空京

校長室

戦乱の絆 第2回

リアクション公開中!

戦乱の絆 第2回
戦乱の絆 第2回 戦乱の絆 第2回

リアクション


エピローグ

 空京。

 ヴァイシャリーの館での戦いの翌日。
 約束の通り、アイシャによる理子への吸血が行われた。
 吸血を終えた後――
「……何の、変化も無し?」
 理子は、少しばかり拍子抜けしながら小首を傾げた。
「でも、これで国家神となるための準備は整いました」
 アイシャの声は、緊張からか少しだけ震えていた。
 理子は首筋に当てた布を押さえながら小さく息をつき。
「後は……アトラスの傷跡にある旧シャンバラ神殿で“戴冠式”を行えばいいのね」
 約半年前、不完全な形で終えられた国家神の復活の儀――戴冠式。
 アイシャが言う。
「はい。そして、それには宮殿に封印されているネフェルティティ様(ダークヴァルキリー)の協力も必要となります」
 

 そして。
 今再び、旧シャンバラ宮殿がアトラスの傷跡へ、その威容を表しつつあるとの報告を受け、
 西シャンバラは旧シャンバラ宮殿にて戴冠式を執り行うことを決定する。



 国家神復活が現実味を帯びたことにより、東シャンバラに属していた二校が西シャンバラと共闘することを決断した。
 事実上、エリュシオン帝国と交戦状態にあったイルミンスール魔法学校と、
 アイシャの出身地でもあるタシガンの薔薇の学舎である。
 共闘体制を実現するため、各校の長は互いに牽制し合いながらも無理を通す様々な調整を急いだ。
 そこでは、草の根で行われていた東西合同医療やゴーストイコン被害地の救助活動などの実績が、潤滑油として働く場面も見られたのだった。

 一方、エリュシオンの元に残ったのは、
 校長が死んで廃校が検討されている波羅蜜多実業高等学校と――百合園女学院。
 
「僕たちも協力した方が良くないかなあ」
 静香の不安そうな声に、ラズィーヤが、ナラカ化したイコン開発工場の報告書から目を上げた。
「シャンバラが生き残るためには、こういった保険も必要ですわ」
「保険……」
 分かったような分からないようなといった語調で繰り返す。
「それはそうと――静香さんがあまりに可愛いからエリュシオンよりプレゼントが届いてますわよ」
 首を傾げた静香の手に仕様書らしきものが渡される。
 彼女がぺらっとめくったそこ描かれていたのは……
「ウサギ……?」
「ウサギ型イコンですわ」
 アイシャ護送のための移動要塞、マ・メール・ロア セットに積まれていたものらしい。
 静香だけではなく百合園生が使えるように複数用意されているとのことだった。
「中々の重武装でしょう?」
「……う、うん」
 ラズィーヤの楽しげな声に、静香は口元を引きつらせていた。




 エリュシオン側は第七龍騎士団の元へと、スヴァトラフ亡き第ニ龍騎士団約1万の派兵を決定していた。
 彼らに与えられた任務はヘクトルの指揮による戴冠式の阻止。
 そして、団長スヴァトスラフを倒した横山ミツエの拉致である。
 しかし、ヘクトルの指揮下に入る者の中には、神でない者に従うことを不満とする声が、少しずつ表へ現れ始めているようであった。


 一方。
 龍騎士団派兵の報せを受け、蒼空学園と空京大学は開発中であるイコンの配備を急いだ。
 また、明倫館も準備が整い次第、鬼鎧を配備することを決める。
 そして、エリュシオンに宣戦布告を果たした乙王朝は――

「フッ――とうとう、この時がやってきたわね!」
 荒野に立つミツエは、手にリモコン装置を持っていた。
 そのリモコンが、がちゃこんっ、と操作される。
 瞬間、イリヤ分校近くの地面が盛り上がったかと思うと、一気に巨大な棺のようなものが噴き上がった。
 土塊と岩片を撒き散らしながら大地に直立した棺が、幾つものパージ音を立てて縦に分離する。
 その奥から姿を現したのは、鼎(かなえ)のような体に手と足が生えたメタリックな巨大ロボ――乙王朝によるイコン『饕餮二拾八号(とうてつにじゅうはちごう)』だった。
「饕餮は伝国璽(でんこくじ)を持つ、天命をもった皇帝にしか操れない最強の機体!」
 ミツエは溢れ迸る自信と共に大地を踏み締めて、遥かエリュシオン帝国の方へと指先を突き出した。
「これでエリュシオンも滅亡よ!」



 ――エリュシオン宮殿。

 白輝精は、アムリアナの部屋に居た。
 目の前のベットに横たわるアムリアナに生気は薄く、
 その乾いた唇の隙間からは、喉で掠れた呼気が細く細く漏れていた。
「……陛下……」
 白輝精は迷い、悩んでいた。
 彼女は、アムリアナを助ける方法を知っている。
 刻一刻と迫る死から助け出す術を。
 手の中を見下ろす。
(これを使えば……助けることは出来る……)
 手に握られていたのは『眼』だった。
 アスコルドを覆う怪異の眼の一つ。
(だけど……)

 アムリアナの呼吸が、緩やかに音を失っていく。






 再び訪れた国家神復活の好機。
 増大していくエリュシオンの脅威。
 大きな岐路へと立ったシャンバラで、
 人々は大きな希望と拭い切れない不安の中に居た。
 彼らとシャンバラの地は果たして、どのような道を辿ることになるのか。


 その全ては、契約者たちの手に委ねられていた。


担当マスターより

▼担当マスター

蒼フロ運営チーム

▼マスターコメント

『蒼空のフロンティア』運営チームです。
『グランドシナリオ 戦乱の絆 第2回』のリアクションをお送りします。

今回のリアクションは以下のマスターが担当しています。

【1】ヴァイシャリーの館外部:九道雷
【2】ヴァイシャリーの館内部(アイシャ関連):大里佳保
【3】ゴアドー:森水鷲葉
【4】プロローグ、エピローグ、その他:村上収束
※特定の番号でかけられていても別の番号のアクションと判定され、そちらで描写される場合もございます。

また判定の結果、シナリオ全体の動きは以下のようになりました。

・ヴァイシャリーの館郊外の戦いでは西シャンバラが圧勝。余裕を持って館内部に侵入出来た。
・ヴァイシャリーの館内部では西シャンバラが第七騎士団に勝利しアイシャを保護。
・アイシャはセレスティアーナを吸血し、その後理子からも吸血しシャンバラの国家神の資格を得る。
・ゴアドーにて東西及び鏖殺寺院の連合軍がゴーストイコンの繭を破壊。
・ゴーストイコンはナラカの魍魎によって操られており、同タイプのイコンを素体としているセンチネルには暴走の心配がない事が判明。
・花音特務隊は協力者と共に「ブライド・オブ・パイク」を入手。
・如月和馬は御人良雄を拉致しようとしたが、失敗。アスコルドから龍騎士に任命され、良雄暗殺を命じられる。
・ナラカ化したイコン開発工場からの人員救出とナラカ化した核の爆破は成功した(ペリフェラルシナリオ『汚染されし工房』。リアクションは近日発表)。

また、シナリオ状況を踏まえて、蒼空学園・空京大学・百合園女学院にイコンが配備されます。購入も可能になりますので、ぜひご覧ください。他学校専用イコンも近日中に配備される予定です。

今回ご参加頂いた皆様には記念アイテムとして「花音特務隊手帳」をプレゼントします。
持っているからといって花音特務隊に強制加入ということではありませんのでご安心下さい。

次回『戦乱の絆 第3回』は12月4日(土)公開予定です。
いよいよ今年最後、『戦乱の絆』第1部最後のシナリオとなります。
前回と同じくこのページと新しいシナリオガイドを読むだけで基本情報は得られるようになっております。

その他運営チームのマスターページではロイヤルガードの他、グランドシナリオで特殊な地位や称号を得られた方の一覧を公開予定です。

それでは、次回の参加もお待ちしております!