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第8章 名残時7





一方馬場では、のるんが小さい馬に乗りながら駈歩をこなしていた。
そんな様子を優しく見守るヴォルフラムと小花。


「のるん様……乗れるようになって良かったです」
「元々覚えは良いみたいですね。 教えた身としても驚かされますよ」


今ではのるんはランダムと仲良く話し笑いあっていた。
怒られたことで大切なことに気づけたのるん。
そんな彼女の笑顔は眩しいほどだった。


「本当に、のるん様がお世話になりました」
「いえいえ。 あっ、これ参考書です」
「……金のフォーク?」
「馬をはじめとした動物の気持ちや、自然の美しさが分かる漫画です。
 彼女はもう七軒君よりも上手ですけど、宜しければお読みください」


ヴォルフラムは小花に優しく微笑みかける。


「≪ヴォルフラム様………優しくて素敵なお方なのですね…≫」


のるんやダニーたちがはしゃぎまわる音が、小花にはずっと遠くに聞こえていた。





               ◇ ◇ ◇





「それにしてもウェルチ、僕達なんで今日は女装だったの?」
「ランディが用意してくれたんだ。
 たまには普段の性別に戻ってみるのもいいんじゃないか、ってね」


そして来ていた服を脱ぎ、いつもの制服に戻るウェルチ。


「女の格好をすることが大事なんじゃなくて、
 今のまま、僕は僕らしくれば良いそう思えたよ」


「そっか……」


戻れる日が来れば、それは戻るべきだろう。
だが、今戻れるという見込みはない。
ウェルチの様に今の自分の状況を受け入れるべきではないだろうか?


ウェルチと過ごした一日は、クリスティーにとって大切な一日となった。