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リアクション
「実はこの話を聞いて考えていた花火があるんだ」
共にやって来たパートナーのクナイ・アヤシ(くない・あやし)へとそう告げたのは、清泉 北都(いずみ・ほくと)だ。
作るのは1人で出来るけれど、実際に火をつけて楽しむには2人必要だという。
「それは一体、どんな花火なのでございますか?」
訊ねるクナイに、北都は微笑むと『2人用の線香花火』だと告げた。
「2人用……でございますか」
「うん、火種を大きくして、火花が散る範囲も広くしたい。そうなると、1人で持つのが大変だし、危険だから、2人用なんだ」
北都が口で説明するものの、想像出来ないのか、クナイは首を傾げる。
「要は、下は大きめの線香花火で上が二手に分かれている感じの。両端を持つから火花が散っても離れているから当たらないし。互いに同じ力で支え合わなくちゃ揺れて火種が落ちちゃうの。だから絆を高める為にもいいかなって」
花火師から適当な紙とペンを借りてきて、北都は思っている花火を図にしていく。
「ああ。これは確かに2人で持つ必要がありそうでございます。では、花火の色は私が決めていいでしょうか?」
図を見て納得したクナイはそう訊ねる。
「勿論だよ。クナイの好きな色の花火を作ろうねぇ」
頷く北都を確認すると、クナイは早速、火薬の色付けについて花火師に確認する。
「最初はピンク色、そして徐々に赤が強くなるようにしたいのでございます」
「ピンクから赤に? 何か意味はあるの?」
その確認を聞いていた北斗は首を傾げた。
長く持てば持つほど赤が濃くなるその花火は、ラブセンサーならぬラブゲージなのだ。
その意味は告げず、クナイは口を開くと、
「絆の深さが計れます」
そう答えた。
支倉 遥(はせくら・はるか)が作るのは、種も仕掛けもない、言わば、普通の線香花火だ。
花火大会を皆で回った後、締めとして、皆で楽しみたいと願いながら、数を作っていく。
「透乃ちゃんと花火作り……楽しそうですね」
既に作業をしている皆を見回して、そして隣に立つ霧雨 透乃(きりさめ・とうの)へと笑顔を向けた緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)は、そう告げた。
「そうね。にんじんの花火、早速作ろうよ!」
透乃は頷くと、手持ち花火の作成の手順を花火師へと訊ねた。
「にんじんっぽい形の火が5連射くらいされるようなのがいいな」
「私はハート型の火を散らす通常のものより少し明るくて長持ちする線香花火がいくつか作れれば、と思っています」
それぞれの要望を聞き、花火師は暫し考えてから、こう作ったら良いと作り方を述べた。
2人はそれぞれの通りに火薬や色を出すための粉を混ぜて行き、花火を作っていった。
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