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【第三話】始動! 迅竜

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【第三話】始動! 迅竜

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 同日 某所 エッシェンバッハ派 秘密格納庫

「前回は工場破壊は出来たけど、あなたたちの真の狙いは何? そろそろ教えてもらえたりしないかしら。前みたいに工場を壊す事を達成目的にすると方法論的に狙いが外れる可能性があるから」
 エッシェンバッハ派の秘密格納庫で、天貴 彩羽(あまむち・あやは)はスミスに問いかけた。
 スミスが答えるよりも前に、彩羽は付け加えていく。
「オーバーテクノロジーのイコンで武力を見せ付けるような行動。それにシャンバラ側に相対する為に現れたような高スペック機。『偽りの大敵事件』がきっかけとして、シャンバラ上層部を糾弾に替わりに彼らが封殺した技術アピールのテロ?」
 するとスミスは事も無げに答える。
「真の狙いも何も、私たちエッシェンバッハ派の目的は九校連というテロ集団への攻撃および打倒ですよ。何でまた急に?」
「ふうん。まあいいわ。他にも聞きたい事があるのよ」
「どうぞ、何なりと。私でお答えできることなら、お答えしますので」
 微笑を浮かべ、彩羽は再び問いかける。
「それにしてもあの技術はオーバーテクノロジーよね。未来というとグランツ教? と考えてるけど、まだ結論に繋がらないわ。まぁ、そろそろ話して貰えないかしらね?」
 するとスミスは困ったような顔で肩をすくめた。
「申し訳ございません、彩羽さん。それに関しましては我が主より許可を得なければお話できかねます。どうぞ平にご容赦を」
 そして、低頭するスミス。
「なら、構わないわ」
 特に気にした風もなく、彩羽は言う。
「あとは敵側に漏らしても良い情報を教えてもらえないかしら? 何かを思い知らせるなら手がかりが相手に必要な感じだから」
 彩羽の問いに対し、スミスはしばし考え込む。
「では、九校連には既に破棄したダミー拠点の情報でも掴ませておきましょう。その情報でよろしいかと」
 スミスからの言葉に頷くと、彩羽は人差し指を一本立てた。
「もう一つ、いいかしら?」
「何なりと」
「この前の、あなたからの問い――覚えてるかしら?」
 彩羽が問うと、スミスは頷いてみせる。
「勿論でございます。彩羽さんの専用機を建造するとしたら、でございますね? そのご様子ですと、既にお答えは決まったようで」
 彩羽は大きく頷いた。
「ええ――『電子戦特化機』よ。敵の撃破が狙いではないから、敵の妨害を行う機体を希望するわ。レーダージャミングや戦術連携情報ハッキングでの戦術妨害などをする機体の方が私向きね」
「なるほど」
 頷いて相槌を打つスミスに向けて語り、彩羽は最後にこう付け加えた。
「後は……迅竜なんていうとんでもないものを向こうは出して来たから、対迅竜でハッキングかけたりFCS無効化したり出来ると嬉しいかも」
「承知致しました」
 彩羽からの答えを聞き終え、スミスは深々と低頭した。