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学生たちの休日10

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学生たちの休日10
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    ★    ★    ★
 
「それにしても、カーリーは、晴れ着が似合ってるよね」
「そうかなあ」
 マリエッタ・シュヴァールに褒められて、なんだか、ちょっと心配になる水原ゆかりでした。国軍に属している以上、来年も無事に初詣ができるという保証はありません。そう考えると、ちょっと不安になってきて、おみくじを引きにやってきました。
「はい、おみくじと絵馬ですね、どうぞ」
 多比良幽那が、水原ゆかりとマリエッタ・シュヴァールにおみくじを渡しました。
『おおっと、多比良幽那、真面目にバイトをしている』
 すかさずキャロル著・不思議の国のアリスが実況します。少しウザいです。
「どうだった?」
「大吉。望みは叶うだろう……ですって」
「凄いじゃない。あたしは、ええっと……。小吉。願い事は絞るが吉……」
 水原ゆかりに聞かれて、マリエッタ・シュヴァールが答えました。ちょっと、さっきの願かけのことを思い出して引きつります。
「じゃあ、絵馬でお願いのだめ押ししてきましょう」
 そう言うと、水原ゆかりはマリエッタ・シュヴァールと一緒に絵馬を掛けに行きました。
「おみくじくださーい」
「はーい、どうぞですわ」
『おおっと、今度は織田帰蝶がおみくじを渡す。仕事しているぞ』
 おみくじを織田帰蝶から買う杜守柚を、キャロル著・不思議の国のアリスが実況します。
「大吉。待ち人来るですって」
「よかったじゃないか。僕は、中吉。隣人から福を分けられるだって。きっと、いいことがあるさ」
 杜守三月が言ったとき、杜守柚の携帯が鳴りだしました。
『おおっと、これはリア充宣言か。滅びろ!』
 またまたキャロル著・不思議の国のアリスが騒ぎます。
 聞こえないそぶりをしながらも、陰でノエル・ニムラヴスがうんうんとうなずきました。
「はいはい、キミはそのくらいにしようね」
 見かねた風馬弾が、キャロル著・不思議の国のアリスをつまんでいきました。
「あ、おみくじ売ってるよ。買って、買って」
 桐生理知が、辻永翔に甘えてねだりました。
「おみくじかあ」
 辻永翔が、一緒におみくじを引きます。
「まいどー」
 ちょっと気のない顔で、ノエル・ニムラヴスがおみくじを売りました。
「中吉。恋愛運、結婚運、共によしだって」
「う、同じだ」
 なぜか、まったく同じおみくじだったので、辻永翔がちょっと面食らいます。
「ふふふふふ。ふうっ〜」
 なぜか、陰でノエル・ニムラヴスが変な苦笑とも溜め息ともつかない声をあげました。
「お揃いだね。翔くん、今年もよろしくね」
 そう言うと、桐生理知は辻永翔と一緒におみくじを結びに行きました。
「わーい、おみくじだ」
 札所の前を通りかかった雲入弥狐が、みんながおみくじを買っていくのを見て奥山沙夢にねだりました。
「買ってみる?」
「うん」
 思いっきりうなずきます。
「おみくじ三つください」
 奥山沙夢が、アッシュ・フラクシナスに言いました。
「……」
「あのー、おみくじ」
「あっ、はいなのだ」
 多比良幽那に見とれていたアッシュ・フラクシナスが、あわてておみくじを売ります。
「吉でした。良縁ありですって」
「あたしは大吉だったよ。美味しいものありだって。わーい」
 喜ぶ奥山沙夢と雲入弥狐とは対照的に、西村鈴はちょっと真面目な顔をしています。
「凶だ。内から清めてはいけない……。どういう意味だろう。まあ、凶というのは、今が最低で、これから上向くという意味でもあるからね」
 だから気にはならないと、西村鈴が言いました。
「他にもいろいろ売ってるみたいだね」
 札所にならんでいる絵馬や破魔矢を見て、西村鈴が言いました。
「あっ、御神酒も買っておきましょう」
 そう言うと、奥山沙夢が風馬弾から御神酒を買いました。
「重たいだろう。私が持つよ」
 一升瓶を風馬弾から西村鈴が受け取ります。後で一杯やりたいものです。
「さて、寒いからそろそろ戻ろうよ」
「何か飲みたーい」
 雲入弥狐が、喉が渇いたと主張します。
「じゃあ、さっきあったお茶屋さんで甘酒でも飲みましょう」
 そう言って、奥山沙夢が歩き出しました。
「それはいい。身体の中から暖まりそうだ」
 言いお清めになると、西村鈴が軽く唇をなめました。
 絵馬を掛ける場所の横を通りすぎると、ソア・ウェンボリスたちと水原ゆかりたちが、かきあげた絵馬を掛けていました。
「そういえば、以前喧嘩神輿に出たとき、白熊神輿を奉納したよな。あれって今、どうなってるんだ?」
 ちょっと唐突に思い出して、雪国ベアが訊ねました。
「さあ、確かめに行くか?」
「もちろん」
 緋桜ケイの言葉に、雪国ベアがうなずきます。
 探してみると、ちゃんと奉納神輿は今も残っていました。
 曳き山笠は、褌姿の桜井 静香(さくらい・しずか)の山車が、未だに記念撮影スポットとして人だかりができています。
 肝心の白熊神輿ですが、本来あったはずの白熊の人形は、喧嘩神輿のときにミサイルとして発射されてしまったので残っていません。台座として神輿の上に発射台となっていた魔女の大釜が載っているだけです。そこには、なぜか子供たちが大勢列を作って順番待ちしていました。
「列ができていますよ!?」
 なんでという顔で、ソア・ウェンボリスが首をかしげました。
 様子を見守っていると、釜の中に入り込んだ子供が、次の瞬間ポーンと撃ち出されて、少し離れた所にある砂場に着地しました。
 いつの間にか、ポーンと人間を発射するアトラクションになっていたようです。
「こりゃ、今年もぶっ飛んだ年になりそうだ……」
 雪国ベアはそうつぶやかずにはいられませんでした。
 

担当マスターより

▼担当マスター

篠崎砂美

▼マスターコメント

 
 お待たせしました。
 なんとか小正月までには間にあいましたか。
 結構なボリュームになってしまいました。
 相変わらず波瀾万丈で面白かったです。
 
 キャラ名の訂正他、一部訂正を行いました。