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リアクション
「魔法少女、シリウス!」
その声と共にシリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)、リーブラ・オルタナティヴ(りーぶら・おるたなてぃぶ)、サビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)がスキュラを囲む。
「空飛ぶ魔法↑↑」
仲間全体の体が浮き上がる。ヘルハウンドの炎の玉が三人を襲う。リーブラは偽星剣・オルタナティヴ7を掲げ、炎の玉をことごとく斬り裂いていく。シリウスは周りのゾンビ達を蹴散らしている。サビクはスキュラに向かって逮捕術を執行した。
「ボクらの力では倒しけれないけど、後はみんなよろしく」
すぐさま警告を発動させる。スキュラの力を抑制した。
「死ぬか降伏か、さてどする?」
「後は任せて、氷雪比翼」
伏見 明子(ふしみ・めいこ)は背中から氷の翼を発現させて飛行する。氷術を展開し周囲を凍りつかせる。無理やり鞭から脱出したスキュラは冷気に当てられてほぼ無防御のまま宙を舞っている。明子はゴッドスピードで一気に間合いを詰める。が残り一匹のヘルハウンドが横っ腹に突っ込んでくる。思わず明子は海へと吹き飛ばされるがダメージはほとんどなく軽身功で水面を蹴る。氷術で空中に足場を展開し、もう一度スキュラへと間合いを詰める。またそれを防ごうとヘルハウンドが襲いかかる。
「絶零斬」
ヘルハウンドは真っ二つに斬り裂かれ裂かれた個所から凍結していく。明子はそのままバランスを崩し船へと一旦戻り体勢を整える。
「次は私達ですぅ」
冬蔦 日奈々(ふゆつた・ひなな)は用意していたエターナルコメットに乗り込む。
「フェニックス、サンダーバード」
二体の召喚獣を呼び出す。召喚獣二体を先行させ牽制の意味を込めて攻撃を行う。日奈々は二体の召喚獣の後方からスキュラの上へとポジションを移す。
「天のいかづち」
天から一本の稲光がスキュラを撃つ。
「ああああああああ」
スキュラは完全に抵抗力を失い落ちていく。落ちて行くスキュラ。パッフェルの一発の銃弾が最後のヘルハウンドの頭を撃ち抜いた。
茅野 菫(ちの・すみれ)とパビェーダ・フィヴラーリ(ぱびぇーだ・ふぃぶらーり)は完全に瀕死となったスキュラを捕まえると船の上へと運んだ。
船の上のゾンビは操っていたスキュラが戦闘不能になったと同時に動きを止めていた。
「こいつが兄を殺したのですね」
アイラが震えながら駆け寄ってきた。
「アイラ……どうする? 今なら……お前でも……こいつに留めをさせるぞ」
「くっ」
アイラは固く握った拳をわなわなと震わせながらとけれどはっきりとした口調で言った。
「そんな事しても兄は帰って来ませんから」
アイラは今まで兄の仇を取る為にここまでやってきたけれどいざその瞬間になって気づいたようだ。本心ではそんな事をしたいと思っていなかった事に。
「アイラ、あんたは良くやったよ」
菫とフィヴラーリは清浄化を発動させる。すると瀕死のスキュラはみるみる化物染みた体から人間のそれへと変化していく。
「お次はこれだよ」
フィヴラーリはキュアポイズンで毒気を抜いていく。そして菫が命の息吹をスキュラだったものに掛けていく。スキュラは普通の人間と変わらない姿で蘇生した。まるで生まれ変わったかのように。
「これは!?」
スキュラは困惑した様子で周りを確認する。
「もう終わりだね。これ以上あなたは人を襲う事はできないもの」
「ちょっとどいてぇ〜」
ドタドタと現れたのは多比良 幽那(たひら・ゆうな)とアッシュ・フラクシナス(あっしゅ・ふらくしなす)。
「母よ、ちょっとまってくれ」
アッシュは慌てて幽那の背後から追いかけるような構図になっていた。
「あなたが真犯人ね! もうゾンビとかいろいろ大変だったんだからね」
「母よ、言いたい事があったのでは?」
「ああ、そうね。アルラウネ達おいで!」
そうするとヴィスカシア、リリシウム、ディルフィナ、ナルキスス、ラディアータ、五体のアルラウネが沢山の野菜を持って現れた。
「これ以上悪事を働かないように。この沢山の野菜を食べさせてあげるからね。肉?大豆食え大豆。植物性たんぱく質の方が身体に良いんだよ!!」
「……あ、ありがとう」
スキュラは思わずお礼を呟いてしまっていた。幽那は満足そうにしている。緊張していた船上、戦場は一気に穏やかな気持ちで包まれた。
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