リアクション
歪んだ空間は直ぐに元通りになり、餓鬼達に食われたはずの人々も気付けば元居た場所に立っていた。
鬼に操られた者たちも、一日たっぷり眠った事ですぐに回復した。
涼司に至っては、彼を救う為に全力を使い果たした婚約者の為、逆に休まず看病する事になってしまったが、
それこそ何時もの日常と変わらない光景だ。
不思議な事がひとつ。
空間が元に戻った後すぐ、ルカルカは企画展示室に向かったのだが、
どういう訳か絵巻きは跡形も無く消えて居たのだ。
*
後日。
蒼空学園の食堂に集められたもの達の耳に明るい声が聞こえてくる。
「皆様、お待たせいたしました!」
入ってきたのはエプロン姿の美緒だ。
今日は彼女によるご迷惑をおかけしてすみません、助けてくれてありがとう
そして駄目になった節分をやりなおす意味のパーティーが行われていたのだ。
「なにも来年でも良かったんじゃないか?」
と言う海に、美緒は首を傾げてみせる。
「あら、わたくしたちは実行委員なのでしょう。
なら仕事はきっちり、最後までやりきらないといけませんわよ。
さあ皆様、こちらは新しく料理部活の方々と作ったスパークルレインボー恵方巻きですわ
どうぞ召し上がって下さいませ!」
実行委員によって皆の前に七色の海苔に輝く星が散りばめられた恵方巻きが配られていく。
元気そうな美緒の姿に満足して、扉の前まできたところで、正悟は後ろから声を掛けられた。
「……召し上がって行かれないのですか?」
美緒の声に、正悟は目だけ振り向いて
「無事でよかった」
と告げると扉を開き歩き出した。
彼の背中を見送るのは食堂から聞こえてきたいくつもの絶叫だ。
「はは」
やっぱり食べなくてよかったか。
苦笑しつつ食堂から遠ざかって行った。
同じころ、ある学校の何処かの一室で
二つの赤い光が輝いたのを、今は誰も知らない。
ここまで読んでくださって本当に有難うございました。
鬼モノを書くのにちゃんとお祓いを受けなかった所為か、風邪にやられて自分がズビズビのまま執筆する羽目になりました。
皆様もどうかお気をつけ下さいませ。