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アーリー・サマー・ニルヴァーナ

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アーリー・サマー・ニルヴァーナ

リアクション

5)


創世学園を、金 鋭峰(じん・るいふぉん)に視察してもらおうと、
ルカルカ・ルー(るかるか・るー)は、
山葉 涼司(やまは・りょうじ)に頼んで、案内をしてもらうことにした。

「涼司、車いす生活も退屈になってきたところよね?
というわけで、どう?
金団長や長曽禰中佐に創世学園を案内してほしいなって」
「ああ、かまわないぞ。
もっとも、俺も普段通りってわけにはいかないが……」
そう答える山葉に、
ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)進み出る。

ダリルは、医師として、
山葉の身体を軽く診る。
「やはり、まだ厳しいか? いや……」
潜在解放を使い、ダリルは、山葉にホーリーブレスをかける。
しかし、やはり、すぐに、車いすの状態からの完治には至らない。

やはり、通常の怪我だけでなく、
パートナーロストの影響は大きいのだと、
一同は実感した。

「父が……すまない」
ダリルは、ゲルバッキーに生み出された存在であることから、
山葉の負傷のことを気にかけていた。
「気にするな」
しかし、山葉は、首を振り、ダリルに笑いかける。
「ありがとう。でも、だいぶ楽になったぜ。
今日は、世話になると思うが、よろしくな!」

「うん、そうね! 任せといて!」
明るく言う山葉に、ルカルカも気持ちを切り替える。
「今日は楽しく過ごしましょう!」



そして、団長と、
長曽禰 広明(ながそね・ひろあき)
そして、月摘 怜奈(るとう・れな)が合流する。

怜奈は、
長曽禰を誘って、
パワードスーツやイコンの研究施設などを中心に案内する。

PS武器工場や、
創世学園都市イコンパーツ研究所など、
創世学園都市には最先端の技術を研究・開発する施設がある。

「なるほど、興味深いな」
団長も、こうした場所を視察できる貴重な機会を満喫しているようだった。
ルカルカと山葉がこっそりピースサインを送りあう。

「改めて見ると感慨深いな」
「そう言っていただけてありがたいです」
長曽禰も、楽しそうにしているのを見て、
怜奈も、うれしく思うのだった。



ルカルカは、山葉に、
「団長に涼司のお勧めの場所とメニューのお昼をお願いん」
と頼んであった。
「おう、任せとけ!」
と、請け負った山葉に案内されたのは、フードコートであった。

「やっぱ、学生は学食だよな!」
山葉が自信たっぷりに言うので、
ルカルカも、まあいいか、と思うことにする。

「こうして並ぶのか。興味深いな」
「学食か。懐かしいな」

団長と長曽禰も喜んでくれていた。

「団長、お箸はこっちです。
あ、お茶もどうぞ」
「ああ、すまない」
「長曽禰さんも、お茶をどうぞ」
「ありがとうな、月摘」
ルカルカと怜奈は、
団長と長曽禰のお世話をする。



その後は、植物園に行き、
ゆっくりときれいな空気を楽しむ一行だが。

ルカルカは団長と散策に、
怜奈は、長曽禰と散策に行ったので、
残ったダリルは山葉に言う。
「俺は花より機械に美を感じるんだがなあ」
「まあまあ、男二人、気楽にやろうぜ」
苦笑するダリルに、山葉は言った。



ふと、怜奈は、長曽禰に語り始める。
「以前、機械弄りに関して、
『学んでみたらどうだ?』と伺いましたが、
実は最近、勉強し始めたんです」
「へえ、そうか。
おまえは器用そうだからな。
上達も早いだろう」
「ありがとうございます。
まだまだですが、
長曽禰さんの傍で働けるようになればと思っています」
その言葉は、ごく、自然に出てきたもので、
怜奈自身も意識していたわけではなかったが。
「おまえは優秀だからな。
今勉強してることもすぐに生かせるだろう」
長曽禰もそこまでは意識してないらしく、がんばるように言われたのだった。

(あ、あれ、今、私?)
しばらくして、言葉の意味に気づく怜奈だったが。
「おい、どうしたんだ。もうそろそろ行くぞ」
「あ、はい!」
慌てて長曽禰の後を追った。



夕食は居酒屋【わるきゅーれ】ニルヴァーナ店で取ることになる。

怜奈は、長曽禰にお酌するなどして気づかう。
「本当に気が利くな。ありがとう」
「いえ、こちらこそ、本日はありがとうございます」
長曽禰のねぎらいに、怜奈は笑顔で答える。

「今回の視察は、非常に有意義なものだった。
礼を言うぞ」
「いえ、こちらこそ、
団長のお役にたてまして、光栄です!」
団長に、ルカルカが満面の笑みで返す。

「今回は、涼司のおかげよ。
どうもありがとう」
山葉にも礼を言うルカルカに、山葉もにっこりと笑う。
「こっちこそ、今日は楽しかった。ありがとうな」
「早く、元気になりなさいよ」
「ああ。心配かけてすまない。ありがとう」
ルカルカに、山葉が、にっと笑う。

そして、充実した気持ちで、一行は一日を終えたのだった。