リアクション
城外
「くそ……ここまでか……」
結局剛太郎の襲撃に遭い、鈴鹿と離れ離れになってしまった大鋸。
ダメージと空腹にやられもう1歩たりとも動きたくない。
大鋸は大木を背に座り込んでしまった。
「美食城……。あのルドルフが用意したんだ。うめえんだろうなぁ……」
しかし城からは遠く離れてしまっている。
戻るにも戻れないのだ。
「……ん?」
ふと、鼻を利かせると、いかにも腹の虫をうるさくさせる甘い香りが漂ってきた。
「どこだ……?」
ふらふらと立ち上がり、その匂いの元を辿っていく。
すると、オデット・オディール(おでっと・おでぃーる)が火に薪をくべていた。
竈のように火の周りには石が積まれており、ケトルが白い湯気をあげている。
「何を作ってるんだ?」
「え、これ? クレームブリュレだよ」
「くれーむぶりゅれ?」
「簡単に言えば焼きプリンかな」
「おお、美味そうだ……」
オデットはミトンを手に着けケトルを取ると、コーヒーを淹れ始める。
大鋸はその様子をじろじろと観察している。
「さてさて、それじゃあ3分間クッキングの始まり始まり〜」
「しかし、プリンなんてどこにもねえじゃねえか」
「ちっちっち。分かってないなぁ。見てみてよ、ううん、触ってみてよこの石像。実はこれ、大きなプリンなんだ」
「本当か。すげえな……」
「こいつに砂糖を振り掛けましてえ〜、さっと火で炙れば出来上がり〜」
オデットは低出力の火術を器用に操りながら、石像の表面に焦げ目をつけていく。
「はい! 出来た! 3分かかってない、やったね!」
「なあ、食っていいか、これ」
完成、と聞いて大鋸はいてもたってもいられなかった。
今すぐかぶりつきたい。
食欲は最大に膨らんでいたのだ。
「いいよ。その代わり、大鋸さんが捕まってくれるならね」
「……え?」
こうして総大将はあっけなく捕まってしまったのだった。
攻撃 4点
守備 6点