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インテリ空賊団を叩け!

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インテリ空賊団を叩け!
インテリ空賊団を叩け! インテリ空賊団を叩け!

リアクション

 
 
そんな風に船長室の面々が事態を把握していたころ

船室の何気ない一角の奥にある隠し扉の奥
その隠し部屋に真の空賊団の船長は潜んでいた

だが、そこで逃走……というわけでなく
彼の前には一人の男が佇んでいる

 「やあ、いくつか分からないことあって着たんだが、答えれくれるかな?」
 「随分と事もなげに言いますが……よくここがわかりましたね?」

流石に本物は状況に追い込まれないのか
優雅に切り返す船長の言葉に佐野 和輝(さの・かずき)は答える

 「俺、こっちは今暴れてる連中とは別のルートでの依頼なんだよ
  まぁ根っこは一緒だけどね。極秘で動けば似たような奴の心理は読み取れる……
 【カモフラージュ】で率先して中の様子を探っていたら、一船員だったあんたが一番動じてなかった
  後は徹底的に単独でマークしていた……それだけだよ」
 「成程……で、あなた達も私の捕縛が目的ですか」
 「うんにゃ、俺達が興味あるのは手にしてる肝心な物だけだよ」

和輝の背後から高崎 悠司(たかさき・ゆうじ)が現われ、のらりくらりと呟いた

 「俺は噂の偽造印さえ手に入ればいいよ。まぁ和輝は別だろうけど」
 「……俺の質問は一つだ、周りは偽造の元となる印を手に入れたルートが気になってるようだけど
  精巧な印章の偽造技術ってのは、そうそうあるもんじゃない、そこら辺にあるハンコとはわけが違う
  その技術の提供先はどこか……知りたいのはそこだけだよ」
 「成程……しかし、残念ながらその質問には答える情報を持ち合わせてはいませんよ」

二人の質問に動じず、船長の会話は続く

 「向こうも足がつくのは嫌いなようでしてね、こちらの詮索を掻い潜る位の手は打ってある
  信じますか?その知りたい技術の結晶ともいうべき機械がどのように送られてきたのか
  ごくありふれた宅急便ですよ、この世界にもある普通のアレです
  こちらだって、こんな魅力的な技術を独占したい……でもどうやら無駄のようです……ただ……」

和輝の突きつける銃の先を見つめ、彼の話は続く

 「似たような技術は【地球】で見かけた気がします、あちらの組織なんじゃないですか?
  私が言えるのはこの程度ですよ、で……これを渡せば私は助かるんでしょうかね?」

船長が言いながら差し出した手には偽造印が握られていた

 「ヘタ打たなきゃいいよ、俺も頼まれただけだし
  たださ、目の前の銃だけが危険だと思わない方がいいぜ?」

そう言って悠司は手を開き非物質化してた【機晶爆弾】を物質化してみせる

 「……成程……ここは大人しくした方がいいですかね?」

そうして船長が立ち上がった刹那……

 「いた!ここだ!!」

隠し扉が勢いよく開いて小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)が飛び込んできた
不意の事態に悠司達が呆気にとられるのと、船長の床が開き落ちていくのが同時だった
見事なまでの隙をついた行動に和輝が舌打ちをする

 「……知的だろうと何だろうと、生きしぶといのが空賊ですよ!」

落下干渉手段でもあるのだろう、落下速度に身を任せたまま船長が余裕で叫ぶ、だが……

 「しぶといのは!こっちも一緒だよっ!」

そのまま美羽も開いた床から彼目がけて飛び降りたのである
【ゴッドスピード】で加速された彼女がみるみる船長に近づいていく

 「………な!?馬鹿な!あなたに浮遊手段でも!?」
 「はあああああああああああああああああ!」

彼の問いに答えるでもなく、そのまま【スタンスタッフ】を構えて飛び込む
鳩尾に食い込んだ電磁警棒の一撃が派手に炸裂し、彼の意識を刈り取った

 「ぐああああああああああああああああああああ!!」

そのまま一対の塊として落下は止まらず、落下速度は増していく
だが彼を離すまいとして掴みながら美羽は叫んだ

 「悪いけど場数が違うの!それに私にはっ………!」

そう叫んだ刹那、彗星の様な勢いで一対の塊が飛び込み、美羽の姿をさらって上空へ舞い上がっていった

 「………ホント、無茶するんだからっ!」

それはこの空を制するに値する誰もが知っている空かける白馬
それに跨る一人の孤高の戦乙女……フリューネ・ロスヴァイセ(ふりゅーね・ろすう゛ぁいせ)だった
その天馬の背にくの字に跨る形になりながら、美羽はえへへと笑い言いかけた言葉を動かない男に呟いた

 「私にはね……頼もしいみんながいるんだから………って、ああああああああああ!?」
 「え?ちょ……なに?」

せっかく決めかけた言葉が素っ頓狂な絶叫にかわり、驚いたフリューネとエネフが急停止する

 「ハンコ!じゃなかった印!印!!」

見ると気を失った船長の手から落ちたものが遥か下に落ちていく

 「あああああああああ!あれが無くなったらやりなおしだよ!急いで急いで!………え?」

再び飛び降りようとしてフリューネに止められていた美羽の動きが止まった
同じく落下を見ていたフリューネも目を丸くする
米粒ほどの小ささまで落下していた偽造印が…………………そのまま爆発した



 「ま、悪党の考えなんて大体おんなじだから、こんなもんだよね?」
 「……だからって爆弾と交換って……悪趣味だなぁ」

下での顛末を見下ろしながら悠司が呑気に呟き、そんな彼に和輝が抗議をする
その手には神業のようにスリ取られ【機晶爆弾】と交換された偽造印が軽快に転がっていた

 「あれ位してしかるべきでしょ?こっちの段取り台無しにしたんだから
  というわけで俺の仕事は終わり、はい!これ渡しといて」

ようやくすべてが終わり、駆け付けた仲間
鬼院 尋人(きいん・ひろと)呀 雷號(が・らいごう)に印を放り投げる
そして飄々と去りながら、件の依頼主に連絡を入れるのだった

 「あ、天音?終わったよ
  あ〜何とか無事だ。今からそっち行くんで、色々準備しといてくれ」

一方の和輝は遠くから迎えに来るアニス・パラス(あにす・ぱらす)の姿を見かけ
安堵するとともに足元に未だいる【キュゥべえのぬいぐるみ】を見つめて呟いた

 「……結局使い道なかったな、これ。こんなの絶対おかしいよ、うん」