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リアクション
「ここらはまだと見たが」
「そのようですな」
「にしても、目線が低い。重りがないのはいいがな」
「いやはや、こんなに目線が低いと面白いですじゃ」
「……捜索に専念すべき」
慣れぬ体を押してモール内を捜索するのは、龍滅鬼 廉(りゅうめき・れん)とそのパートナーである陳宮 公台(ちんきゅう・こうだい)、ロード・アステミック(ろーど・あすてみっく)、勅使河原 晴江(てしがわら・はるえ)の三人だ。
四人もまた、マシーンの捜索・破壊をするためにモール内をしらみつぶしに探していたのだ。
道中のお邪魔キャラ、黒服たちを蹴散らしながら探すものの、他の契約者たちと同様にその姿を見つけることが出来ないでいた。
「本当に大型の機械などあるのか? どこにも見当たらないが……陳宮、何か見えないか?」
「視界がいいのは確かですが、何かが見えてくるわけでもなしですかな」
「まったく、面倒なことだ。重りがないとは言っても、我が身が一番だな」
「同感ですな。これでは集中もままならないですよ」
「私はそうは思わないですが。中々面白きことと存じますじゃ」
「……機械音」
「ん?」
――――――キィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイインッ!
どこからか唸りだすハウリング。嫌な音が四人の鼓膜を振るわせる。音が収まるとモール内についているスピーカーから館内放送が流れてくる。
もちろん迷子のご案内などはない、有力な手がかりを伝えるため。
『あーあー、聞こえてますかー? これ大丈夫?』
『いいから要件だけを伝えろ。俺の声だと言うのを忘れるな』
『そっちだってそうじゃん! まあいいや、えー聞こえてますかー。返事はないだろうけどお伝えします。とある場所で黒服たちが何かを運んでいる映像を発見しました。場所は―――――』
場所を簡潔に、わかりやすく契約者に伝えるルカルカfeatダリルボイス。
『これから私たちも向かうから、皆もよろしくお願いします! それじゃ!』
館内放送が終わる。
「……この近くだな」
「むっ、これは何ですじゃ?」
ロードが床に何かの跡があるのを発見する。何かを引きずったような痕跡。
「……この先」
「恐らく間違いないでしょうな、行きましょう」
四人が駆け足で引きずった痕跡を追う。走れば走るほど、四人はよからぬ視線を身に感じていた。
「成る程、当たりの様だな。これだけの人数なら守りと形容するのに相応しいだろう」
「……! 見えました! あのデカブツです!」
陳宮が指差した方向には、これでもかという大きさの機械が重鎮していた。圧倒的な質量を感じさせる機械からは継続的に機械音が発せられる。
卵のような形をした銀色と黒色を混ぜ合わせたような色をしているその機械こそが。
「人格シャッフル……はた迷惑もここらでお開きだ」
「一瞬で砕きます!」
「援護しますぞ!」
「……前は任せろ」
四人が何時も通りの陣に開く。姿は違えど、何度も共に戦ってきた四人にはさしたる問題はなかった。
だが一人だけ普段と比べて集中力が欠けている人物が一人。
「すぐにでも終わらせっ……くっ!?」
黒服の数はそれまでの比ではなかった。攻めに重点を置くもの、守りを徹底するもの。行動からも感じ取れるこの機械を死守しようとする黒服たち。
普段より若干前に出すぎた陳宮が黒服に囲まれそうになる。しかし。
「俺が相手だ」
すかさず援護に入る廉。体は違えど繰り出される技に鈍りなし。黒服たちが宙を舞う。
「らしくないな。集中力が欠けているんじゃないか?」
「……そのようですな。ですがこれからは違います。ここからは何時も通りです」
「頼む」
「どれだけ策を練ろうと奴らは駒に過ぎません。一点に集中した攻撃を防ぎきれる訳もないでしょう」
「だそうだ、二人とも」
「わかりましたですじゃ」
「……承知」
作戦が決まった四人が準備を一瞬で整え、黒服たちの中央を行く。そこに不穏な影が二つ。
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