First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
Next Last
リアクション
「……なるほど、どうやら各人の頑張りのようで巨人の進行は阻止できているようだな。アニス」
「はいはーい、私の【ディテクトエビル】には反応なーし!」
巨人が見える位置にいるも戦闘には参加せず、情報統括を行う佐野 和輝(さの・かずき)とアニス・パラス(あにす・ぱらす)。
「まったく、厄日だな。思惑が仇となるとは」
「それなら手、ぶらんぶらーんで帰る?」
「今さらだな、此処で引けばそれこそ厄だけで終わる。少々手がかかってもやるしかないだろう」
「りょーかーい! でもあの人たちが頑張ってるおかげでここまでモンスターがこなくて暇ひまー」
「楽でいい。……調査、追跡班に連絡。足止め班の活躍により巨人は進行不能。今のうちに調査班は彼らの情報、追跡班は野盗共を見つけてくれ」
淡々と連絡係りに努める。事情があるようだが、それが何かはわかりそうにない。
「巨人の進行は阻止してるらしい。今のうちに二人の情報を何としても見つけ出そう」
意気込むのはアゾート・ワルプルギス(あぞーと・わるぷるぎす)。
彼女は騎士と魔女の像があったとされる古城へと来ていた。
「古城、の割には風化や劣化が少ない。これもアトラスの影響?」
やけに綺麗なままの城内。今まで誰も立ち入ることがなかった様子。
「本当に綺麗ね。リフォームしたらそのまま使えるんじゃないかしら?」
「さすがにそれは無理だよ……」
アゾートに着いてきた風馬 弾(ふうま・だん)、エイカ・ハーヴェル(えいか・はーゔぇる)も城内の綺麗さに驚きの声を上げる。
「でも、こんなに綺麗でもあの二人はずっと……」
「そうね。報われないわね」
「だから、報われるためにボクたちが頑張るんだ」
無口ながらも言葉の端々に二人を助けると強い意志を込めるアゾート。
その横顔は凛としていて、可愛らしかった。
「アゾートさん……」
「ほらほら、今が男を見せるチャンスよ? 見とれてるだけじゃ意味ないんだから」
「え、あ、いやいや! そーいうのでここに来たわけじゃないし」
「何割かくらいはあるでしょ?」
「うう……でも僕だって本当に、あの二人を助けたいんだ」
「わかってるわ。だからあの二人も助けて、あなたも頑張るの。一石二鳥よ」
ひそひそと話し始める弾とエイカ。
「どうかした?」
「い、いやなんでも! なんでもないよ!」
それを不思議がったアゾートに声を掛けられ声をうわずらせながら返事をする弾。
「あらあら、かわゆいわねー」
「エ、エイカ!」
「ごめんあそばせー」
「しっ……。モンスター、近いよ」
アゾートの注意の通り、三人の近くからモンスターの唸り声が聞こえてくる。
三人なら戦って勝つこと自体はわけない。しかし、もしここにある手がかりがその戦闘で消失してしまったら。
それを考えれば必然、静かにするほかなく、三人は姿勢を低くして息を殺した。
程なくしてモンスターの声が遠ざかる。
「ふう……あれ、なんだろこれ」
弾がしゃがんだ場所にあったもの、それは古錆た剣。
「ん、刃の根元の部分に何か……テ……ヴラ?」
「それ、騎士の剣だったりして?」
「可能性はある」
「でもこれじゃ本当の名前がわからないよ」
傷ついた剣に彫られた文字を読むことはできなかった。
ましてやこの剣が本当に騎士のものなのか、それすらもわからない。
三人は更なる手がかりを模索する。
First Previous |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
Next Last