた。
「え? 何を……」
「いい子は褒められるのです。ほら、いい子いい子」
「あの……でもこれ……」
「先輩のすることは素直に受け取るものですよ〜」
 そう言って明日香はアゾートの頭を撫で続けた。

――薔薇の学舎にて。
「うーん……今回の収穫はイマイチだったなぁ」
 ウェルチが手にした魂を見て、溜息混じりに呟いた。
 【賢者の石】もマンドレイクにも興味の無いウェルチの真の目的である魂の収集――ジャイアントやパラ実生の物が手に入ると睨み、同行したが結果は芳しくなかった。
「まあいいか、結構面白かったし……それに」
 ウェルチの頭に、とある人物の姿が浮かぶ。
「アゾート……か、彼女の魂はどんな魔鎧になるんだろうね……」
 想像して、ウェルチの顔に笑みが浮かぶ。
「まあ、今はまだ早いかな……機会はまだあるだろうし、どうなるか楽しみだなぁ」
 そう言って、ウェルチは笑みを漏らす。楽しそうな、無邪気な顔で。

担当マスターより

▼担当マスター

高久 高久

▼マスターコメント

ここまでお付き合い頂きありがとうございます。今回GMを担当しました高久高久です。
この度御参加頂いた皆様、本当にありがとうございました。
そして心より謝罪を。毎回の如く謝罪がセットになりますが、本当に申し訳ございません。

初の冒険、しかもノーマルシナリオでしたが、いかがだったでしょうか? 少しでも楽しんでいただけたのならば幸いです。
今回は様々なアクションを頂いて、楽しませてもらいました。
マンドレイクの採取方法も皆様様々で、『え? そんな方法あったの?』と言うような珍しい方法などもありました。
ただ今回初めてだらけのことで妙に気負ってしまい、判定が厳しかったり、意図していた行動とは異なってしまった方もいらっしゃると思います。特に戦闘とか。
本当に申し訳御座いません。これをどうにかできる腕があれば……あれば……!

毎回アクションを読ませていただき、色々と勉強させていただいてます。
まだまだ反省点、課題ばかりありますが、生暖かい目で見ていただけたらと思います。

それでは次の機会、皆様と御一緒できる事を楽しみにしております。