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リアクション
エドワード・ウォーターバーン(えどわーど・うぉーたーばーん) フランシス・ウォルシンガム(ふらんしす・うぉるしんがむ) ローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる) グロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダー(ぐろりあーならいざ・ぶーりんてゅーだー)
エドワード・ウォーターバーンとフランシス・ウォルシンガムが部屋入るのとほぼ同時に、執事がほぼ駆け足なみの歩調で待合室へ戻ってきた。
「おや。メイドはしばらくお待ちくださいと言って、この部屋へ案内してくれたが、執事が来たのか。
迅速な行動だな。
素晴らしい」
派手な足音をたててきたことへの皮肉をこめて、エドワードは1人で拍手をして、執事をたたえた。
むろん、彼は、ローザマリアと執事のさきほどのやりとりを知らない。
「みなさま、大変お待たせいたしました」
「いやいや、私はまったく待たされていないよ。ああ。まだ、名乗ってなかったね。
私は、エドワード・ウォーターバーンでこっちのオールバックの紳士は、私の相方で」
自分と同じくカジュアルな感じのスーツを着たフランシスを執事に紹介しようと、エドワードはフランシスのほうへ手をのばす。
しかし、とうのフランシスの視線は、エドワードでも執事でもなく、ソファに深く腰かけてこちらを眺めている、頭に王冠をのせた少女にむけられていた。
「陛下。マイロード。お久しぶりでございます。
陛下の側近、フランシス・ウォルシンガムでございます。
私にできることがあれば、なんなりとお申しつけを」
フランシスは、王冠の少女、ライザのもとへゆき、彼女の前に膝まづいて、手の甲に口づけをした。
まるで中世の騎士のように。
「苦しゅうない。フランシス。妾もそなたを忘れてはおらぬぞ」
「おい」
わけがわからずあきれているエドワードが、フランシスの肩にふれると、彼はライザのほうをむいたまま、すまない、とつぶやいた。
「こちらにおられるのは、英国女王エリザベス?世陛下だ。
どのような境遇にあっても、私はこの人のために働かなければならない」
「うむ」
ライザは鷹揚に首を振る。
いきなり、なにを言ってるんだ。おまえは。
それにこの少女は誰だ。
が、エドワードが抗議をするまえに、今度はローザマリアが執事に、
「こちらの紳士は私と同じゴーストハンターさん。
しゃがんでいるのは、彼の獲物のゴーストでかってのエリザの部下よ。
私たちみんな、いつまでもここにいても仕方ないでしょ。
さ、執事さん。
割り当てられた部屋なり、アンベール男爵のところへ連れていってくださいな」
私がゴーストハンターだと?
釈然とせず、ローザマリアを眺めたエドワードに、彼女は軽くウインクしてみせた。
「はい。英霊の皆様には特別にお部屋をご用意させていただきました。
まず、はそちらを案内いたしますので、ハンターの方々は、もうしばらくここでお待ちいただけませんでしょうか」
「私はかまわ
「私たち、ハンターの2人は館の中を探索させてもらっていいかな。
実は館に入ってからすごく感じるんだ。
いまは真夜中、ゴーストの活動が活発になる時間帯でもあるし。
どうだろう。30分後、私たちはまたここへ戻ってくるから、それまで今後の調査の下調べをさせて欲しい」
この女の魂胆はなんだ。
発言をさえぎられエドワードは、それでも、ここは一応、様子をみようとあえてローザマリアに反論せずに執事の返事を待った。
「かしこまりました。
今夜の当館には、ゲストの方にみられて困る場所などどこにもございません。
ここがアンベール男爵様のお屋敷であるということだけは忘れずに、常識を持って行動していただければ、けっこうでございます。
それでは、お2人は30分後にお迎えに参りますね。
もし、万が一、館内でお迷いになられたなら、屋敷のそこかしこにいる、下男、下女になんなりとお尋ね、お申し付けくださいませ。
彼らはお客様のご要望に必ずおこたえできることと思います」
「ありがとう。お心遣いに感謝するよ」
ローザマリアは執事に会釈すると、エドワードの手を握った。
「ハンター同士、仲良く行こうじゃない」
「どこへ、だ」
「幽霊探しでいいんじゃない。ここなら、いてもおかしくない気がするし」
私は幽霊退治などできんぞ。
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