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地球に帰らせていただきますっ! ~2~

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地球に帰らせていただきますっ! ~2~
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リアクション

 
 
 
 頼みと承諾
 
 
 
 久しぶりに白羽 凪(しろばね・なぎ)の父に会ってみようかと、地球に帰ってきた夜月 鴉(やづき・からす)だったが。
「……ここ」
「…………」
 凪が足を止めたところに建つ豪邸に思わず絶句した。
 鴉は凪とは幼馴染みだったけれど、こんな豪邸には住んでいなかったはず。いつの間にこんなことになったのだろうと驚いていると、凪が恥ずかしそうに説明した。
「……あの……父さんが傭兵をしてた時に……仲良くなった人がいて……その人が援助してくれたから……」
「それでこうなったのか」
 納得しつつも、これだけの援助を受けるほどに繋がりを深めた相手がいる、ということに素直に感心した。
「……ただいま……」
 凪が玄関に入って声をかけると、すぐに奥から凪の父、白羽 仁が大股に現れた。今は傭兵の仕事はしていないはずだが、鍛えられた身のこなしはそのままだ。
「凪、お帰り。鴉君もよく来たな。さあ、上がってくれ」
 心から喜んでいる様子で、仁は2人を家の中へといざなった。
 
 
「夕飯は俺が作るから、凪は小父さんとゆっくりしていろ」
 久しぶりに会うのだから積もる話もあるだろうと、鴉は夕食作りを引き受けた。
「……ありがとう……」
 鴉の好意に甘えることにして、凪は仁と積もる話に花を咲かせた。
 凪が強化人間としてパラミタに渡ったのは、鴉よりも先のことだ。その後、鴉が契約者としてパラミタに来ていることを知り、契約を交わしたのだ。
 凪の話すパラミタでの出来事を聞き、仁はしみじみと言った。
「幼馴染みがパラミタで会うとはな。これも縁というものなんだろう」
「……縁……そうかも知れません……」
 凪と契約し、他のパートナーとも知り合った。
 パラミタの情勢は予断を許さないが、そこで得られるものは大きいだろう。
「飯、出来たぞ」
 鴉がそう言って呼ぶまで、父娘は離れていた間の時間を埋めるように話をしたのだった。
 
 
 鴉が作った夕食を食べた後、仁は今度は鴉にパラミタでのことを尋ねた。
 パートナーである凪と同じ体験をしても、見方が違えば話も変わる。それを仁は相づちを差し挟みながら面白そうに聞いていた。
 そして最後に、仁は真剣な表情で鴉と向き合った。
「鴉君に頼みたいことがある」
「……何だ?」
「もし凪が暴走することがあったら、その時は鴉君に任せたい」
「暴走、か……」
 強化人間は精神的に不安定になりやすい上、凪は戦闘に入ると残忍で冷酷な人格が出ることがある。凪に限って、と思いたいところだが、そう言い切れないのが辛いところだ。
 地球で暮らす仁が凪のことを任せられるのは、鴉しかいない。
「分かった。任せてくれ」
「ありがとう。その時はよろしく頼む」
 鴉が承諾すると、仁はほっと肩の荷を下ろしたように息をついたのだった。