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兄の仇はローレライ!?

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兄の仇はローレライ!?

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〜接触〜

 源鉄心はパートナーのティー・ティー(てぃー・てぃー)ともう一人のパートナーであるイコナ・ユア・クックブック(いこな・ゆあくっくぶっく)を追いかけていた。
「ティー、イコナちゃんはどこに行ったんだ?」
「分からないけど両手一杯の葡萄を持ってどこかへ」
「…探してみますか」
「そうですね、まぁ悪い事はしてないと思いますけど」
その頃アイラとローーレライの所にはイコナが両手一杯に葡萄を抱えてやってきていた。
「ピィ」
「えっ?」
「ぴよぴよ」
「?」
「これはすっぱくない葡萄ですの。ローレライさんにも食べてもらいたくてたくさん持ってきましたわ」
「あ、ありがとう」
「私が食べさせてあげますの」
「おいしい」
「そうでしょう」
そう言うとおもむろにイコナはローレライの翼に手を触れた。
「こんなにももふもふなのに…(ちらっ)」
 イコナはアイラがまだローレライを狙っていないか心配なようだ。
「なに?」
とアイラが怪訝そうにイコナに問うと
「な、なんでもないですの」
と少し慌てた様子だ。
「おーい、イコナちゃ〜ん」
「イコナさ〜ん」
鉄心とティーの二人がイコナを見つけてこちらに向かってきていた。
「たく、イコナちゃん、一人でどこかにいっちゃだめだろう」
「ちょっと葡萄をね、ローレライさん達に食べてもらいたくて」
「そうだったんですか」
「まぁ丁度いいかな」
「?」
「?」
ローレライとアイラはすっかり3人のペースにのまれてしまっている。
「アイラさんに少し事件について個人的に質問したいことがあったんでね」
「私にですか? なんでしょうか」
「…すみません、残酷なことを聞くようですが。」
「かまいません」
「では、死亡したとされる、お兄さんのご遺体は見つかったんですか?」
「いいえ、見つかっていません。それどころか兄以外の人間も誰ひとりです」
「そうか、君の兄も含めて誰もっていうの不思議だな。アイラさんはどう思う?」
「分かりません。運悪く死体が上がらないだけなのかもしれません」
アイラが沈痛な面持ちに変わったのを見かねてティーが話しかけた。
「お兄さんのこと、大好きで…とても大切な人だったんですね」
「大事な人でした…」
「アイラさん、…まだ葡萄あるよ」
「ぷっ」
「ははは」
唐突にイコナが素っ頓狂な事を言うのでみんな笑ってしまった。
「結果がどうなるかは分からないが君の為にがんばろう」
「ありがとう」
鉄心がアイラの肩を叩きながら朗らかに言うと同時にティーが何かを見つけたようだ。
「鉄心さん、あそこに人がいます」
「こんな海の真ん中に?」
「ええ、岩場の上に人が、ほらっ」
鉄心が前方の方に見える岩場に目をやると確かに人影が見える。
「漂流者ですかね?」
「さぁ、分からんが気をつけた方がよさそうだ」