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リアクション
イコン戦闘会場。集まったのはシフ・リンクスクロウ(しふ・りんくすくろう)、ミネシア・スィンセラフィ(みねしあ・すぃんせらふぃ)、シフがすでに魔鎧として纏っている四瑞 霊亀(しずい・れいき)ら操るアイオーン。紫月 唯斗(しづき・ゆいと)、エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)の操る魂剛。斎賀 昌毅(さいが・まさき)、マイア・コロチナ(まいあ・ころちな)の操るフレスヴェルグ。の三機。
対するは、トーマスの乗るフリーダム。サーシャ姉弟の乗るラードゥガ。そして、WCSの支援機グローリー。
「もう、なんで、またイコン戦なのーっ!?」
一人怒るミネシア。
「ミネシア、落ち着いてください」
「だってー! せっかくアメリカまで来たのに、やってることがいつもの変わんないー!」
「そうですね……。それじゃ、終わったらハンバーガー食べに行きましょう」
シフの言葉に目を輝かせるミネシア。
「本当っ!? 絶対だからね! 模擬戦終わったハンバーガー食べに行くからねっ!」
「これは好都合だ。ロシア組だけじゃなく、アメリカ組とも、模擬戦が出来るとは」
「そうですね。結構申し込みがあるらしいから出来ないと思っていました」
各種整備チェックをする昌樹とマイア。
「さて、どのぐらいの強さか……、お手並み拝見といこうじゃないか」
「唯斗、明倫館生はわらわ達だけだ、ハイナの為にも負け無しで行こうじゃないか」
「もちろん。負けるわけには行かないからね」
「その意気だ。自分の実力を信じるのも力の内ぞ。過信はいかんがな」
『今回もよろしくな、サーシャ、ミーシャ!』
『はい、こちらこそ。お互いに全力を尽くしましょう』
『そうですね。今回はよろしくお願いします。お三方』
『援護は任せるからな! 次は絶対に勝つ!』
『そろそろ始めるけど、準備は良いかい?』
『お、ケビンか。いけるぞ、始めてくれ』
『それでは……模擬戦開始!』
「よし、行こう!」
魂剛が前に出る。
『僕らが止めます』
『こちらも援護します』
ラードゥガが銃剣付きビームアサルトライフルで牽制しつつ、グローリーが本命のスナイパーライフルを混ぜ込む。
「この程度じゃ止められない!」
その中を左右に動き回避しつつドンドン前へ進む魂剛。
「援護するぞ」
後方でバスターライフルを構える、フレスヴェルグ。
「銃口補正完了。誤差修正。ターゲットロック。いけます」
「シュート!」
フレスヴェルグの放った銃弾がグローリーの持つスナイパーライフルを撃ち抜いた。
「……!? まさか、あの距離から……」
「シフ! ワタシ達もいこっ!」
「理解しています!」
射撃支援の衰えたところをついてアイオーンが銃剣付きビームアサルトライフルでラードゥガへ牽制をかけつつ接近する。
『俺が、アイオーンを迎え撃つ。そっちは魂剛を任せる!』
『了解です。その間にグローリーは武器チェンジを』
『申し訳ない』
フリーダムが接近するアイオーンの前に立つ。
「いきます!」
アイオーンが銃剣と新式ビームサーベルの二刀持ちでフリーダムに突撃する。
「俺だって!」
フリーダムもビームサーベルを二刀持ち迎撃する。
突き出された銃剣を回避し、そこからからサーベルを横薙ぎに振るう。アイオーンはそれをサーベルで受け止め、アサルトライフルを撃つ。
「おっと!?」
咄嗟に、後ろに下がり回避するフリーダム。
「中々やりますね……」
「もうっ、当たらないじゃないーっ!」
「(シフ、落ち着いて)」
セルフモニタリングでシフの状態を見ていた霊亀。
「(焦っていては勝てるものも勝てませんよ)」
「ふぅ……そうですね」
「拮抗していますね……」
レーダーを見るマイア。
「支援射撃を入れるか」
「そうですね……っ! 前方よりライフル弾!」
「よっ!」
飛んできたライフル弾を右にかわす。
「グローリーか!」
昌毅が前方を見ると、かなり遠くに座り撃ちの構えで狙っているグローリー。
「……当たったと思ったんですが……次は当てます」
「一発勝負をしようというのか、良いだろう」
お互いにお互いを狙う。
「…………」
「座標修正。誤差修正……。銃口補正完了――」
「シュート!」
「ショット!」
フレスヴェルグとグローリー。同時にトリガーが引かれる。
「……」
「……僕の、負けですね」
グローリーが静かに機能を停止する。命中したさきは動力炉の横。
「……よし」
ガコンッ! とフレスヴェルグが傾く。
「えっと……、右脚部に損傷ありです」
「まぁ、このぐらいならまだ戦えるだろう。援護に回るぞ」
迫る魂剛と、一定距離を保ちつつ、アサルトライフルを撃つラードゥガ。
「相手には遠距離武装はない。このままうまく戦えば……」
「させるか」
ラードゥガ、の進行方向にバスターライフルを放つフレスヴェルグ。
「……!」
「チャンス!」
「一気に決めろ!」
ラードゥガが間合いに入った瞬間、魂剛の刀が煌き、ラードゥガを高速の斬撃が襲う。しかしラードゥガはそれをランスで受け止めてみせた。
「……ふぅ、正直、反射的だったけれど。セーフ、だね」
危険を認識した瞬間、ランスを構えさせたミーシャ。
「まさか防がれるなんて……」
「だが、間合いは出ておらぬ。チャンスはまだあるぞ!」
「姉さん、来るよ!」
再び繰り出される、高速の斬撃。それを紙一重で防いでいくラードゥガ。
「対応されている……!」
「ならば、掴み技を試してみろ!」
「そこだっ!」
刃の隙を狙うように繰り出されたランス。
「よっと!」
それをかわす魂剛。
「いまだ!」
エクスの合図と共につかさずランスの持つ手を取り、そのまま引き寄せてからの背負い投げ。
「えぇ!?」
「……イコンを投げた」
地に倒れた、ラードゥガに刀を向ける魂剛。
「……負け、です」
サーシャ達は降参の意を示した。
お互いの様子を疑うアイオーンとフリーダム。
「いくぞ!」
「……!」
先に打って出たのはフリーダム。二刀のサーベルを自在に振り回し、アイオーンに迫る。シフはそれを冷静に見極め、回避、防御をしていく。
「そこっ!」
「いや、それはやらせない!」
振り上げられたフリーダムの右腕にフレスヴェルグのバスターライフルが刺さる。
「しまった!」
「今がチャンスだよっ!」
「終わりですっ!」
体勢の崩したフリーダムに向けて二刀のコンボからのファイナルイコンソードによる連撃。
「また俺の負け……。そんなの認めないぞ……!」
フリーダムが倒れ、機能停止した。