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リアクション
■□■2■□■ 宮殿・未来の自分とともに
静香の宮殿にて。
時間はやや前後し、現在の学生達が襲撃した夜。
「え?
支倉 遥(はせくら・はるか)は女じゃなかったのかって?
嫌だなぁ、今までずっと皆を騙してたに決まってるじゃないか。
オレは男ですよ。ハハハハハハ!」
誰かに向かって、現在の遥は暴露発言をする。
現在の遥はパワードスーツを外し、素顔をあらわにする。
二人の遥は、質素な夕食を取り、酒を酌み交わす。
献立は、豆飯・クモイワシの塩ふり焼・イモノコ汁であった。
紺の小袖を着てくつろいだ様子の未来・遥は、
他の十嬢侍が出払う中、
現在・遥とともに夕食を取り、
人払いをし二人で昔話をするのであった。
「ユウよ、お前を見ていて思い出したことがある」
「なんでしょう」
「あの日、私は殿と一緒にヴァイシャリーに潜入していた。
静香様の異変にいち早く気付いた殿が先行し静香様と接触、
交戦に至り壮絶な死を遂げられた。
遅れ駆けつけた私に殿は死の間際こう仰っていた。
『……遥よ。
仁に過れば弱くなる
義に過れば固くなる
禮に過れば諂(へつらい)となる
智に過れば虚(うそ)を吐く
信に過れば損をする
契約して以来、終ぞオレにはわからなかったんだが……。
支倉遥、結局お前は何がしたいのか?』と。
私はそれに応える事ができなかったよ……」
「……」
パートナーである伊達藤次郎正宗の話を聞き、現在・遥は沈黙する。
「フフフ……支倉ハルカ、お前といると非常に不愉快だ!
どこへなりと行くがいい!」
そう言うなり、未来・遥は背を向けて横になり、酒に酔ったふりをして狸寝入りした。
★☆★
「久しぶりにお会い出来、姉上は少々飲みすぎになられたようだ。
私も見回りを兼ねて少し夜風に当たってくる。
もしお目覚めになられたら姉上にもその旨申し伝えてくれ。
それと、もうお歳なのだからくれぐれもご自愛頂く様、
この愚妹が申していたともね、頼んだよ。
それとこれはチップ代わりだ。誰でもやっていることだろ? 受取り給え」
未来・遥の近侍の者に、現在・遥は賄賂を握らせて宮殿の闇に消える。
そして、現在の静香を陰から支援しようと時を待つことにしたのだった。
「未来の世界のことなど知ったことではないぜ。
現状が厳しいからって過去から応援を呼ぶなんてプライドがないんですかね、
超ババ様を始めこの世界の人間は!」
しかし、現在・遥は相変わらずの毒舌を吐く。
★☆★
(悠(はるか)と遥(はるか)、
ユウと名乗ってはいたが見方を変えれば字面は違っても読みは同じだ。
この程度の手でこちらの真意を伺うとは我ことながら小賢しい)
こののち、
未来・遥は、一斉蜂起したレジスタンスに立ち向かっていった。
「……過去から来た奴はこのまま進みな。
てめぇの尻も拭けない野郎どもにはちょん切る価値もない……
真っ二つだ!」
全てを吹っ切った未来・遥にとっては、
この未来に生き己に立ち向かうものだけが挑むべき標的であった。
「それが嫌ならオレを超えて行きな!!」
白いスーツを着用し、
その上に、パートナー、伊達藤次郎正宗の遺品である、
三日月の前立ての兜、
黒漆五枚胴具足、
伊達の家紋「竹に雀」を背後にあしらった陣羽織を羽織り、
フル装備の未来・遥は、死地に赴く【冷徹な戦場の鬼】と呼ばれたのであった。
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