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MNA社、警備システム開発会社からの依頼

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MNA社、警備システム開発会社からの依頼

リアクション

「行き止まりが近くなってるわ! あと少しよ!」
「けれどまだ何かあるかもしれないわ」
「油断は禁物だね」
 フラッグがある地点まであと少しだと確信をしつつも先のことがあったため、用心を怠らない三人。
 そして最後の曲がり角を曲がったその時。
『二度あることは三度ある。悪いですが、取らせてもらいます』
「やっぱりきたわね! こっちだってそう何度も同じ手に乗りますか!」
「さっきの曲がり角での強襲を受けたのも私たちだしね」
 曲がり角に細心の注意を払っていた三人は、機動兵器の射撃型に乗ったヴィゼント・ショートホーン(びぜんと・しょーとほーん)の攻撃に対応、回避に成功する。
『成る程、いい腕です』
「ありがとう。それじゃこのまま、突っ走らせてもらっ……ってもう一機!?」
「こんな間髪いれずに!?」
 曲がり角にいたのはヴィゼントだけはなかった。偵察型無人機がもう一機いたのだ。
 それもただの無人機ではなく、オペレーター付きの。
「曲がり角の行動は限定される。それも攻撃があったとあれば、更にその幅は狭まる。機動兵器の小回りが聞かない以上、正確な位置を知り勝つほかないわ」
 無人機のオペレーターを務めるはリカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)だ。この策の考案者でもある。
「でも、ヴィーの攻撃を避けるとは、曲がり角作戦はいささかしつこ過ぎたかしら?」
 オペレーターとして別の場所で防衛側に貢献するリカイン。
「相手三人はここまで走りきってきた三人。スピードは十二分。正面からの戦いは避け、
 もう一機の射撃型と共同を重視し、防衛に専念。深追い、無理な撃破は不可。以上よ」
 無人機に指示を出す。それを受け取った無人機もその指示をデータベースに書き換えて、それ以外の行動を抑制。
「さて、どこまで私の指示に従ってくれるのかしら」
 オペレーターとして、無人機の行動に期待しつつ敵の位置把握は忘れないリカイン。
「ったく、まったく予感的中よ」
「予感って?」
「確かにこのB地点はその狭さから機動兵器の巨体が邪魔になり、あちら側の不利に見える。
 けれどそれはこちらも同じ。狭い分、こっちだって行動に抑制はかかるわ。
 だからこそ、地形を理解し各タイプ、配置地点を工夫すれば不利な状況はカバーできる」
「そうなった場合、条件は互角か、むしろ地形を把握し切れていない私たちが不利になる可能性もある、ってことね」
「だけど今更、もうそれは重要なことじゃない。一番重要なのは、こいつらを如何するかってこと」
『悠長に相談を待つほど、自分は気が長くないんですよ』
 考える間も与えず、ライフルによる攻撃を開始するヴィゼント。それに合わせて先ほどの指示通り、ヴィゼントを援護する無人機。
「攻撃を開始したから同時に攻撃、ね。悪くないけれど一番ベストなのはヴィーが襲われた際のフォローかしら」
 無人機の行動に加点しながらも、最善策を口にするリカイン。
『制限時間。残り三分です』
 開発部のオペレーターが無慈悲にも残り少ない制限時間を伝える。
「な、何とかしないと……俺はあの射撃型をどうにかっ」
「無闇に言っても押し戻されるだけよ」
「……せっかくここまできたのに、あの有人機と無人機にしてやられるなんて!」
「……無人機? 今、無人機って言った?」
「え、ああ、いや。単純にあっちの偵察型は喋らないから人が乗ってないのかなーって思って、ってそれどころじゃ」
「それよ!」
 窮地に立たされたセレンが閃く。
「レオナーズ、あの射撃型をどうにか引き付けて! セレアナも!」
「了解よ」
「や、やってみる!」
 レオナーズが『ギャザリングヘクス』で魔法攻撃力を増大、その状態から『サンダーブラスト』をヴィゼントの機体へ放つ。
「やはり電気できましたか。そう来ると思って対策は既に済んでいます」
 機体に乗り込む前に事前に『対電フィールド』を使い、電気への抵抗を高めていたのだ。
 しかし、増大した魔法攻撃力でのレオナーズの『サンダーブラスト』は『対電フィールド』を僅差で貫通。
 センサーの回路を数秒ショートさせることに成功。
「……これはまずいですね」
 センサーが切れ、敵の動きを追いきれなくなったヴィゼント。その隙に懐に潜り込んだのは、セレアナ。
「悪いけど落ちて頂くわ」
 超近距離から『サンダーブラスト』を間接部に使用。
 如何に『対電フィールド』を使っていようとも防ぐことは敵わず、全ての回路系統がショートさせるセレアナ。
「まったく、レオナーズが攻撃してる隙に懐に飛び込め、それをアイコンタクトだけで合図とは無茶振りも大概ね……でも、そういうギャンブルらしいのも嫌いじゃないわ」
「ナイスだよ!」
「ええ。……こっちは勝ったわ。そっちが負ければ全部御破算。そんなことにはならないわよね、セレン?」
 乗るか、反るかの大勝負の最後のルーレット。大当たりか、それとも台無しか。
「作戦変更。ターゲットを直進してきている一人に固定。弾を気にせずハンドガンを撃ち、
 なくなったらハドンガンも投擲。武器がなくともその身を使い相手の進行を阻止しなさい」
 状況を分析し残り制限時間を考えて、進行しているセレンの足を一度でも止めれば、
 この場を乗り切れると判断したリカインが作戦変更を指示。
「偵機がいなくなった以上、作戦変更は確実に行われる。だからこそ、私たちは望みを繋ぐことができる!」
 『情報錯乱』。敵のレーダーや通信網などを妨害して、情報伝達を攪乱する技術。
 当然妨害する。リカインが無人機に出した指示という通信、情報伝達を。
「……成る程、無人機ならではの隙をつかれたわね」
 作戦指示が届かぬままの無人機。そして起こる。判断がどっちつかずのままの静止。
「一気に、取る!」
 静止した無人機の横を全速力で駆け抜けるセレン。
 それを見た無人機も、作戦指示の伝達を一時停止してセレンを止めるために行動を再開。するも、時既に遅し。
「フラッグ……ゲットッ!」
 そこにいたのはフラッグを天に掲げたセレンの姿だった。
 激戦が繰り広げられたB地点、死力を出し合った戦場での結果。
 それはBフラッグを奪取するという契約者側の勝利で片がついたのだった。

『この実験に参加している各機、各員に告ぎます。Bフラッグ地点のフラッグが奪取され、全てのフラッグが取られました。
 よって、契約者側の勝利となります。各機、各員は戦闘を停止し、所定の位置に戻ってください』
 オペレーターの呼びかけにより各機、各員が一堂に会す。
「もう入っていいとは、どういうことなんだ?」
「実験は終わりました。本来なら支社へ入ることもできないのですが、
 現地まで来て頂いた山葉校長に申し訳がないということで入ることに許可を頂きました」
「成る程、それで実験の方は終わったのか?」
「はい。今し方終了致しました。契約者側の勝利です」
 山葉 涼司(やまは・りょうじ)の鋭い眼光にも物怖じけせず、強かに返答を返すオペレーター。
「本日はありがとうごいました。但し、本日の実験中に見聞きしたものの口外等はおやめください」
「了解した。……ところで、機動兵器の一台でももらうことはできないか?」
「申し訳ございません。まだ実験段階のため、品質に問題があることも想定した場合に差し上げることは致しかねます」
「はっはっは! 冗談だ、変なことを聞いて悪かった。こちらも校長として礼を言わせて欲しい。
 貴重な実験に参加させてもらい、大変参考になったと思う。ありがとう」
 オペレーターに頭を下げる涼司。
「そんな、恐れ多き言葉です」
「それでは失礼する。また機会があればよろしく頼む」
「是非にでも」
 そう言って、涼司と契約者たちは実験場を後にした。
「涼司くん、MNA社のことなんですけど……」
「ついでに私からもそれについて話があるわ」
「大した情報はありませんが、私からも」
 加夜、ルカルカ、リカインがそれぞれ収集してきた情報を涼司に報告しようとする。
 それを静止する涼司。
「それはありがたい。後で聞かせてもらおう。今は機動兵器に勝てたことを喜ぼう! みんな、よくやってくれた!
 我が蒼空学園だけではない、他校の諸君も素晴らしき働きだったかと思う!」
 戦い終えた皆に大声で賛辞を送る涼司。MNA社について肝心な部分はわからぬまま。
 だがしかし、機動兵器との実験は契約者たちの勝利で終わり、見事にMNA社の鼻っ柱をへし折ることに成功したことに違いはなかった。

担当マスターより

▼担当マスター

流月和人

▼マスターコメント

ご参加してくださった皆様、お疲れ様です。
今回はこのような胡散臭いシナリオに参加していただき感謝感激です。
ロボット物なのにイコン参加不可、申し訳ありません。
それでも自分が考えた機動兵器を巧みに扱うアクション書いて頂いたり、
またはその弱点をついて撃破する/フラッグを奪取するアクション書いて頂いたりと、
本当に勉強になることばかりです。
今回はこれで終わりとなりますが、もしかしたらMNA社からまた依頼があるかもしれません。
その時は今回同様、彼等のプライドを叩き折って頂きたいと存じます。
それでは次のシナリオでお会いできることを楽しみにしております。

流月 和人

▼マスター個別コメント