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リアクション
「よし、こちらも問題なし」
風紀委員の仕事で夜、特別棟の方を巡回していたせつなとナナシ。
「…………」
周囲を引っ切り無しに警戒しているナナシ。
「怖いわよ。ナナシ」
「何が起こるか分からないからな。警戒するにこしたことはない」
「そうだけどさ……。さぁ終わったし戻りましょ」
「二人ともお疲れー」
特別棟一階。警備として参加し、別行動で巡回をしていた日向 茜(ひなた・あかね)、アレックス・ヘヴィガード(あれっくす・へう゛ぃがーど)、クレア・スプライト(くれあ・すぷらいと)の三人と合流する。
「お疲れ様ですわ」
「お疲れさま、こちらは異常なし」
「三人ともお疲れ様。こちらも異常なかったわ」
「それでは戻ろう――ん?」
アレックスが歩き出そうとした、その先に一人の生徒が立っていた。
「もう就寝時間だよ。部屋に戻りなさい」
アレックスの言葉を無視してゆらゆらと歩み寄る生徒。
「そこのあなた。就寝時間だから――」
せつなが言い終わるや否や、姿を消した生徒。そして、気づいた時には五人の眼前に来ていた。その両手にはナイフ。目標はせつな。
「……えっ?」
その振り下ろされるナイフに反応したのはアレックスとナナシ。二人はせつなの前に立ち、そのナイフを剣で受け流す。ナイフを受け止められた生徒はそのまま後ろにジャンプし距離を置く。
「せつな、平気か!?」
「え、えぇ。でも、どういうこと!?」
「とりあえず、敵意むき出しだってことは確かだよね」
それぞれが武器を構える。
「ナナシ、アイツは一体……」
「キミは一体誰だい!?」
「……私は……コード:S^2」
月明かりに照らされ姿を現したのはコード:S^2。だが、その姿は女子生徒の姿をしている。
「どういうことだ……?」
普段、無表情なナナシが戸惑いの表情を浮かべている。
「未来において、脅威となるもの……抹殺する」
「来るよ!」
高速で動き、ナイフを振るってくる。コード:S^2。
「は、はやい……!?」
その動きに追いつけず、防戦一方のメンバー達。
「このままじゃ、いつか殺されちゃうわよ!?」
「この……!」
せつなが氷の刃を展開し、放つが、全て回避、防御されてしまう。
「攻撃が届かない……! 一瞬でも隙が作れれば……」
「…………!」
「危ない!」
せつなの死角からせつな向けて繰り出されたナイフを茜が持っている銃で防ぐ。
「あ、ありがと!」
「本気すぎて嫌になるわね……!」
その時、近くの水道からゴポゴポゴポッ! という音が鳴り始める。
「今度は何!?」
水道管から黒い物体が溢れ出て、床に這い出ると、少しずつ形をなしていく。
「…………」
それは怪物と化し、強い存在に引かれ姿を現したエッツェル・アザトース(えっつぇる・あざとーす)。
「か、怪物……?」
「要注意対象。攻撃開始」
コード:S^2がエッツェルに攻撃を開始する。
「…………」
ナイフを突き刺されてもものともしないエッツェル。刺さったその場所は瞬時に傷が塞がっていく。そして、異形化左腕でコード:S^2を捕食しようとする。
「……!」
危機と察知したコード:S^2はすぐさま距離をとり、ナイフを投擲。
「…………」
エッツェルはその身にまとう水晶翼でナイフを弾く。
「要危険対象。一時撤退する」
攻撃が効かないと悟り、コード:S^2はすぐさま姿を消す。
「…………」
「ひっ……!」
その不気味な顔をせつな達に向けたエッツェル。だが、顔を背け、すぐに下水管へと入り込み姿を消した。
「……はぁ、恐ろしいものを見たわ」
全員が安堵のため息をもらした。
「なんだったのでしょうか、先ほどの化け物は……?」
「分からないけど……放置は、このままにしておくわけには……」
「でも、あいつの狙いはさっきのコード:S^2? だけみたいだったし……おかげで、あたし達は助かったわけだしね……」
「ねぇ、ナナシ。さっきのコード:S^2ってのは一体……?」
「正直、信じたくはないがあれは『C』だ」
「『C』? あれ、でもそれだと……」
「あぁ、『C』は二人いるのかもしれない。俺の知らない『C』が……」