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【新歓】みんなで真・魔法少女大戦!?

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リアクション



stage9 動力炉は倒せない?


 ≪シャドウレイヤー≫装置停止から数十分後。

「カナ、戦艦の移動が完了したらしい。
 もう動力炉を破壊しても大丈夫だ」

 月崎 羽純(つきざき・はすみ)が【テレパシー】で伝わってきた情報を、魔法少女アイドル マジカル☆カナ(遠野 歌菜(とおの・かな))に伝える。
 
「わかった。ありがとう羽純くん。
 ……と、いうことだからそろそろ決めさせてもらうね♪」

 マジカル☆カナは武器を構えなおし、高天原 咲耶(たかまがはら・さくや)を獲物を狙うように見つめた。 

「ににに、兄さん! ちょっとこれはムリ!
 これ以上は『 ム リ 』ですっ!!」

 咲耶が背後のドクター・ハデス(どくたー・はです)を振り返る。

「オリュンポスの同士さんはいつ来るんですか!?
 全然現れないじゃないですか!?」
「う、うむ、おかしいな。
 俺の念に答えてそろそろ奴らが駆けてもいいころなんだが……」
「念ってなんですか!? ちゃんと段取りとってあるんですか!?
 ちゃんとお願いしたんですか!?」
「いいや。だが、ピンチになったら同士が助けにくるのは――」
「それ、ヒーロー側の展開じゃないですか!?」
「お、サクヤよ。ようやくが己が悪女だと……」

 ――ガッコン!!

 咲耶が投げた鉄パイプがハデスを直撃していた。

「それでこの状況をどうするつもりですか?
 このままじゃ動力炉を破壊されて、私達もやられてお縄ですよ」
「ふむ。確かに戦力は圧倒的に不利。同士が駆けつける気配もない。
 このままでは負けるだろうな」
「冷静に分析してないでどうするか考えてくださいよ……」
「なに、考えるまでもない。
 実はこんな時のために秘策を用意してあるのだよ……」
「え?」

 ハデスは咲耶の肩に乗ると、生徒達に向かって叫んだ。

「見よ! 正義の魔法少女達よ!
 これが貴様らを死へと誘うオリュンポスの英知の結晶だ!!」

 ハデスは魔法の改造携帯電話のスイッチを操作する。
 すると、広々とした室内の奥にあった動力炉からけたたましい機械音が鳴り響き
 ――動力炉が立ち上がった。

「なにあれ!?」

 機械の足が四本生え、分厚い鉄板が鎧のようを動力炉を覆う。
 四本の脚を動かし、素早い動きで動力炉が壁を走り天井へと移動していく。

「どうだ、この機動力! これで貴様らが動力炉を破壊することは不可能になった! 俺達の勝利だ! フフ……フハハハ!」

 腰にドリルを当てて大喜びするハデス。
 と、その時――

「うわっ、なんだ!?」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

 戦艦が大きく揺れだした。
 体が浮き上がるような感覚。
 悲鳴と叫びが生徒達の口から漏れだす。
 
 ――それは戦艦が落下する感覚だった。

 轟音と共に地面に不時着した戦艦の床は多少斜めに偏っていた。
 ハデスは床に叩きつけられた体を起こしながら、薄暗くなった室内を見渡す。室内の明かりは非常灯のみとなっていた。

「な、何が起きたというのだ!」
「あの兄さん」
「なんだこんなの時に……」
「あの動力炉って、ちゃんとこの戦艦にエネルギーを配給しているんですか?」

 動力炉は自由に天井と壁を走り回っている。
 ハデスは生徒達に負けない改造を施すに夢中で、大事なことを忘れていた。

「ナントイウコトダ、コンナモウテンガアッタトハ……」
「兄さんの馬鹿!!」

 ドリルの突いた両手を上げてカタコトで話すハデスを、咲耶は鉄パイプで思いっきり殴った。
 ハデスはめり込んだ身体を壁から引き抜きながら、笑い出す。

「フフフ、ハハハ……だがしかしパワーアップした動力炉もとい、≪起動式バイオタンク一号≫は捕えることのできない機動力に、高出力のビームを備えている! そう、決して奴らには倒すことはできないだろう!
 つまり、魔法少女を倒し、その後もう一度戦艦に接続すれば万事解決ということだ!」

 ハデスが生徒達を指さし、睨みつける。

「さぁ、いけ! ≪起動式バイオタンク一号≫!! 奴らを叩きのめすのだ!」

 ハデスの指示で≪起動式バイオタンク一号≫となった動力炉がビームを放った。

 牛皮消 アルコリア(いけま・あるこりあ)は攻撃を避けながら≪起動式バイオタンク一号≫を見上げた。

「仕方ないなぁ……」

 アルコリアが内から発する光に包まれ、一瞬で身体が急成長する。
 【ちぎのたくらみ】を解除して元の姿に戻ったのだ。

「ふふ、魔法少女の変身が小さくなる1回のみだと、何時から錯覚していました?」

 アルコリアの肩に、魔鎧状態を解除したラズン・カプリッチオ(らずん・かぷりっちお)がコアラの姿になってしがみついていた。

「アルコリア、休んでいるから、必要になったら起こして……」
「わかりました。おやすみなさい」

 アルコリアが頭を撫でると、ラズンは気持ちよさそうな寝息を立て始めた。
 上からビームが飛んでくる。
 アルコリアはプリンセスドレスを翻しながら回避すると、魔力を集中させて【シューティングスター☆彡】を放つ。
 軽やかな動きで回避する≪起動式バイオタンク一号≫だったが、【シューティングスター☆彡】によって天井に大穴があいた際の破片でバランスを崩し、地面に不時着した。

「それでは派手にいきますよ!」

 天井からパラパラと色んなものが落ちてくる。
 アルコリアが戦うたびに室内がボロボロになっていく。
 
 危機感を感じた乗組員達がアルコリアを狙ってくる。

「ヴァイス。敵を足止めをするぞ!」
「了解!」

 ヴァイス・アイトラー(う゛ぁいす・あいとらー)セリカ・エストレア(せりか・えすとれあ)の指示で敵を迎撃していく。

「ありがとうございます」
「気にしないで、そっちはあの動き回る目障りなのを狙ってよ」
「わかりました」