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買い物禁止!? ショッピングモールで鬼ごっこ!

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「フハハハ! そうはさせるか! このマシーンは天才科学者であるドクター・ハデスのものである! 破壊などもってのほかだ! フハハハハハハハハ!」
「ちょ、ちょっと兄さん! 私の体で変なこと言わないで下さい!」
 マシーンの破壊を阻止すべく「人格シャッフル」の前に立ちはだかるのはドクター・ハデス(どくたー・はです)高天原 咲耶(たかまがはら・さくや)の二人だ。
 「人格シャッフル」を自分の物にするために契約者たちの前に立ちはだかったのだ。
「人格をシャッフルする。我が野望に近づくために有効に使えるだろう。そのためにこのマシーンは破壊させはしないぞ!」
「だからあんまり暴れないで下さい! 今日はたまたまスカートで、ってもう捲れますから!」
「これは奴らの動揺を誘うための手段だ! 止むを得まい!」
「得ます! もっと他の手段を、じゃなくて! このマシーンを一緒に止めてください!」
 マシーンの前で喋り倒すのをやめない二人。そこに廉たちが駆けてくる。
「そこの! 立ちはだかるのなら容赦はしないぞ!」
「むっ、侍か! 近距離の持ち込みたいのだろう? そうはさせんぞ! 喰らえ!」
 『ファイアストーム』で廉の突進を止める。咲耶の体により魔法が使えるようになったハデス。魔法を使った後で不適に笑う。
「ほう、いいではないか。天才魔術師、ドクター・ハデス……気に入ったぞ! これはおまけだ! 取っておくといい!」
 『アシッドミスト』を使い視界不良を引き起こすハデス。
「……あれ? いつもの兄さんよりかっこいい?」
「ん? 何か言ったか?」
「い、いえ? というか! 他の人たちに何してるんですか! 直撃したら危ないですよ!」
「さすがにそこまではせん。牽制程度だ。我が野望の前に死傷者など必要ないからな」
「兄さん……」
 世界征服を企んでいるとは思えないハデスの発言。まるで実家が墨田区で本名が高天原 御雷であるかのような発言だ。
 しかし、そこは悪の天才科学者。彼の脳裏には次々と有効なプランが生まれていた。その一つを実行しようとする。
「さあ! 次はお色気大作戦」
「却下です!」
「ウボアー! な、何をする!」
「むしろ何をするんですか! そんなこと許しませんよ!」
 灰色の脳細胞が導き出した答えに即座にペケマークをつけた咲耶。
「だが、これ以上傷つけずに戦うのは困難。なら自ずとこの答えに行き着くだろう?」
「行き着いたところでお先真っ暗ですよ!」
「いやほら、これだけ胸が大きいなら悪くないと思うのだが」
「人の胸を触らないで下さい! もう、我慢なりませーん!」
「や、やめろ! それは我がスキルの中でも極悪な性能を持つ―――――」
「我が身と滅びよ!」
「ぐあああああああ!」
 『機晶ビーム』に巻き込まれるハデス。こうして、悪は去ったのだ。

「……一体何だったんだろう。……あんまり考えないでおこう」
 ハデスと咲耶のやりとりを見ながらも黒服たちの猛攻を裁いていたのはウィンディ・ベルリッツ(うぃんでぃ・べるりっつ)だ。
 マスターである鹿島 ヒロユキ(かじま・ひろゆき)の代わりにこの場に赴いていたのだ。目的はマシーンの破壊と残骸の回収。
「ボクは普段通りだし、ここまで来れば任務達成みたいなものかな?」
 厄介だと思われていたハデスも、咲耶の功績により撃退された今、黒服たちは押されるだけだった。
 更にマシーンの捜索を担当していた契約者たちが続々と集まってきており、破壊は目前にまで迫っていた。
「よし、ここでボクがここを崩せば多分!」
 『ランスバレスト』で黒服達たちを吹き飛ばす。それによって出来た突破口に廉が滑り込む。
「助かる」
「いえ!」
 そのまま廉は誰もいないマシーンへと走る。
「終いだ。鉄クズになれ」
 廉が「人格シャッフル」に詰め寄り、勢いそのままに斬りつける、その刹那。
「ちょっと待ってー! 壊しちゃダメー!」
「……っ」
 突然の静止の声。何とか反応はしたものの時既に遅し。「人格シャッフル」の一部が壊れてしまっていた。
「間に合わなかった、が全壊ではないのならいいだろう。……この機械の破壊はなしだ」
 いつの間に現われたのかダリルとルカルカが姿を現していた。
「どういうことだ?」
 廉が当然の疑問を口にする。
「今壊したらシル・エッターは逃げちゃうかもしれない。だからギリギリまで泳がせておくためにね。
 それに、これだけの機械をただ壊すのはってことらしいよ。山葉の方に連絡があったんだって」
「不要だと思うが。まあいい、了解した」
「……部分的に壊れてしまってはいるが動作自体まだいけるな。タイムリミットのギリギリまで稼動させた後、然るべき施設にが妥当か」
 ダリルが機械を調べ終え、判断を下す。
「破壊はなしってそれじゃ残骸が……どうしようかな。……とりあえず、壊されたとき飛び散った破片だけでも持ち帰ろう」
 急な変更に戸惑いつつも、何とか残骸を手に入れたウィンディだった。
 こうしてマシーンの確保は完了したが、まだ黒服たちは残っている。集まった契約者たちで時間までマシーンを死守するターンが回ってきたのだ。
 タイムリミットまで残り数時間。契約者たちは油断なくマシーンを護衛するのだった。