校長室
十人十色に百花繚乱、恋の形は千差万別
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第四十五篇:想詠 夢悠×想詠 瑠兎子×雅羅・サンダース三世 想詠 夢悠(おもなが・ゆめちか)が思い描き、想詠 瑠兎子(おもなが・るうね)、雅羅・サンダース三世と共に入った恋物語はクライマックスを迎えていた。 その恋物語は一風変わったものだった。 舞台は数十年前の地上のどこか。 まず、想詠瑠兎子は守護霊という配役だ。守護霊の時の名は「ルーネ」。雅羅の守護霊。雅羅を赤子の時から見守り、彼女に不幸をもたらそうとする悪霊を払い続け、成長した雅羅へ恋をする。そして、転生後の名は「瑠兎子」。女子高生だ。 雅羅の配役はなんと赤ん坊だった。名前は「雅羅」。幼少時から悪霊に魅入られ、少し災難体質。霊感が無い為ルーネも悪霊も気付けない。 想詠夢悠の配役は雅羅の孫だ。名は「夢悠」。 そして、使い魔のネコも配役に含まれていた。ちなみに、設定はというと――雅羅が拾ってペットにしたオス猫。名前は夢。雅羅は「夢」、ルーネは「夢ちゃん」と呼ぶ。ルーネと悪霊を視認できる。というものである。 物語の内容はこうだ。 気付くと幽霊になっていたルーネ。傍には生後間もない赤ん坊、雅羅。 直感的にルーネは、雅羅が自分の血族であり、自分は彼女の守護霊だと理解する。 雅羅が小学生になる直前から、悪霊が雅羅へ災いを及ぼし始めた。 影のように雅羅へ迫る悪霊をルーネは払い、雅羅の不幸を最小限に抑え続ける。 そんなルーネは思春期を迎えた雅羅に恋をしてしまう。 だがルーネは雅羅に触れる事も、気付かれる事も無い。雅羅のペット、夢だけがルーネの相手をしてくれる。 この頃から悪霊は鳴りを潜めていた。 数年後、雅羅は恋人と婚約をする。 失恋のショックにしょげるも、夢に慰められ、改めて雅羅の幸せを守り続ける決意をするルーネ。 しかし雅羅は原因不明の重病を患った。力を蓄えてきた悪霊が、ルーネの隙を突いて雅羅を襲ったのだ。 雅羅のため、子孫の未来のため、悪霊と激突するルーネ。 ルーネは自分が消滅ほど傷つきながらも、遂に悪霊を完全に倒すことに成功したのだった。 数十年後。 雅羅の孫、夢悠を、近所に住む幼馴染のお姉さん、瑠兎子が登校の迎えに来ていた。 夢悠が忘れていきかけたハンカチを持ってきた雅羅と、受け取ろうとした瑠兎子の手が触れ合う。 暫し見つめ合う二人。 その瞬間、転生前の記憶が津波のように心へと押し寄せてくる。 ハンカチを受け取り、瑠兎子は笑顔で言う。 「行ってきます」 そして、雅羅も瑠兎子に負けない笑顔で応えた。 「行ってらっしゃい」