リアクション
◆第2章 なんとなく奥へ
「入り口は閉じちゃったし、奥へ進むしかないよね。
こういうのは、最後まで行ければ元に戻れるって、相場が決まってるんだよ」
るるは切り替えの早い女だった。
人の体であれば体重を気にする必要はない。あんパンを囓りつつ遺跡の中を進んで行く。
「ああっ、食べ方が汚い!
何度言えば分かるのだ! もっと魔法少女らしくしなさい!」
「そう言われてもな〜。
あ、じゃあこれでどうかな?」
オットーのダメ出しに、るるは魔法少女に変身した!
「わー、魔法少女もなかなかかわいく……ないよ、オットーさんの体じゃ……」
「失礼な! もっとこう!」
オットーはかわいらしいポーズをとってみせるが、
パワードスーツにスカーミッシャーレギンス、ノクトビジョンを装備したルースの体では、ただただ不気味なだけだった。
「なんでこんなピンポイントに怪しい格好をしているのだ!」
オットーは、恥ずかしさから『カモフラージュ』で岩陰に隠れた。
「他に役に立ちそうな技はないかな」
なんとかしてゴブリンに有酸素運動をさせたいるるは、『至れり尽くせり』を使ってみた。
そうして分かったことは――
「あなた、あんパンがほしいの?
うーん、確かにアメとムチは大切だよね。その分、ちゃんと運動するんだよ」
るるは、あんパンをちぎってゴブリンに投げてやった。
「ゴブッ!」
あんパンのかけらにがっついたゴブリンは、そのおいしさの虜になった。
そして、すっかりるるになついたようだ。
「こうだよ、こう!」
「ゴブッ!」
るるの動きを忠実に真似るゴブリン。
「いける……いけるよ!」
るるは、自らのダイエット作戦に希望を見いだした。
「ななななー!」
その時、突如ミケが躍り出た。
「敵さんのお出ましみたいじゃ〜ん」
光一郎は、光るはたき『ラスターダスター』を構えた。