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リアクション
3章 学園祭の舞台裏
「こっちの保守点検はこんなものかなー」
セットなどの保守点検をしているのは笠置 生駒(かさぎ・いこま)とジョージ・ピテクス(じょーじ・ぴてくす)である。
「おっ、おい君!チンパンジーなんて連れてきてなにを……」
「ウキー!!」
「あっ、こいつ作業員なんで気にしないでー」
「わしはちゃんと作業しているんじゃ」
通りすがりの人たちにはジョージがただのチンパンジーにしか見えないがしっかりと生駒の作業を手伝っているのである。
「それにしても、みんな楽しそうだね」
「そうじゃな、これからも楽しめるようにわしらがしっかりしないとじゃな」
「そうだね」
正直、裏方は目立たない地味な作業ばかりなのである。
二人? は裏方で作業しているとそこにたいむちゃんが訪れた。
「お疲れ様っ! それにしても、大変そうだねぇ……」
「セットの数が数だからね」
「うーん……二人もどこか行こうよ! せっかくの学園祭楽しまないと!」
あまり学園祭を楽しんでいないように見えたのか、たいむちゃんは二人に学園祭を楽しむよう提案したのである。
「でも、まだ点検しないといけないのが……」
生駒はたいむちゃんの提案に少し残念な顔をして答えた。
「ほれっ」
すると、ジョージが生駒から点検道具を取り上げていた。
「ならわしがやっておくんじゃ」
「そしたらジョージが遊びに行けないじゃ……」
「わしはこういう身なりじゃ。歩くだけで目立つんじゃ。それよりなにか旨いものでも買ってくればわしは満足するのぅ」
「ジョージ……ありがと。いってくるね!」
そういうとたいむちゃんと一緒にイベントブースに駆けて行った。
「ほっほっほ。土産が楽しみじゃ。若い者よ、せいぜい楽しむんじゃぞー」
「次のイベントはのど自慢大会です。……ふぅ」
学園祭本部で放送アナウンサーを担当しているのはリカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)。
「お疲れ様、リカイン」
「ありがとう。そっちは大丈夫?」
「こっちはとにかく迷子の放送が多いな」
同じく校内アナウンスを務めるのは斑目 カンナ(まだらめ・かんな)である。
「っと、そうだ。あんたのパートナーからさっき連絡きていたぞ」
「私?……ハナ、どうしたのかしら?」
ハナとかリカインのパートナーである童子 華花(どうじ・はな)の事である。
彼女は迷子になった子供達の世話を担当している。
「ちょっと迷子ルームいってくるわね」
「あぁ、わかった」
そう言ってリカインは別室にある迷子ルームに向かった。
「失礼します。ハナ、どうかしたの?」
「さっき迷子になってた子供の名前がわかったぜ」
「ありがとう、すぐ放送するわね」
「頼んだぜ。……って、また迷子の子が来たのか」
「すごい数の迷子ね……」
学園祭というイベントである。
ものすごい数の迷子が迷子ルームに集まっていた。
「まぁ、こういうイベントだからな」
しかし周りを見渡しても泣いている子供は一人もいないのである。
「……ハナも頑張っているのね」
「笑顔になるために遊びにきたんだ。どんな時でも笑顔でいて欲しいからな」
「……そうね。そろそろ私は戻るわ」
「あぁ、またなにかあったら連絡するな」
「分かったわ。頑張ってね」
リカインはパートナーに後を託し、放送ブースへと戻って行った。
放送ブースは迷子にイベントの宣伝、落し物の連絡など大忙しのようだ。
すると一人の男性が訪ねてきた。
「すっ、すみません! カレーを食べて倒れた人がいるんです……!」
「カレー食べて倒れた? ……まぁ、医学部教室に行こう、案内する。リカイン、しばらくこっちはまかせるぜ」
「わかったわ。そっちはよろしくね」
「了解っと。……それにしても食って倒れるカレーってどんな味なんだよ」
そういうと、カンナはパートナーがいる医学部教室へと向かった。
「失礼するぜ」
「あら、カンナ。どうしたの?」
医学部教室で休憩所を設置しているのは九条 ジェライザ・ローズ(くじょう・じぇらいざろーず)。
「倒れた奴が出てな。治療頼んだよ」
「了解。すぐに手当てするね。……そうだ、こっちにもいくつか放送用の機材運んでもらったから放送できるよ」
「そうか、ならあたしはこっちから放送するかね」
「この場所の宣伝、よろしくね」
「あぁ。……リカイン、あたしはこっちから放送するけど、大丈夫か?」
「大丈夫よ。お互い頑張りましょう」
「そうだな。……ふぅ、どうやら忙しくなりそうだな。」
カンナは設置された放送機材の前に座りさっそく校内アナウンスを始めた。
なぜか後ろでカレーを食べて倒れた人が続出していることに気がついたカンナは
「これ、学園祭のカレーには気をつけろ、とでも放送したほうがいいのか……?」
そう考えたが素直にプログラムに書かれている次のイベント内容を放送した。
「えー……次のイベントは乱取り大会だ。……なんだこれ」
「なんともまぁ、怪我人続出しそうなイベントだね……」
後ろではローズが溜息をついていた。
「がっ、頑張れ……」
裏で学園祭を支える人たちもどうやら大忙しな様である。
「っと……次のイベントブースでのイベントはシニフィアン・メイデンによる新曲ライブだぜ」
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