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ニルヴァーナ学園祭、はじめるよ!

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ニルヴァーナ学園祭、はじめるよ!

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1章 楽しくておいしい学園祭

「あっ、勝手にどこかいっちゃ駄目だよ!」
「おねーさん、あれなーにー?」
「タターあれってなんだろーねー?」
学園祭に遊びに来た五月葉 終夏(さつきば・おりが)はパートナーであるタタ・メイリーフ(たた・めいりーふ)チチ・メイリーフ(ちち・めいりーふ)にさっそく振り回されているようだ。
「二人とも、迷子になっちゃいけないから手繋ごうね!」
「「はーい」」
学園祭はまだ開始されたばかりだというのにものすごい人ごみで出展物もさまざまなようであった。
「準備期間はあれだけ短時間なのに……さすがたいむちゃんって所だね」
「おねーさん、あれなーに?」
タタは目を輝かせて終夏に質問していた。
タタの視線の先にはどうやらたこ焼きがあるようだ。
「あれはたこ焼きって言って、中にタコさんがはいっているんだよ」
「すごーくいいにおいだねー」
どうやらチチも興味を示したらしく、二人はねだるように終夏を見つめていた。
「うぅ……あんまり無駄使いはしたくないけど、そんな目で見られたら断れないよ……」
「「わーい」」
二人は終夏に買ってもらったたこ焼きを気に入ったらしく幸せそうにほおばっていた。
「チチ、おいしーねー」
「うん、おいしーねー」
「二人とも喜んでくれてよかったよ。……って、今度はどこいくの!?」
「あっちにひこーきみたいなのあったよー」
「タタについていくー」
「えと、さっきもらったパンフレットには……って、二人とも迷子になるから勝手に行っちゃ駄目だってばー!」
「おねーさん、はやくー!」
「おねーさん、いそいでー」
どうやら好奇心旺盛な子供のお母さんは大変な様である。


「それにしても、すごい盛り上がり方だな」
「さすが、世界中の人が集まっているって訳だね!」
こちらは二人仲良く学園祭を楽しみに来たローグ・キャスト(ろーぐ・きゃすと)フルーネ・キャスト(ふるーね・きゃすと)
「ニルヴァーナ創世学園には来たことなかったが……」
「うん、賑やかでいい所だよね!」
「皆の熱気がすごいな」
「さすが世界を巻き込んだお祭りって感じだよねっ!」
二人で何気ない会話をしていると目の前に怪しげな出店が現れた。
「ん? ……鉄板焼き?」
「うん、確かに鉄板焼きだけど……」
見た目はただの出店の様だ。
「あぁ、これは……」
「鉄板を焼いているね……」
しかし、その出店ではなんと鉄板を鉄板で焼いているのである。
「おっ、そこの兄ちゃん達! 1枚買っていくか?」
「いっ、いや遠慮しておく……。急いでいるんでな」
「その鉄板って焼いてどうする……ふごごっ!」
「しっ! 静かにしてろ、フルーネ」
聞いてはいけないことを聞こうとしたのでローグはすぐさまフルーネの口を押さえていた。
「そうか、今度はダチ連れてこいよ!」
「考えておく……。行くぞ、フルーネ」
「うっ、うん!」
二人は何やら危ない臭いがしたので早々にその場を去った。
「はぁはぁ……。おっどろいたぁ……。まさか何でもアリの出店だからといってあんなのがあるなんてね……」
「あぁ……いくらなんでもあれはまずいんじゃないのか?」
「まずいっていうか、誰が買うんだろうね……」
「……イコンとかか?」
「イコンはお買いものできないよ! ……できないよね?」
「俺に聞くなよ……」
「だよんねぇ。うーん……、売れてるのかな……」
「それは俺たちが知ってはいけない気がするんだが」
「奇遇だね、ボクもだよ……」
「……さてっ、それじゃあ学園祭を楽しむか」
「うっ、うん! そうだね! あっ、次は……」
こうして二人は気を取り直してワイワイ出店を回り、学園祭を楽しんでいった。


「……ふむふむ、なるほどつまりニルヴァーナの土地に合うのは」
「難しい事考えるのは今日は禁止ですー!」
何やら考え事をしているのか、ブツブツ言いながら歩いている男性は白砂 司(しらすな・つかさ)、そして司を引きずるように歩いているのは彼のパートナーのサクラコ・カーディ(さくらこ・かーでぃ)である。
「しかし、世界中から集められた知識が展示されているのはとても興味深いのだが……」
「考える事はいつでもできるです! ……って、あそこにいるのは優梨子さん?」
サクラコが指差した先には出店の準備をしている藤原 優梨子(ふじわら・ゆりこ)の姿があった。
「あら、司さんにサクラコさん。お二人も参加していらしたのですね」
「あぁ、藤原は出店をするのか?」
「えぇ、ちょっと人手が足りなくて開会式には遅れてしまいましたけどね」
「そういうことなら手伝って……」
そう言いかけた司の服の裾をサクラコは少し不機嫌な様子で掴んでいた。
「司君、今日は私と遊ぶんです……」
「ふふっ、こちらは大丈夫ですのでお二人は遊んできてくださいね」
「そ、そうか……なら俺たちは失礼する。出店、頑張ってくれ」
「ありがとうございます。お二人も学園祭を楽しんでくださいね」
そう告げると司達はまた出店の群れに向かって行った。
「……司君、約束やぶっちゃ駄目です」
「そうだな、今日は食べ歩きだったな。では、次はどこに行こうか」
「あっ、次は……!」
こうして二人の食べ歩き珍道中が始まるのであった。