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第三章 ついに開幕、最強美男子決定戦?


 裏口の乱闘現場からこっそりと抜けだした記者は一路、準備が整った会場へ。先ほど青さんと深草くんが作業をしていた辺りには、いつの間にか薔薇の垣根が設けられています。確かにこれは女性が喜びそうな華やかさ。何とも粋な計らいです。
「なぎさんもあそこに座りたかったですぅ」
 羨ましそうに指をくわえているのは柳尾 なぎこ(やなお・なぎこ)ちゃん。パートナーの東條 カガチ(とうじょう・かがち)くんが宥めるように袋から鯛焼きを差し出しました。
「ごめんな、なぎさん。俺と一緒だとあそこには座れないんだ」
「なぎさんはカガチと一緒がイイです!」
「だったらここで二人一緒に楽しもうな」
「はいです!」
 隣で聞いている方が恥ずかしくなるくらいのラブラブっぷり。うらやましぃー!
 おや、他にも女ばかりの薔薇園に熱い視線を送っている人がいるようですね。
「ちっ、ここは野郎と子供ばっかりじゃねぇか。俺もあっちに行きたいぜ」
 悔しそうに歯がみをしているのは、波羅実の高崎 悠司(たかさき・ゆうじ)くん。まぁ、多感な年頃の性少年にすれば、水着美女が集まった薔薇園に今にも飛び込みたいと言うのが本音でしょう。でも、キミの隣にもキレイなお姉さんはいらっしゃいますよ?
「こぉんな美女と一緒なのに何が不満なのかしら?」
 ゼブラ柄のビキニからあふれんばかりに豊満な胸を揺らして、高崎くんに擦り寄ったのは、同じく波羅実生のヴェルチェ・クライウォルフ(う゛ぇるちぇ・くらいうぉるふ)…さん?
 男ならば一度は経験したい状況ですが、高崎くんの表情は優れないようです。
「お前みたいなヤツはお呼びじゃねぇんだよ」
 まるでイヤなモノを見るかのような冷たい視線を向けていますが、こんな美女が嫌いだなんて、もしかして高崎くんってばロリコンですかっ?
「あっらぁーそんなこと言っちゃうんだぁ? だったら私も、もっとイイ男を物色してこようっと。ここには金持ちのお坊ちゃんがたぁくさんいるんだしぃ」
 そう言うなり、ヴェルチェさんは桃のようなお尻を振りながら立ち去ってしまいました。本当にいいのか、高崎くん?! あんな美女は滅多に拝めないぞ!
「…だってさぁ、お前って…」
 何やら言いたげな様子で大きくため息をつく高崎くん。波羅実生同士、何か因縁でもあるのでしょうか…?


 そうこうするうちに会場が暗くなってきました。
 しんっと静まりかえった場内に、勇壮な和太鼓の音が響き渡ります。
 パンフレットによると和太鼓を叩いているのは、薔薇学生の瑞江 響(みずえ・ひびき)くんとアイザック・スコット(あいざっく・すこっと)くん。ジェイダス校長推奨の褌姿も麗し…否、逞しくまさに漢気あふれる演技と言えるでしょう。これはもうのっけから期待が高まりますよぉ!
 瑞江くんがバチを振り下ろした瞬間、パッと舞台全体が明るくなりました。
 ずらりと並んでいるのは、水着姿の美少年に美青年!
「お茶の間のヒーロー参上」と刺繍された赤褌をつけているのは、イルミンスールのクロセル・ラインツァート(くろせる・らいんつぁーと)くん。
 コンテストに興奮をしているのでしょうか。股間がむやみに猛々しいことになっているのは蒼空学園の青空 幸兔(あおぞら・ゆきと)くん。
 赤と黄色のスペイン国旗を模したブーメラン姿で登場したのは、薔薇学生ミゲル・アルバレス(みげる・あるばれす)くん。観客席ではツバ広の帽子にサングラス、手袋と日光を完全に遮断した格好の吸血鬼・ドミニク・ルゴシくんが心配そうにミゲルくんを見つめています。
 その隣には、堂々たる筋肉に、黒いピチパツセクシーOバックの水着を身にまとったドラゴニュート、ブルーズ・アッシュワース(ぶるーず・あっしゅわーす)くんの姿が。しかし、ムキムキマッチョ&巨根勝負なら、波羅実生のラルク・クローディス(らるく・くろーでぃす)も負けていないっ。
 赤い紐パンを身にまとっているのは薔薇の学舎ウォルザーク・ガルガンチュア(うぉるざーく・がるがんちゅあ)くん。クルリと向けられたお尻は、なんと魅惑のTバック?!
 右手奥には、紺色のスクール水着で腐女子の心をつかみまくっている少年もいますよっ。これは要チェックです! 参加者名簿によると…名前は薔薇学生の藍園 彩(あいぞの・さい)くん。ドラゴニュートのビート・ラクスド(びーと・らくすど)をぬいぐるみのように抱えた姿も可愛らしいっ。
 巨大なランスを片手に白馬に跨り、勇ましく登場したのは調 静留(しらべ・しづる)くん。
「BLとは、バトルラブの略だと、偉い人が言っていたぁ!!!!」
 折角の決め台詞ですが、海パン一丁じゃ様になりません。否、今大会の場合、有りなのでしょうか…ね?
 とにもかくにも、なんかもうっ、アッチもコッチもプリプリ、ムキムキばかりで、どこを見て良いのか分かりませーん!
 というか、何故ステージ上にバイクがいるのでしょうか…???
「ドルルルルル(覚えておきな美しい薔薇には棘〈スパイク〉がある)」
 まるで何かを訴えかけるようにエンジン音を吹き上げるのは、皆様ご存じ第一回ジェイダス杯優勝者・バイク型機晶姫ハーリー・デビットソン(はーりー・でびっとそん)くん。
「ドドドドドド(否、棘があるからこそ薔薇は美しい)」
 いや、だから分からないって…。とりあえずもう今回は大人しくしていた方が…と思いきや、ハーリーくんの声を理解する漢が登場ー????
「俺にはお前の気持ちがよぉぉーっく分かるぞぉぉぉぉーーー!!」
 闘技場が揺れるほどの雄叫びとともにハーリー・ダビットソンに飛び乗ったのは、学ラン姿の…女性?! 波羅実の姫宮 和希(ひめみや・かずき)さんです。
「女がダメとか、バイクがダメとか、細けぇこと言ってるんじゃねぇっ!!!真の漢とは見た目や性別なんかじゃねぇ、心で決めるんだよ!」
 いや…まぁお説ごもっともなんですが。あくまでも参加対象は男性ですから、あなたもひっこんで…。
「乳を見せればイイってんなら、いっくらでも見せてやらぁっ! とくと拝みやがれっ!」
 そう叫ぶや否や、姫宮さんは学ランを脱ぎ捨て、さらには胸に巻いていたサラシに手をかけます。
「チマチマしたのはまどろっこしいわいっ! バトルロワイヤルによる頂上決戦を要求するぜっ!」
 グイッとほどいたサラシを投げ捨てる姫宮 和希。瑞々しい白桃のような乳房が惜しげもなく露わになりました。これには会場の性少年たちが大興奮。
「うぉぉー待ってましたぁ!」
「キミこそ真の漢だぁーーー!!!!」
 割れんばかりの歓声に揺れる場内。やはり男はトップレス美女に弱いのか?!
「良く言った姫宮! 最後に勝つのは波羅実だってこと、薔薇の大将に思い知らせてやりやがれ!」
 って、えぇ?!! 開始早々、観客席から乱入者ですか?!!!
 観客席から舞台に飛び降りたのは、波羅実生の国頭 武尊(くにがみ・たける)くん。携帯から光条銃を取り出すといきなり参加者に向かって乱射をはじめました!
「お前ら、タマとってやるぜーー!!!」
 国頭くんが狙っているのは、どうやら波羅実生以外の参加者が身にまとっている水着のヒモやゴムの部分のようです。
 空を舞う色鮮やかな褌やブーメランパンツ!!
 女性客は大盛り上がり、男性客はげんなり…と思いきや…。
「ちょっとぉ、僕が光司にやるつもりだったのにぃ!!」
 両手で股間を隠しながらも抗議の声を上げているのは、薔薇学生の麻野 樹(まの・いつき)くん。
「でも、結果として良かったのかな? 光司のポロリも見られたし」
「って、お前がやるつもりだったのかよっ。つか、どうせだったらもっと丈夫な褌を用意しておけ、樹!」
 樹くんはパートナーの雷堂 光司(らいどう・こうじ)くんに向かって、ぺろりと舌を出して見せます。
 いや…ポロリというか、大きく育った松茸がモロだしだから!!!!