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ホワイトバレンタイン

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眼鏡のバレンタイン

「アレとかナニ目当てでないデートなんて久しぶりですから、ちょっと勝手を忘れてしまいましたわね」
 アルダト・リリエンタール(あるだと・りりえんたーる)の言葉にパートナーの羽高 魅世瑠(はだか・みせる)は額を押さえた。
 今日のアルダトはちゃんと制服を着ている。
 ただし、百合園の制服だが。
「総司さんは巨乳好きなので、ちょっと改造しただけですわ」
 アルダトのその言葉通り、ウエストを絞り気味にして、バストを強調した百合園制服になっていた。
 ついでに【のぞき部部長】である弥涼 総司(いすず・そうじ)の、のぞきロマンに合わせて、スカートも見えそうで見えない感を演出するために、ぎりぎりまで短くし。
「気のせいか、コスプレ風俗みたいになってる気がするけど……」
 神楽崎分校生徒会長である魅世瑠としてはちょっと複雑な気持ちがしたが、ひとまずアルダトが捕まらないように、『空京名誉市民証』を渡してあげた。
「何かあったら見せるんだよ、怪しいものと思われないように」
「はい、かしこまりました」
 アルダトは小さく頷き、待ち合わせ場所にいた総司に気づいて手を振った。
「総司さんー」
「やあ、アル」
「これ、バレンタインですので」
 会ってすぐに渡したかったらしく、アルダトは総司に大きなハートチョコを渡した。
 見た目からしていかにも本命用だが、ちょっと変わったデザインになっていた。
 ハートの真ん中に鍵穴が空いていたのだ。
「のぞき部部長さんらしいものにしてみました」
「ありがとう、アル。相変わらず可愛いな」
 総司がアルダトを抱きしめ、その頬にキスをする。
「あん♪」
「その声も可愛いよ」
 頬に触れた唇が首筋の方に触れ、アルダトはまた甘い声を上げる。
「あーあ、あたしも恋人の一つも作ろっかね」
 魅世瑠は肩を竦めながらアルダトを置いて去っていった。

 総司は{SNM9999001#山葉 涼司}が繁華街に行くのを見計らい、先回りをした。
 ホテル街は繁華街のそばにある。
 その前で、そして山葉の前で、いちゃいちゃしてやろうという目論見だ。
 山葉が自分たちが見えるあたりになったところで、アルダトが総司の手を取り、腕を組んでくっついてきた。
 総司はそんなアルダトの髪を撫でた後、アルダトを背後から抱きしめ、スキル・身体検査を発動した。
 アルダトの巨乳をより強調させた百合園制服の上に、総司が指を這わせ、その胸を揉みしだく。
「ふふっ、やはりコイツは危険物だな……」
「ひゃっ……」
「ちょっと揉まれただけでその反応か、アル。それともやっぱり、外で見られてると興奮して……」
「あ、やん……」
 恥ずかしそうにアルダトが身を捩る。
 頬を染めたアルダトを見て、総司の心にさらに火がつく。
「さっきのチョコのせいか、血が巡って、鼻血が出そうだよ」
「総司さん、鼻血じゃなくて他の場所に血が行ってる気が……背中に当た……」
「待て、アル」
 殺気看破を発動していた総司は、山葉の殺気の混じった嫉妬の視線に気づいた。
「おい」
 だが、総司が声をかけた途端、山葉は、逃げ出した。
「え、お、おい!?」
 巨乳の彼女を持つ総司は知らなかった。
 非モテにとって巨乳の彼女といちゃいちゃする総司のかもしだすパワーは、ミツエの皇氣以上だということを!
「あいつ、どこに行くんだ……」
 作戦が失敗した総司は山葉の行く末が気になり、後をつけていった。