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ダイビング! ウイルスハンターズ

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ダイビング! ウイルスハンターズ

リアクション


雷龍の紋章・出陣

 ダイビング装置から現れるマーガレット。

「んー論理的には大丈夫なハズだったけど……やっぱり、不具合が起きたのかな?」
「CPU使用率も高いのが、気になる所だな。私はその周辺の処理関係を調べてみよう」
「オーバーフローのままにしとくのもなんだな。……しばらくの間ならルカとリトの二人でも出来るだろう?」
「もちろん!」
「手早く処置してしまう。大抵の事はそっちに任せる」

 アクリトは処理関係の方を調べ、ダリルは並行作業していた一部を止めて戻って来たマーガレットの治療に取りかかる。
 機晶技術を活かし、手早く応急処置を施していくダリル。

―――ウイルスケンキョ。ウイルスケンキョ。タダチニダイバーヲムカワセヨ。クリカエス、ウイルスケンキョ。タダチニダイバーヲムカワセヨ。

「さっそくお出ましだね! 今近くにいるのは……」
「ルカルカちゃん、トマスくんたちの部隊がいいんじゃない?」

 リトが示す場所にはトマス・ファーニナル(とます・ふぁーになる)と、カル・カルカー(かる・かるかー)の二部隊で構成されている『雷龍の紋章』の部隊が画面上を移動している。

「そうだね。今のところ戦闘中じゃないみたいだし、彼らにやってもらおっか」

 ルカルカはトマスたちにシステムが発見したウイルスを撃退するよう指示を出し、彼らを飛ばしていくのだった。



◇          ◇          ◇




 ルカルカに転送されてきたトマス部隊の魯粛 子敬(ろしゅく・しけい)テノーリオ・メイベア(てのーりお・めいべあ)ミカエラ・ウォーレンシュタット(みかえら・うぉーれんしゅたっと)と、カル部隊のジョン・オーク(じょん・おーく)ドリル・ホール(どりる・ほーる)夏侯 惇(かこう・とん)の少し離れた場所では、セキュリティーホールから芋虫が湧き出ていた。

「ルカルカさん、では先ほどのお願いした手筈でお願いしますね」
『おっけー! 任せといて』
「じゃ、まずはそれぞれの配置についてだが……」

 ジョンはルカルカに頼んで敵・味方の配置状況やデジタル空間内での地形情報などを、ダリル特性パッチが付いた籠手型HCに送信してもらうようにしてもらった後、トマスとカルでメンバーの配置や戦法などを練っていく。

「……手早く仕留めるにはそれが一番か。よし、カルカー少尉の作戦でいくぞ」
「では、散!」

 カル提案の1対多人数でさらに、自分の部隊とトマスの部隊が挟み打ちで戦えるよう、ジョンはルカルカから供与される整理し咀嚼し、
自分達が戦うのに適する様、指示を出していくとともにサイコキネシスでウイルスの動きを封じたり、味方が攻撃し易くなるような体勢を整える。

「元譲さん、その角の先にどうやら敵・ウィルス!」
「そこに直れ! この夏侯惇元譲が、成敗してくれるわ!」

 惇はジョンによって動きが鈍くなった芋虫に向かってバトルアックスの轟雷閃で攻撃をしかけていく。

「てめーらぶっとばしてギッタギタにしてやらぁーな!」

 最前線に立つ惇が動きやすいよう位置を伝えるジョンに対し、ドリルは後衛寄りの中衛に位置する場所でレバーアクションライフルでウィルスを牽制しながら分断させていった。

「援護射撃なら任せろ、夏侯のダンナ!」
「そもそもの世界たるデジタル空間を壊してしまわぬように、加減するのだぞ! 加減せねば、それがし等が逆にウィルスと同じになってしまうからのぉ!!」

 動きの鈍い芋虫を倒しながら、惇はドリルが分断させた少数の方を更に攻撃していき、カルの作戦通り多数対一として確実に仕留めていく。
 惇にだけ芋虫退治を任せるなどはせず、ドリルは隙を見て分断した芋虫に向けてサイコキネシスで弾道を不自然に曲げ、仕留めていった。

「カルカー少尉、ワクチンプログラムが出来あがるまでの辛抱だ! 物陰に隠れている敵を一匹たりとも逃すな!!」
「はい!」

 トマスの指示を受けカルは、辺りに見える芋虫は惇とドリルを中心に退治させていくようにし、自分は対極に位置するトマスと共に光条兵器の弓で障害物を通り抜けて芋虫を射抜討ち取っていく。

「増殖を防げ!」

 トマスはジョンと同様にダリル特性パッチが付いた銃型HCで情報整理をして全体に指示を出す。
 指示を出しながら、カルと連携して真空波で芋虫形のウイルスを倒していく。

「いっくぜー!覚悟しやがやれーーー!!」

 テノーリオがグレネードランチャーで擲弾を発射していく。
 中にはそれを避け突出してくる芋虫もいたが、クロスファイアで止めを指され、消滅していった。

「後衛! そっちに『仕事』なんかまわさないわよ!」

 テノーリオがグレネードランチャーで敵の出鼻をくじいた先に、ミカエラはウイングソードで切りこみ、斬り伏せて行く。
 大まかなところは乱撃ソニックブレードで、当たるを幸い、敵を打ち払って行く。

 そんな彼らを援護するように子敬は、諸葛弩でライトブリンガーを駆使しながらトマスの傍で適宜援護していった。


………………
     ………………
          ………………


『みんな、ワクチンプログラム完成しよ! データ容量を考えてジョンとトマスに添付させたから、二人でセキュリティーホールを消してね』

 次から次へと溢れ出てくる芋虫に雷龍の紋章たちにも疲れが浮かんで来た頃、マーガレットの治療を終えたダリルがワクチンプログラムの構築に成功したことをルカルカが伝えてきた。

「これであの穴から芋虫が湧き出る事がなくなるのか。よし、急いで穴を埋めよう」
「その間、僕たちは残っているウイルスを駆除しておくよ」
「ちょっと待った」

 カルが率先して残った芋虫ウイルスを始末しようとしたところ、テノーリオの制止がかかる。

「どうしたテノーリオ?」
「ここに残ったウイルス、何処からきたのか調べらんないか?」
「だが、この芋虫に口は無いぞ」
「た、確かに……」
『なら、俺が仮想空間で調べよう』

 テノーリオの案にもっともな事を言うトマスだが、会話を聞いていたダリルが名乗り出て一匹の芋虫ウイルスをどこかへ飛ばしていった。

『サンプルは手に入れた。残りは駆除してかまわん』

 ダリルにそう言われ、ルカルカによって添付されたワクチンプログラムを起動させるジョンとトマス以外は芋虫駆除に取りかかる。

「これで、よし、と」

 ワクチンプログラムが起動すると、セキュリティーホールは徐々に埋まっていった。