空京

校長室

戦乱の絆 第2回

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戦乱の絆 第2回
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リアクション


花音特務隊

ゴアドーの遺跡、ブライド・オブ・パイクを捜索する、花音特務隊。
琳 鳳明(りん・ほうめい)は、
ラーメンをすすりながら、花音・アームルート(かのん・あーむるーと)を質問攻めにしていた。
「はいっ、花音隊長さんに質問があります!
ブライド・オブ・パイクって何ですかっ?
ブライド・オブシリーズって何ですかっ?
何でそれが必要なんですかっ?
忘れないで下さいっ!?
それがゴアドー島の何処の最深部にあるんですかっ?
何でこの面子なんですかっ?
このラーメン美味しいけど、この屋台どうやって持ってきたのっ?
あ、何のダシ使ってるか教えてもらっていいかなっ?
というか何で私はここの配属されたのっ!?」
だんだん涙目になっていく鳳明に、花音がキレる。
「質問多すぎます!
琳さんがここに配属されたのは花音特務隊だからだと思います。
正式に隊員にしてあげますから、ゴチャゴチャ言わないでください!」
「ええーっ!?」
というわけで、正式に花音特務隊として認められてしまう鳳明であった。
パートナーのセラフィーナ・メルファ(せらふぃーな・めるふぁ)は、
ラーメンをおいしく味わって、そのことをちょっと悔しく思っていたのだが、
食べ終わって花音に質問する。
「ワタシからも質問よろしいでしょうか?
南 鮪(みなみ・まぐろ)くんとの仲はどうなったのでしょう?
そもそも主を見限った上で、あぁもあっさり
さも最初から信じていましたと言わんばかりに山葉校長の側に戻るというのは
剣の花嫁としては余りに軽薄に過ぎるの……むぐぐぐ」
「ちょ……ちょっとセラさん、レフェリーストップだよっ!!」
危険を感じた鳳明に口をふさがれるセラフィーナだったが、
花音は、特に怒っている様子はない。
「ああ、あのモヒカンですか?
荒野でパンツでも奪ってるんじゃないですか?
恋など路傍の花ですよ、恋なんて……」
(ど、どうしよう、普通に怒られるより怖いよう……!)
怯える鳳明だった。

芦原 郁乃(あはら・いくの)
秋月 桃花(あきづき・とうか)は、花音のことを気づかって言う。
「花音は一人じゃないからね。
ゴーストイコンは一人では倒せないかもしれないけど、
他の人と一緒なら大丈夫かもしれないよ。
心配しないで、やれることを精一杯やろう」
「なんだか花音様は焦りのような必死さが前面に出ていすぎて心配です。
桃花が封印されていた集落では
『急いで育てた木からは良い果実はならない』といっていました。
周りにはこんなに人がいるのですから、背負い込みすぎないで頼ってほしいものです」
友人として心配する言葉に、花音は曇りのない笑顔を向ける。
「ありがとうございます。
でも、大丈夫ですよ。剣の花嫁として、涼司様のために頑張らないと!」
「うーん……」
郁乃は苦笑して、桃花と顔を見合わせる。
花音に意図がきちんと伝わっているかどうか疑わしかった。

リカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)は、ロイヤルガードのティセラや
蒼空学園校長である涼司の代わりに、
花音を全力で守ろうと考えていた。
「私のパートナーのソルはいつも後先考えずに『争いはいけません!』
なんて言って無防備に飛び出してくれるし、
そのせいか光条兵器が機能してないらしいんだけど、
だからといってパートナーであることを後悔したことはないわ。
決して剣の花嫁イコール道具じゃないと考えているけれど、
涼司君と花音君はどうなの?」
リカインのパートナーのソルファイン・アンフィニス(そるふぁいん・あんふぃにす)は、
ブライド・オブ・パイクを封印することで、
傷つく人が一人でも少なくなるのなら、それをいとわぬ覚悟でこの場に来ていたが、
そのことはまだリカインは知らない。
もっとも、そのようなことは方法も不明だったし、できるかどうかもわからないのだが。
「パートナーのために、シャンバラのために戦うのが剣の花嫁ですよ。
そのための道具という表現はおかしくありません。
それ以外の何があるというんですか?」
花音は、リカインに「まったく理解できない」という表情で告げる。
リカインの花音を気遣う気持ち自体がわからないわけではなく、
完全に価値観が異なっているようだった。
「ああ、どう言えばいいんだろ……」
リカインは困って言う。



一方、リフル・シルヴェリア(りふる・しるう゛ぇりあ)の周りでも、
心配した者達が声をかけていた。
「リフルは花音の下で一体何をしたいの?
花音に言われたからってだけじゃないんだよね?」
久世 沙幸(くぜ・さゆき)は、親友のリフルが、
主張がすぐに変わり、信用できないと考える花音に利用されないか心配していた。
パートナーの藍玉 美海(あいだま・みうみ)も、
沙幸と同様、リフルが危険にあわないよう、
ディテクトエビルを使用したり、
沙幸に空飛ぶ魔法↑↑をかけてもらい、リフルが罠を踏み抜いたりしないよう、注意するつもりだった。
リフルは、ゆっくりと口を開く。
「もう、あの悲劇を繰り返したくない。それだけよ」
「悲劇……?」
首をかしげる沙幸と美海だが。
「うん、リフルの答えがどうだって私はかまわないの。
ただ、リフルのいない学園生活なんていやだから、
だからリフルが危険な目にあわないようにそのサポートをするだけなんだもん」
「……ありがとう」
沙幸に手を取られて、リフルはうなずく。

ローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)は、
花音に真意を問いただそうとしていた。
護衛のために、パートナーのフィーグムンド・フォルネウス(ふぃーぐむんど・ふぉるねうす)には
いつでもアシッドミストを使ってもらえるよう、待機してもらっている。
「『この味なら、あの光条兵器も使いこなせますね』と言っていたそうだけど、
どういうことなの?
リフルは強化光条兵器を失って久しいけれど、
再びブライド・オブ・パイクを持たせるつもり?
山葉のためにリフルをブライド・オブシリーズの器にするというのであれば……
リフルの友人として、この私が許さないわ」
ローザマリアと花音の間に、リフルが割って入る。
「心配しないで」
「リフル……」
「花音は、私にザル型光条兵器をくれたわ。
これで、皆のために、また戦える。
……私はそれがうれしい」
ローザマリアは、言葉を失う。
「自分の戦いにもけじめをつけたいの。私にとっては、皆がパートナー」
リフルの決意に、リカインと沙幸とローザマリアは、
「絶対守るからね!」と、異口同音に宣言するのだった。

渋井 誠治(しぶい・せいじ)も、
リフルの友達として、がんばっているなら応援したいと考えて同行していた。
クイーン・ヴァンガードとして、彼方のことも気にはなっていたが、
自分はロイヤルガードの戦いでは足手まといになると思い、
彼方を信頼してこちらに来たのである。
(強くてカッコイイ彼方さんなら一人でも大丈夫!)
この時の誠治は彼方が実際にはどうなったか知る由もない。
ヒルデガルト・シュナーベル(ひるでがると・しゅなーべる)は、
姉のような目線で、シャンバラ情勢より友達を選んだ誠治のことをほほえましく思っていた。
「ラーメン美味かったな!
はやくパイクとかいうのを手に入れて、もう一回ラーメン食おうぜ!」
誠治に、リフルはこくんとうなずく。
「あと、これ!」
禁猟区のお守りを手渡されて、リフルは喜ぶ。
「ありがとう。……あとでチャーシュー2枚入れる」
「おうっ! オレも、ヒルデ姉さんも、皆もついてるからな!」
誠治はリフルの肩をたたく。

「ずるーい、私も私も!」
沙幸達がリフルを囲んで賑やかにしている横で。

スウェル・アルト(すうぇる・あると)は、エメネア・ゴアドー(えめねあ・ごあどー)と一緒に歩く。
「花音は、ゴアドーに、バイクを探しに行くらしい。
ゴアドー産バイクは、パラ実生も、乗っていない。
……花音は、新しい風を、巻き込む気?」
作曲者不明 『名もなき独奏曲』(さっきょくしゃふめい・なもなきどくそうきょく)がツッコミを入れる。
「嬢ちゃん……ブライド・オブ・“パ”イクよ。
“パ・イ・ク”!
そりゃバイクだったらそれもそれでアリだけどさー」
「……マ・メール・ロアで、ライオリンを操っていた、エネメア。
ライオリン、いる?」
「って相変わらず俺様の話聞いてないのね、嬢ちゃん……」
スウェルに問われて、エメネアは笑う。
「残念ながら、ライオリンはいないんですよー」
「……残念」
スウェルは言う。
「それにしても……」
エメネアは拳を握りしめる。
「ティセラは私にチンパンコがどう呼ばれてるか知らせずに……ううーっ!」
涙目でティセラへの怒りを表し始めたエメネアに、
スウェルはきょとんとするのだった。