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お化けの少女と肝試し

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お化けの少女と肝試し

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■プロローグ

『皆さん、本当にありがとうございます……』
 ぼそぼそと消え入りそうな声でお化けの少女は契約者達に頭を下げていた。
 荒れ放題の髪の毛と服装から表情は読み取りづらいものの、その目には涙があふれ出していた。
「あー、あー。 気にするなですぅ、だからしっかり楽しんでくれですぅ」
 そんな少女を見て、心配そうに駆け寄ったエリザベートはゆっくりと手をさし延ばす。
 エリザベートの行動を見た少女は、ごわごわで腕を包み込んでいたローブのような服から、腕を出した。
 ―――筋骨隆々の剛腕を。
「はあっ!?」
 エリザベートは目の前に突き出された、蒼空学園の学長を思わせるその腕を見て戦慄する。
「ちょ、ちょっと待つですぅ!? そんなのきいてないですぅ!!」
 制止も聞かず、腕を伸ばす少女。
 メキメキと音を立てながら彼女の体は豹変し、全身の筋肉という筋肉が盛り上がりだす。
 気が付けば纏っていた服ははち切れ、その場には大男が美しい筋肉を見せつけるように立ち尽くしていた。
『こんな私を……楽しませてください』
「う、うひああああっ!?」
 上がるエリザベートの絶叫。
 そして、魔王エリザベートの笑い声。
『ひ、ひひひひっ、上手くいったですぅ!!』
 腹を抱え笑い転げる魔王のホログラムがそこにはあった。
 筋骨隆々の男の姿などどこにもない。
「……今すぐこのデータチップをヒュドラに食わせてやるですぅ」
『な、何するですぅ!!』
 今度は逆に魔王が悲鳴を上げ出すが、魔王自身にアーデルハイトからの通信が入ったようで、2人はその場に制止する。
『お、生徒達をうまく誘導したみたいですぅ』
「じゃあ、早速……」
 あたりを見回すが、お化けの少女の姿は見当たらない。
『あの2人と一緒に行っちまったですぅ』
 ああ、とエリザベートはその場からいなくなっている、際どい格好をした2人を思い出す。
「正直、何もしなくてもビビると思うですぅ」
 突然、あられもない姿の女性が出てくれば驚くものだ、と思いつつもエリザベートは今回の事態が無事に収束することを祈っていた。