空京

校長室

選択の絆 第一回

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選択の絆 第一回
選択の絆 第一回 選択の絆 第一回

リアクション


開戦

 空と大地が黒く動いていた。
 暗雲がたちこめているということではなく、空を蜂型のゴーストイコンが覆い、大地を蜘蛛型イコンが埋め尽くしていたのだ。
 フラフナグズに搭乗している斎賀 昌毅(さいが・まさき)マイア・コロチナ(まいあ・ころちな)はその様子を静観していた。
「さあて! こういうのは逃げ切り先行でいかないとな! 初っ端から一気に数稼いで撃墜王の称号を手に入れてやるぜ! マイア、荷電粒子砲だ」
「了解です! 荷電粒子砲スタンバイ!」
 マイアはコクピット内で操作を始めるとそれに連動してフラフナグズは左腕に備え付けてある艦載用大型荷電粒子砲を構える。
「発射準備に入りました、昌毅さんは照準を合わせてください」
「おう、任せとけ」
 昌毅は照準を蜘蛛型イコンに向けると、照準の画面に発射完了の文字が浮かび上がり、そのままトリガーを引き絞る。
 フラフナグズの荷電粒子砲から圧縮されたエネルギーが流星のように射出され、反動でフラフナグズは後方に押され、地面がめくれ上がる。
 射出された光りの線は蜘蛛型イコンの中心に突き刺さり、爆風が巻き起こり周囲の蜘蛛型イコンは吹き飛ばされる。
「よし! いい感じだな。続いていくぞ覚醒だ!」
 昌毅は叫ぶとフラフナグズは覚醒し、機体性能を大幅に上げるとファイナルイコンソードを持って蜘蛛型イコンに切り込んだ。


マハカーラに搭乗している狩生 乱世(かりゅう・らんぜ)は空を駆っていた。
「おらぁ! まずは挨拶代わりにこいつをくらいな!」
 乱世は叫ぶと、マハカーラは機晶ブレード搭載型ライフルを構えると蜂型イコンに向けて発射した。
 レーザーが蜂型イコンを貫いていき、射線にいたイコンは一気に爆ぜていった。
 サブパイロットのグレアム・ギャラガー(ぐれあむ・ぎゃらがー)はため息をついた。
「乱世……勢いよくつっこむのは良いけど、こっちのフォローも考えてほしいな」
 グレアムは聞こえないように愚痴をこぼしながら乱世の動きを補佐するように素早く機晶ブレード搭載型ライフルからスナイパーライフルに持ち替えさせる。
「ターゲットロック完了」
「よっしゃあ! やってやるぜ!」
 マハカーラはスナイパーライフルで周囲にいる敵を丁寧に撃破していく。が、機晶ブレード搭載型ライフルの再充填が終わる前に弾が尽きてしまう。
「次はデスサイズに切り替えるよ」
「だったら、覚醒であいつらの中心部まで攻めまくってやるぜ!」
 マハカーラはデスサイズを持つと覚醒して、蜂型イコンにめがけて突っ込んでいく。
 高速でぶつかってくるマハカーラの衝撃に絶えきれず蜂型イコンは次々に爆発し、振り回すデスサイズで周囲の敵を切り裂き、周囲は爆煙に包まれた。
 その爆煙を切り裂くようにマハカーラの周りをレーザーが降り注ぎ、蜂型イコンを貫いていく。
フィーニクス・NX/Fに乗ったイーリャ・アカーシ(いーりゃ・あかーし)はレーダーを見つめながら、爆煙の中にマハカーラを捉えていた。
「敵の多いところを探って来たけど、先客がいるみたいね。どうする? ジヴァ」
 イーリャはメインパイロットのジヴァ・アカーシ(じう゛ぁ・あかーし)に問いかける。
「味方のイコンがいる場所はレーザーで攻撃。敵が密集している場所はミサイルで攻撃するわ。こんな風にね!」
 シヴァはフィーニクスを加速させると、アクセルギアを使い自身の体感時間を引き延ばすと、味方のいないエリアに向けてミサイルポッドをばらまいた。
 蜂型イコンは機体を補足するまもなくミサイルが直撃し周囲のイコンはその爆発に巻き込まれて連鎖的に爆散していく。
「イーリャ、インファント・ユニットの準備は出来た?」
「ええ、ばっちりよ」
 そう言って、イーリャはフィーニクスからインファント・ユニットを投入した。
 遠隔操縦のビット兵器は不規則な動きでゴーストイコンを幻惑させると、そのまま隙をついて撃墜数を稼いでいった。


桐ヶ谷 煉(きりがや・れん)レーヴァテインに乗り込みエヴァ・ヴォルテール(えう゛ぁ・う゛ぉるてーる)と共にディメンションサイトで周囲を索敵し、一番ゴーストイコンが密集している場所を特定していた。
「あそこか……」
 煉は呟くと、レーヴァテインを飛ばして蜂型イコンが密集している場所へと向かった。
「煉、絶対エースの座とれよ!」
「エヴァっち……エースの座は狙ってとるもんじゃない。結果に付いてくるもんだぞ?」
「おお! なら、エースの座がとれるくらい結果を出せばいいんだな? 任せろ!」
 エヴァはそう言うと、ヴィサルガ・プラナヴァハでレーヴァテインを覚醒させる。
 機体性能が大幅に向上したレーヴァテインは密集していた蜂型イコンの中心へと飛び込んだ。
「ナイスだぜエヴァっち! ……さあ! くらいやがれ!」
 煉は叫び、レーヴァテインはデュランダルを両手で持つとバッティングかハンマー投げのようにデュランダルを振り回した。
 遠心力で勢いのついたデュランダルは斬るというより叩き付けているといった方がしっくりとくるほど豪快に蜂型イコンを巻き込んではバラバラにしていった。
 ただ、豪快な攻撃だけあって、完全にトドメを刺しきれずに残ってしまった敵も数十機ほどではあるが存在していた。
 が、レーヴァテインは追撃の手を緩めない。
「ここで逃がすほど甘くないっての!」
 煉はデュランダルから機晶ブレード搭載型ライフルに持ち替えさせて、ふらふらと飛行している蜂型イコンたちを丁寧に撃墜していった。
「おお! すごいぜ煉! これでエースの座に近づいたな!」
「まだまだ、こんなんじゃ全然だって……それよりもエネルギーの残量は大丈夫か?」
「全然平気だよ、無駄な動きしてないしこの調子ならあと三回はいけるね」
「よし、それならまた索敵して敵の多い場所を探そう」
「了解!」
 エヴァはわざとらしく敬礼のポーズを取ってみせる。
 二人は再び、ディメンションサイトで索敵を開始しレーヴァテインは動き始めた。


 味方のいないところに布陣した柊 恭也(ひいらぎ・きょうや)アサルトヴィクセンに搭乗し、数え切れないほどの敵を目の前にしていた。
 サブパイロットの柊 唯依(ひいらぎ・ゆい)は何処に撃ち込めば最も効率良く敵を撃破出来るか計算していた。
「全くもって飽きないね、こんなにも手厚い歓迎を受けるとは。本当に一人でよかったのか?」
「ああ、ヴィクセンの装備なら少数での対軍戦闘に向いているしな。それより、計算はまだか姉貴」
「焦るな、今出るところだ」
 そう言って唯依はコクピットの画面を見ると、攻撃のルートが絞り込まれて一つの道筋を作っていた。
「出たぞ、データを送る。後は任せるぞ。……恭也、チャンスはそう何度も無いぞ? 一発で決めろ」
「ハッ、誰に物言ってんだよ姉貴。誰もが驚く位派手に決めてやるぜ」
 恭也はスーパーオリュンポスキャノンと機晶ブレード搭載型ライフルで敵を牽制し始めた。
 弾がイコンを貫き、回避したイコンたちが唯依の計算した攻撃ルートに入り込んでいく。
「そこだ、くらえ!」
 恭也は叫び、ヴィクセンはビックバンブラストを放った。
 地を這うようにミサイルが目標地点に突き刺さり、一瞬光りで目の前が真っ白になったかと思えば爆音と爆風がヴィクセンの身体にぶつかり、コックピットにいる二人にも衝撃が伝わる。
 広範囲の爆発は天災のように蜘蛛型のイコンを巻き込み、低い高度で飛んでいた蜂型イコンたちも爆風に巻き込まれてしまう。
「うまくいったな。一度、戻るとしよう。弾の補給をしなくてはな」
「了解」
 恭也は唯依の指示に従い、ヴィクセンを駆って一時撤退した。


「さあ、腕がなりますわ。神の代行者の真の力を見せて差し上げますわよ」
 フランチェスカ・ラグーザ(ふらんちぇすか・らぐーざ)ゾフィエルに乗り込みながら、バスターライフルを構えさせると絶対命中で照準を蜘蛛型イコンに合わせて引き金を引いた。
 地を這う蜘蛛型イコンたちはバスターライフルの乱れ打ちで次々と穴を開けて爆発してしまう。
 ゾフィエルはバスターライフルを撃ち尽くすと二式に切り替えて、蜂型イコンに接近した。
「さあ、凍ってしまいなさい!」
 ゾフィエルが二式を振るうと、蜂型イコンたちはたちまち凍り付き、ボロボロと落下していく。
「フラン、追撃する前に周りをよく見て!」
 サブパイロットのカタリナ・アレクサンドリア(かたりな・あれくさんどりあ)が声をかけて、フランチェスカが周囲を見渡すと、蜂型イコンが周囲を囲み腹部の下から針を出すと一斉に襲いかかった。
「回避行動をとるから、かわしたら覚醒でトドメを刺して」
 カタリナは回避上昇を使ってイコンの針攻撃を紙一重で回避すると、覚醒を使いゾフィエルの機体性能を向上させた。
「ありがとうカタリナ! 後は任せて」
 フランチェスカは二式からアダマントの剣に持ち帰ると、針攻撃をして接近してきた蜂型イコンを一気に切り刻み、凍り付いて落下していくイコンたちを追撃して撃破した。
「さあ、覚醒が続くかぎりどんどん行きますわよ!」
 フランチェスカは叫び、ゾフィエルはアダマントを握り直して蜂型イコンの群れに突っ込んでいった。