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全学最強決定戦! ~ラストバトル~

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全学最強決定戦! ~ラストバトル~

リアクション

 一方でにらみあいをしている二組がいる
 遠野 歌菜(とおの・かな)月崎 羽純(つきざき・はすみ)ペアとセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)及びセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)である。
「まさか共闘になるとはね」
「相手も二人だからね。でもこれが終わったら存分にやりあうわ」
「そうね」
 そんなやりとりをかわすセレンとセレアナ。
 彼女たちはこう考えていた。たとえお互いが出会っても、倒しあおうと。
 しかし、出会ってしまった好敵手は二人だった。だからこそ一時的にペアを組んだ。
「……にらみあいなんて、もったいない!」
 そう言う歌菜が走り出す。戦いとは不釣合いな笑顔を携えて、楽しそうに踏み込んだ。
 その動きを見てまずはセレンが対応する。
「さっきは皆が開始直後に攻撃して使えなかったから、ここで使う!」
 虹色の翼を使用して飛び上がり、空中からエクスプレス・ザ・ワールドを使用し、
 歌を無数の槍に変えて雨のように降らす。
「空中に距離を取られての大技、厄介ね」
 呟くセレンはその攻撃をかわし、自分に当たりそうになる攻撃は希望の旋律でもって弾き飛ばす。
 そして徐々に歌菜へ近づいていく。
「それ以上は近づかせないさ」
 羽純がゆっくりと言い放つと同時に大気中の水分を瞬間的に凍らせ、氷の壁をセレンたちの前に作り出す。
 二人の姿が一度見えなくなったあと殺気看破で警戒を怠らない羽純。
 と、先に姿を現したのはセレアナ。絶望の旋律が、その旋律を鳴らすべく発射される。
 だが羽純は違和感を覚えた。まるでやる気がなく、殺気もうすい。
「……誘っているようだね」
「あら、バレてしまったみたい。かっこいい人だったから、つい」
「これはこれは光栄だな」
 できる男と女の心理戦。
「わ、私の羽純くんをとらないでー!」
「うちのセレアナをとったらぶっ壊すわよ!」
 その心理戦はお互いを揺さぶることなく、お互いのパートナーを揺さぶるに終わった。
「……大変ね、そちらも」
「それもまた楽しいよ。君もだろう?」
「……そうかも、ねっ」
 言うと同時に同時に4発もの弾を射出するセレアナ。狙いは当然
「俺のようだな。だがそう簡単には食らってやれない!」
「でしょうね」
 二槍のジャガーナートを振るい、すべての弾丸を落とす羽純。だがセレアナも止まらない。
 そのまま羽純に近づいて銃舞を使用しつつ接近戦へ持ち込み、銃での殴打という大胆な作戦に打って出る。
「羽純くんっ!」
「よそ見してる暇はないわよ!」
 歌菜の前に跳躍したセレンの姿が見える。
 希望の旋律の一太刀を、紅焔と月光の槍と大空と深海の槍をクロスさせ防ぐ歌菜。
「やる、じゃ、ない!」
「そち、ら、こそ!」
 力と力が拮抗しあい、武器がカチカチと鳴っている。
 そこへ羽純とセレアナが駆けつけると、互いに連携技を放つ。
 片や周囲に息の合った乱撃を繰り出す『薔薇一閃』
 片や阿吽の呼吸で苛烈にして猛烈な連撃をお見舞いする『ビューティーブラインズ』
 一撃一撃がかち合い、火花を散らす。だが決定打は生まれない。
 それを見越した羽純とセレアナが前に出て、無謀にもお互いのパートナーへと攻撃をしかけようとする。
「どいてくれないかしら?」
「そちらこそ」
 お互いの攻撃がそれ、お互いの人形が破壊される。だが勝負はここから。
 その後ろから乗り上げるようにして歌菜とセレンが姿を現す。
「これで決めるっ!」
「こっちの台詞よ!」
 魂の一撃が繰り出される。
 数秒、勝負は決した。
 破壊されたのは、セレンの人形。
 熾天使化を使い身体能力を向上させた歌菜の方が速かったのだ。
「……やったやった! 勝てたよ羽純くん!」
「ああ、だが油断するな。まだ勝負の最中だからな」
「ああーやられたー……これもセレアナがいちゃいちゃするからね」
「とんだ言いがかりね」
 戦闘をひと段落した四人はそれぞれの感想を漏らし、生き残った歌菜に思いを託した。

「者ども! 最後まで抗うのだー!」
 ハデスの声に覆面白衣の戦闘集団が周りの契約者たちに襲い掛かる。
 だがこれでやられるものは一人もいない。
 それを見ていた緋柱 透乃(ひばしら・とうの)緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)が遂に動き出す。
「それじゃよろしく」
「ええ。では皆さんまとめていかせていただきます」
 陽子がここにきて繰り出したのは、半径50メートルにも及ぶ範囲に、
 緋色の嵐を巻き起こす大魔法。
 闇黒、氷結、衝撃という3つの力が入乱れ、リングを破壊していく。
 この攻撃によりハデス一味はリングアウト後着水、更には心身ともに負担しきっていた青白磁も着水。
 朝霧 垂(あさぎり・しづり)はその攻撃を守りきることができず、人形を破壊された。
 常に裏を取るように動いていた二人の突然の急襲。
 それは空にまで影響を及ぼす。
「……派手にやってくれる!」
 珍しく冷静さを欠いているダリル。そんなダリルにルカルカが接近しながら叫ぶ。
「ダメ! 今は緋色の嵐が最大の敵じゃない、一番の敵は小さな暴風――」
「その通りだよっ☆」
「!?」
 ダリルの側に現れた小さな暴風。その身に余る速度を内包した暴風。
 その拳がダリルの人形を、破壊した。
「武闘にして舞踏、すなわち舞闘……これがボクのエクスプレス・ザ・ワールドさ
 ……まさかこっちもやられるとは思わなかったけどね」
「一矢くらい報いなければ面目がたたないからな」
 裁が人形を破壊すると同時、ダリルも脊髄反射で銃を構えて射出。
 その銃弾は見事に裁の腕の人形を貫通し、破裂させていた。
「ダリルっ!」
「ルカ、後は頼んだぞ」
 ダリルはそういい残して、ふっと笑った。

 そして地上でも最後の戦いが始まっていた。
 武器を捨てた詩穂が陽子へ向かって駆ける。
 対する陽子はグラビティコントロールを連続で放ち、重力で圧倒しようとする。
 しかし、詩穂はそのことごとくをかわしつつ、猛進する。
 そして陽子の眼前に立つ。
「倒しますっ!」
「……」
 詩穂の風を裂くような痛烈な突きが陽子のボディへ向かう。
 そして、入る。あまりにも、あっけなく。
 さすがの陽子もこうまでまともに攻撃されれば身体を九の字に曲げることしかできない。
 あまりの手応えのなさに違和感を覚える詩穂だが、その違和感の答えはすぐに出る。
「私は、透乃ちゃんの道を切りひら、くのです……」
 陽子が前のめりに倒れる。そして詩穂の視界に見えたのは
「なら、切り開かれた道を堂々と歩かなきゃ、ねえ!!」
 利き腕の拳をぶっきらぼうに、大降りの一撃を真っ直ぐ、愚直なまでに真っ直ぐに、詩穂へ炸裂させた。
 その連携に詩穂は吹き飛ばされ、リングを転がる。
 その勢いがなくなり、止まった後どうにか立とうとするものの、
 立つ事ができずそのまま意識を失った。

「そこまでです! 予選の生き残った人が6名となりました!」
 ここで予選は終了。
 決勝戦には
 
 紫月 唯斗(しづき・ゆいと)
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー)
 酒杜 陽一(さかもり・よういち)
 リネン・ロスヴァイセ(りねん・ろすヴぁいせ)
 遠野 歌菜(とおの・かな)
 緋柱 透乃(ひばしら・とうの)

 上記六名が選出された。