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アーリー・サマー・ニルヴァーナ

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アーリー・サマー・ニルヴァーナ

リアクション

2)


先日、アゾート・ワルプルギス(あぞーと・わるぷるぎす)に告白した、
風馬 弾(ふうま・だん)だったが、
パートナーのノエル・ニムラヴス(のえる・にむらゔす)は、
その結果を知らない。

実際には、アゾートの返事を待っている状況だが、
そういう事情を知らないノエルは、
弾がふられたと決めつけて、

「壊れてしまった友情は、お役に立つことで、早めに修復しておいた方が良いです」

と、3人でのお出かけとなったのであった。

水上の町アイールで、
弾は、女の子たちの買い物の荷物持ちなどをして、
お世話をする。

(アイールは中世ヨーロッパの街並みということで、
お買い物や観光など、
スイス出身のアゾートさんに喜んで頂けるのではないでしょうか)
という、ノエルの予想通り、アゾートは生き生きと楽しんでいる。

一方、先日の告白の件もあり、
弾は恥ずかしくて、まともにアゾートの顔を見れない。

「今日はあまり元気がないね。どうしたの?」
気づくと、アゾートが、荷物番をしていた弾の顔を覗き込んでいた。
突然のことに、
弾はパニックになる。

「ななななななな、なんでもないよっ!」

慌てた弾は、足元を踏み外し、運河に思いっきり落ちてしまう。
盛大に水しぶきが上がった。

「だ、大丈夫!?」
「突き落とそうと思ってたら、自分から落ちましたね」
アゾートとノエルに口々に言われ、弾は苦笑を浮かべる。
「あはははは……」

びしょ濡れにはなったものの、照れているのが隠せたと、
内心ほっとする弾だったが。

「風邪をひいてしまうよ。服を脱いで」
アゾートが、タオルを持って、弾の服を脱がそうとする。
「えっ、あっ、じ、自分で脱ぐよ!」
慌てて服を脱ぐ弾は、
髪や上半身を、アゾートにタオルで拭いてもらいつつ、
さっきよりもさらに真っ赤になった。

「顔が赤いけど、熱があるのかな?」
アゾートが、熱を測ろうと、弾の額にふれる。
アゾートの手は、ひんやりと冷たい。
「だだだだだだ、大丈夫!」
慌てて、弾は顔を背けた。
「そう?
でも、初夏とはいえ、ちゃんと乾かさないとね」
アゾートが、弾の髪をタオルで拭きながら言った。

(う、うわあああああ、
アゾートさんがこんなに近くに……)
弾は、自分のドキドキにアゾートが気づいたらどうしようと気が気ではなかったが、
アゾートは、あまり意識していない様子だった。

「青春ですね」
ノエルは、にやにや笑いながら、
2人の様子を見守るのであった。