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【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編

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【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編
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■□■4■□■ 未来のタシガンとジェイダス

タシガンにて。

コトノハ・リナファ(ことのは・りなふぁ)は、
未来・静香が小ラズィーヤの本当の父で、
何かの弾みでラズィーヤを襲ったのが去勢された理由では?と予想していた。
(ラズィーヤさんは静香さんと関係を持つより、
王族の血筋のジェイダスさんと関係を持ったと見栄を張っている可能性がありますからね)
コトノハはそう考えてヴァイシャリーのスラムを探そうとした。
あんな格好のジェイダスであるから、すぐに見つかると思ったのだ。
しかし、タシガンがまだ沈没せずに存在していることを知り、タシガンに向かう。

★☆★

一方、如月 日奈々(きさらぎ・ひなな)も、
小ラズィーヤの父はジェイダスというのが信じられないので、
タシガンに会いに行こうとしていた。
(あの人……恋愛対象、男……ですし……)
タシガンは、浮き島だから、
ヴァイシャリー以外全部沈没の被害にもあってないだろうというのが、
日奈々の予想であった。

その予想通り、タシガンの町は健在であった。
しかし、日奈々は空飛ぶ箒しか持ってなかったので、
気合でタシガン空峡を超えるのであった。
「これが……コメディ補正というものなのでしょうか……?
か、風に飛ばされる……」

★☆★

タシガンのある屋敷にて。
ジェイダスは日奈々に会ってくれた。

「どうしたのだね。
移民したいというのなら残念ながら無理だよ。
タシガンは元から住んでいる者やその親族を除いては、
女性は新たに居住することはできない。
シャンバラの国土が沈没したことで、貴重な陸地になったのだからね」
ジェイダスは、空飛ぶ箒でずっと飛行したため、
ぜえぜえと息を吐く日奈々に言う。
「……それって、男性なら居住可能ということですか……?」
「ああ、私の目にかなう人物ならね」
日奈々に、ジェイダスは白い歯を見せて笑う。
(ようするに、この状況を利用して、
ジェイダス校長の好みの美男子をタシガンに集めているということ……?)
疲労以外の理由でもめまいを感じる日奈々であった。
「あ、そういう話をしにきたんじゃありませんでした……。
ジェイダス校長は……子ラズィーヤちゃんのお父さんじゃないですよねぇ?」
そこに、コトノハが部屋に飛び込んできて言う。
「ここに来る途中ですれ違った町の人達、
異常にイケメン率が高かったですよ!
ジェイダスさんの趣味で集めたんでしょう!
そんな好き者が、女の人に興味を抱くはずがありません!」
「ああ、私がラズィーヤ殿に恋愛感情を抱くことはありえない」
ジェイダスはあっさりと認めた。
「じゃあ、子ラズィーヤちゃんの本当のお父さんを知っていますか……?」
日奈々の問いに、ジェイダスは首を振る。
「残念ながら、それは私の口から答えるべきことではないよ。
しかし、ラズィーヤ殿に最も近しかった人物を考えれば、おのずと明らかではないのかね?」
「やっぱり、静香さんなんですね……」
コトノハはつぶやき、ジェイダスに向き直る。
「お願いです、このままじゃ美少年が全員去勢されて宦官にされてしまいます。
ジェイダスさんなら、高い戦闘能力を持ってるはずですよね。
一緒に悪の大宦官・桜井静香と戦ってください!」
「それはできない相談だよ。
……しかし、学生諸君なら、この状況を打開できると信じているよ」
ジェイダスはコトノハの依頼は断りつつも、
面白そうに妖しい笑みを浮かべた。